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私、見る目がありますから!〜癖強クランで愛され異世界ライフ〜  作者: 阿井りいあ


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72 すぐからかうんだから!


 ほんの少しの沈黙が流れた後、トウルさんは悪い笑みを浮かべたまま口を開いた。


「随分、積極的だなぁ? ん?」

「え? あっ、ひゃあっ! ご、ごめ、ごめんなさいっ」

「俺は構わねぇぜ?」

「はわわわわ……!」


 わ、私ったらトウルさんの手を両手で握りしめたままだった……!

 は、は、恥ずかしい! 慌てて離そうとするも、今度はグッとトウルさんに掴まれて逃げられない。


 わざとだ! からかうつもりで離さないんだ! ひぃん!!


「トウル、悪い顔になっているぞ」

「嬉しくて笑っちまっただけだろ、セルジュ。俺ぁ、元々こういう顔だ」

「ルリ、かわいそう」

「ラスロもだいぶルリ贔屓になったよなぁ。はいはい、離せばいいんだろ」


 パッと手を離され、慌てて自分の手を抱きしめるように引っ込める。


「おいおい、傷付くぜ。その反応はよ」

「手を握るのが嫌なんじゃありません。からかわれるのが嫌なんですぅ!」

「正論だな。トウル、今のはお前が悪い」

「からかい甲斐のあるルリのせいだ」

「はぁ、まったく……」


 一切悪びれた様子を見せないトウルさんに、呆れたようなため息を吐くセルジュ。

 ありがとね、セルジュ。でもトウルさんはこういう人だもんね。一緒に諦めましょ……。


「だがルリ。お前もずいぶんうちのクランのメンバーらしくなってきたな。根性のあるヤツは嫌いじゃねぇ」

「っ」


 そして、サラッと褒めてくるのがずるい。本当にずるいっ!

 だって、嬉しくなっちゃうじゃない。でもからかうのは許しませんからねっ。……えへへ、褒められちゃった。


「じゃ、ひとまず方針は決まったな。常にこの中の誰かがルリの護衛につく。ラスロには聖女の加護について調べてもらうから、俺かセルジュのどっちかだな」

「お世話になりますっ!」


 と、元気に挨拶したはいいものの……よく考えたらすごく贅沢じゃない?

 トウルさんもセルジュも、すごく強いんでしょ? 

 護衛なんかで時間を潰していい人材じゃないっていうか。それをいったらラスロもだけど……。


 というか、このクランのメンバーがみんなすごすぎる人たちなんだよね。

 今さらだけど、改めて自分がとんでもないクランにお世話になっちゃってるなって思うよ。

 迷惑ばかりかけてないで恩返しがしたいのに、その恩ばかりが積み重なっていく。


 うん。みんなのお願いはできるだけ叶えてあげようっと。あと私に出来ることで言ったら、好きな料理をたくさんメニューに入れる、とかかな。

 くっ、微々たる恩返し……! いいの! 焦らないって決めてるからっ!


「ただ俺は……あんま教会に行くと怖がられるからな。セルジュ、ついて行ってやってくれ」

「わかった。明日にでも行くか?」

「あっ、そうですね。お願いします、セルジュ」


 思っていた以上に早く教会に行けるみたい。

 神様に質問するのは緊張するけど……まずはいつも通り感謝を伝えることを忘れないようにしないとね。また会えますように!


「あとはクランのヤツらには、いつでもルリを気にしてくれって言っておく。聖女のあれこれはあんま知らせねぇほうがいいだろうが、ルリが狙われている件はすでに隠しても意味ねぇからな」


 そ、そうだよね。小包の件はみんなに知れ渡っているだろうから変に隠すほうが怪しまれちゃう。

 うぅ、またみんなに心配させてしまう。みんなの好きなお菓子もたくさん作っちゃうんだからっ!


「ルリはクランにいる時でも俺らがいる時でも、常にセレと一緒にいるようにしてくれ」

「わかりました! ブラッシングにも力を入れます!」

「くくっ、そうしてやれ。あいつも喜ぶ」


 むしろブラッシングはご褒美なので! 気合いを入れてやっちゃうよ!

 待ってて、セレ! もふもふ……!


「よし、ひとまず解散だ。てなわけで、今日は俺がルリの側にいる」

「はぇっ!?」

「今決めたばっかだろ。なんでそんな声出すんだよ……」

「そ、そうですよね」


 けど、今日はクランにずっといる予定だし、と思って。

 そんなこと言ったらほぼ毎日引きこもり生活なわけだけど……まさか、クランにいる間中ずっと側にいる、ってこと?

 ま、まぁ? 小包の事件だってクランにいる時に起きたわけだし、必要なのかもしれないよね!


 で、でもさ、それって……どこまで一緒にいるんだろう?


「安心しろ。別に風呂や着替え中も側にいるとは言ってねぇ」

「あ、あ、当たり前です!!」

「いてやらんこともないがな」

「結構ですっ!!」


 くっくっと笑うトウルさんを見て、またからかわれたことを自覚する。

 ぐ、ぐ、ぐぬぬぬっ!!


「わ、私! サンディの様子を見てきますっ!!」

「ついていってやろうか?」

「すぐそこでしょう!? ここにいてくださいっ」

「つれねぇなぁ」


 談話室からサンディの休む部屋の入口も見えるくらい近いのに、すーぐからかうんだから。


 っと、お見舞いなんだから怒ってちゃダメだよね。サンディのいる部屋の前で一度小さく深呼吸してドアノブに手をかける。


 サンディもだけど、メディも心配だな。あんなにショックを受けた顔のメディ、初めてみたもん。

 双子の兄弟が怪我をして倒れたんだから無理もないよね。はやくいつもの元気な二人が見たいな。


 そう願いながら、寝ているサンディを起こしてしまわないように静かにドアを開けた。


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― 新着の感想 ―
更新ありがとうございます!いつも楽しみにしてます♪ ルリさんをからかうトールさんがいきいきしてて笑っちゃいました(≧▽≦)ものすごく悪い顔をしてるのが想像できます笑 ルリさんがんばれー!!
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