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ロバート教授の幻獣生態調査記録  作者: ロバート・クロフト
第十九章 一九六五年 北東辺境小集落における反復的夜間侵入および林縁火光の継続確認
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第一節

**一九六五年九月二日 北東辺境、ラーデン谷再訪**


ラーデン谷の名を、私はこの年の春までは机の上で見直すだけに留めていた。

一九六一年の遠征記録は、火、足跡、編み屑、焼畑跡、尾根の古道、そうしたものを一応の形にまとめてはいる。

だが、読み返すたびに、現地の被害報告とこちらの観察とが、まだ少し別の紙に乗っている感じが残った。

それを埋めるためだけに再訪を決めたわけではない。

大学の側でも、辺境の小規模集落被害を数年ぶりに見直したい事情があり、谷の村でも、以前ほど騒ぎはしないが、畑の端で消えるものと、夜に出る火は続いているという。

その程度の理由が重なれば、山へ入るには十分だった。


再訪の書類名は、前回より少し乾いていた。

**「北東辺境小集落における反復的夜間侵入および林縁火光の継続確認」**

初回のような、若手へ押しつける曖昧な確認というより、継続の有無を見てこいという書きぶりである。

四年という時間は、私自身にも、大学の側にも、それなりの変化を与えていた。

少なくとも今回は、最初から「害獣か亜人か」を急いで決めに入るつもりはなかった。

見たいのは、谷の者が何をまだ被害と呼んでいて、何をもう日々のこととして受け流しているか、その差のほうだった。


ラーデン谷へ入る道は、四年前と大きくは変わっていなかった。

痩せた川、近い斜面、畑の貼りついた谷底。

ただ、人の手の入る幅が少し縮んでいる。

一つ目の村の畑は端のほうが荒れ、二つ目の村の上では焼畑跡が以前より草へ戻りかけていた。

その代わり、谷の入口の農具小屋は前より頑丈に直され、板戸の下には鉄の帯が渡されている。

被害に対する村の側の覚え方も、四年で変わったらしかった。

怯えるだけでなく、塞ぐところは塞ぐようになっている。


谷の入口で迎えたのは、以前の領主代行の使いではなく、その甥だという若い男だった。

年齢のわりに声が大きく、話し方もよく似ていた。

納屋の被害、芋の持ち去り、夜の火、やはり皆まとめて「ゴブリンの仕業」と呼ぶ。

ただし前回と違い、今回はその口ぶりに少し諦めが混じっていた。

「取られるのはいつも少しずつです」

と彼は言った。

「だから厄介なんです。狼みたいに大きく荒らすなら、皆で追い払えます」

私はその言い方を、そのまま手帳へ入れた。

大きく壊すものは敵として扱いやすい。

少しずつ持っていくもののほうが、生活の縁へ長く食い込む。


村役は、四年前のベッカーではなく、その息子が務めていた。

ベッカーはもう歩くのが難しいという。

私は少し残念に思ったが、こういうことはよくある。

再訪の時に待っているのは、同じ現地ではあっても同じ顔ぶれではない。

息子の名はヨアヒムといい、父ほど無口ではないが、やはり話を足跡や地面から始める癖があった。

その点はありがたかった。

若い案内人ほど、伝承をそのまま物語にしてしまうことがある。

ヨアヒムはまず、最近被害の出た畑の端と、火が見えたという林縁を順に指し示した。


最初に見たのは、谷の入口の農具小屋ではなく、二つ目の村の外れの蕪畑だった。

抜かれている。

だが四年前に比べると、土の荒れ方がずっと少ない。

蕪は三つ、葉だけが二本残り、土は狭い範囲で浅く返っている。

人間の盗人なら量が少なすぎるし、獣なら乱れが足りない。

私はそこで膝をつき、跡の周りの土を指で崩した。

前に見たものとよく似ている。

土を大きく掘るのでなく、表土だけを押し分け、根の位置を確かめて抜いている。

しかも畑の中央ではなく、林縁に近い側へ偏っていた。

