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私、見る目がありますから!〜癖強クランで愛され異世界ライフ〜  作者: 阿井りいあ


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68 ウジウジしてたら小包が届きました


 自分の中に意地悪な部分があると自覚してからというもの、私はどうにかその嫌な考えを消してしまおうと躍起になっていた。


 たしかに、婚約者がいるのに他の人を好きになるなんて不誠実だよ? でも、気持ちが出来上がる前に婚約が決まっていて、後から誰かを好きになっちゃったってことだろうから……それは仕方ないよね。


 むしろ悲恋だし、誰も幸せにならないし、辛いだろうなって思う。


 思う、のに。

 私ったら、それでも応援したいと思えないのだ。


「うぅ、私って嫌なヤツ……」

「えっ、ルリが? そんなわけなくない?」

「わぁっ、サンディ!? あれ、私、声に出してた!?」

「うん、バッチリね」


 独り言を聞かれるなんて恥ずかしい……! しかもまだ片付けの途中だったのに。

 慌ててお皿を片付け始めると、サンディはクスクス笑った。


「最近のルリは忙しそうに見えるよ」

「え、こんなに暇を持て余してるのに」

「違うよ、感情のほう」

「ああ……」


 年下のサンディにまで言われちゃった。子どもたちにもバレバレだったし、情けないなぁ、もう。


「みんなに励ましてもらって、元気になったはずなのに、また同じことを考えてしまうの。どうしようもないよね。自分でもウジウジしてるのが嫌になっちゃう」

「それはさぁ、問題が根本的に解決してないからじゃない?」


 問題が根本的に……それは、そう。

 ただ改めて気付かされた気がして、ハッとしちゃった。


「何に悩んでるのかは知らないけどさぁ、気になってることが現状維持なら何も解決になってないじゃん? 思い出して憂鬱になるのは当たり前だよ」

「で、でもね? 気にしてたって意味がないことなんだよ? 私にはどうにもならないことだし」


 そもそも、何をもって解決とするのかもよくわかんなくなってきた。


 マリーさんの望み通り、トウルさんが城に行くのが解決なのかな……。あれ、なんだかモヤモヤが酷くなった気がする。

 やっぱり私はトウルさんにこのクランにいてほしいと思ってるのかも。かといって、マリーさんが悲しむのも嫌だって思っちゃってるんだ。


 偽善者もいいところだよね。私が悩むべきことじゃないってつくづく思う。


「悩みごとってそんなもんだよ。どうにもならないから悩むんじゃん」

「う、そうだね……」

「大丈夫! 何度ウジウジしてても、みんなで毎回励ましてあげるからさ!」

「優しいっ! でもいい加減にしないと見放されそう!」


 サンディはそうやって明るく言ってくれるけど、自分が自分を見放したいって思ってるもん。いい加減にしなきゃ。

 でも悩んじゃう。くっ、負のループから抜け出せないよぉ!


「あはは! ……見放さないよ。だってオレ、ルリのこと好きだもん」


 屈託なく笑って、ほんの少し恥ずかしそうにサンディは告げた。

 可愛い! なんていい子なの……!


「ありがとう、サンディ」

「……伝わってなさそー」

「え?」

「なんでもなーい」


 何か小声で呟いたみたいだったけど……そう思って首を傾げていると、玄関ホールのほうから声が聞こえてきた。


「だ、誰かいませんかー……?」

「ん、なんだろ」


 フードマントを被った少年、青年かな? 何か小包を持ってる。

 確認しに行ったサンディについていく形で私も玄関へと向かった。


「お、お届け物です」

「ふぅん、誰宛て?」

「えーっと、ルリさん、という方、ですね」

「ルリに? ……怪しいな」


 私に届け物……? 心当たりはないし、たしかに少し怪しい。

 でも青年は困った様子だ。彼は荷物を届けにきただけだからと身体を縮こませている。ちょっとかわいそうだね。


 ちょうどその時、二階からメディが下りてきた。これからサンディと仕事に向かう予定なのだという。


「どうしたの?」

「んー、ルリに小包が届いてる……んだけど、オレが開けていい? ちょっと怪しい気がする」

「う、うん」


 サンディがそこまで怪しむなんて、ちょっと不安になってきた。一体なにが入ってるというんだろう。

 覗き込もうと身を乗り出したらメディに引っ張られちゃった。そんなに警戒しなくても——


 そう油断した瞬間、小包が爆発した。


「っ、ルリ!」

「きゃ……」


 咄嗟にメディが私を抱きかかえてその場から跳び、壁際まで離れてくれた。おかげで爆風は受けたけど、私にもメディにも怪我はなさそう。

 う、耳がキーンとなる……でも、それどころじゃないっ!


「サ、サンディ……!」


 小包を持って開けてくれたのはサンディだ。誰よりも爆発の影響を受けたはず……!


 身体が震える。そんな、私のかわりに荷物を受け取ったせいで……!


「あ、わ……お、俺、俺は何も知らないぞっ!」

「あっ、ちょ……」


 荷物を届けに来た青年はすでに玄関から離れた場所にいたみたいで、遠くから叫び声が聞こえてきた。たぶん、逃げてしまったのだと思う。


 残された私はサンディが気がかりなのと煙で視界が悪くてすぐには動けず、メディもまた追うべきなのか逡巡しているようだった。


 煙が少しずつ晴れ、床に倒れ伏すサンディの影が見える。

 慌てて駆け寄ると、ジャリッとした感覚が靴の裏にあった。

 なにこれ、ガラス? それに小さな刃物まである……! まさかこれが小包の中に入ってたの……?


 こんなの、至近距離で受けたら無傷じゃいられない!


 震えながら目を向けると、そこには血まみれのサンディの姿があって……。


「そんな……! サンディっ」

「だ、いじょう、ぶ……くそっ」


 体中にガラスや刃物の破片が刺さってる……!

 咄嗟に顔や首を防御したのか致命的な傷ではないみたいだけど、腕が特に酷い。ど、ど、どうしよう……!


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