村人の被害感覚はそのままだが、地面の上では四年前とかなり同じ手つきが続いているらしかった。


さらに、その畑の端には細い木の枝が二本落ちていた。

ただの折れ枝かと思ったが、長さが妙に揃っている。

片方の端だけ少し削られ、湿りを失った樹皮がめくれていた。

四年前、焼畑跡で見た切り枝を思わせる。

もっとも、思わせるからといって、すぐ同じ用途へ結びつけるのは早い。

私はそこをこらえ、枝の長さと位置だけを記した。

再訪では、この種の自制がいちばん効く。

前の記録を知っているぶん、かえって何でも既知の線へ乗せたくなるからである。


昼前、ヨアヒムに案内されて、以前の焼畑跡へ上がった。

そこはもう半ば草へ戻り、昔の明るい斜面というより、若い木が戻りかけた荒れ地になっている。

それでも、低い火床の出る窪みはまだあった。

灰そのものは新しくない。

だが、その近くに、乾いた実の殻と小さな骨片がまとまっている。

前回は根菜と小動物の火だった。

今回はそこへ木の実が強く混じっていた。

季節の違いもあるだろう。

同時に、谷の対象が四年のあいだに使う資源の比重を少し変えているのかもしれない。

私はその時点で、再訪の面白さは「前と同じか違うか」を数えることではなく、**何が同じで、何が地形や季節に応じてずれるか**を拾うことにあると、ようやく実感した。


焼畑跡のさらに上、古い炭焼き小屋の残りは、前よりも崩れていた。

屋根は完全に落ち、炉の縁だけが残る。

だが、奥の乾いた部分に、小さな編み屑がまだ寄せてある。

四年前のものとは違い、今度は草繊維に加えて、もっと細い獣毛がかなり混じっていた。

袋か小籠の縁に見える点は同じだが、手触りは少し密で、前より丁寧な仕事に思えた。

技術が変わったのか、季節が違うから材料が違うのか、それとも前には見えなかっただけか。

そこは決めず、ただ「編みの密度が違う」と書いた。

初回の私はこういう時、すぐ文化段階や道具発達の語へ寄りかけた。

今回はそこまで急がずに済んだ。


午後、谷の上のほうから、四年前と同じような低い火が見えた。

ただし時刻が少し早い。

まだ日が完全には落ちていない。

私はそれを見て、前回より近くへ寄るより先に、まず風向きと位置を確かめた。

ベッカーの無言の忠告を、私はようやく身体で覚えたらしい。

ヨアヒムは私がすぐ上へ詰めないのを少し不思議そうに見ていたが、説明はしなかった。

現地では、急がぬ理由を逐一言わぬほうがよいこともある。


火の周りの影は、この距離でも前より少し分かりやすかった。

低い。

だが、ただ低いだけでなく、立つものとしゃがむものの違いがある。

一つは火のそばで手元を動かし、もう一つは少し外を見ている。

さらに、火の赤の外れで、もっと小さい影が短く走った。

私はその並びを見て、初回の時よりはるかに静かに受け止めた。

四年前なら、その場で「群れ」だの「役」だのと書きたくなっただろう。

今は、火のそばに立つ位置と、畑の端で抜かれた蕪の少なさと、焼畑跡の窪みの使われ方のほうが、まず先に同じ紙へ乗ってくる。


夜の記録には、こう残した。


**ラーデン谷再訪。

谷入口から第二村上手にかけて、根菜持ち去り、浅い掘り返し、低い火床、編み屑、細枝の揃いなど、前回と同系の反復を確認。

一方で、資源利用は木の実・小動物・根菜の比重が前回とやや異なる可能性がある。

夜の林縁火光はなお継続し、少なくとも複数個体が火の周辺で異なる位置を取る。

初回の記録と照合するに、谷の対象は四年の隔たりをもってなお同一の利用帯を保っているらしい。

次は、村の被害語と、谷側の反復線とを、同じ日の中でさらに近づけて見たい。**


谷の地面は、以前より少しよく読めるようになっていた。

それだけで、再訪としては十分な始まりだった。


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