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ロバート教授の幻獣生態調査記録  作者: ロバート・クロフト
第十三章 一九六一年 北東辺境における小規模集落被害と夜間火光現象の実地確認
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第四節

**一九六一年十月五日 ラーデン谷上手、伐採地の上の尾根筋**


谷の中へ三日も入ると、村の者が何を“同じもの”として見ているかが少し分かってくる。

被害の出た納屋、焼畑跡の火、炭焼き小屋跡の編み屑、沢筋の卵殻と小骨。

それぞれは別の場所にあるが、村の者にとっては皆「夜の向こう側」から来る。

そのまとめ方は粗い。

だが粗いからといって、ただ間違っているとも限らない。

粗い見方の中にだけ残る線もある。

私はそれを確かめたくて、この日は谷底ではなく、伐採地のさらに上、尾根筋の低い通り道を見ることにした。


ベッカーの話では、夜の火は谷底からは林縁に見えるが、上から見ればもっと散っているかもしれないという。

伐採地の上には、かつて木を引き下ろした古い道が残っていた。

今は半ば草に埋もれ、雨が削って浅い溝になっている。

人間の荷馬はもう通らない。

だがこういう古い道は、谷に慣れたものなら獣でも人でも使いやすい。

見通しがよく、地面がある程度締まり、谷底の湿りを避けられるからである。


朝のうちにその道へ入ると、予想どおり、痕は谷底より出やすかった。

泥の深い足跡ではなく、草の寝方と石の粉の乱れ方として残る。

私は古道の縁をたどり、陽のよく当たる曲がり角で、まず一つ小さな堆積を見つけた。

木の実の殻だった。

このあたりに普通の栗はない。

谷のさらに外、南斜面のほうに出る小さな堅果で、村では子どもが拾って食べる程度のものらしい。

それが三つ、四つ、まとまって割れている。

偶然鳥が落としたとも考えられる。

だが割れ方が揃いすぎていた。

歯で砕いたのでもなく、石で強く叩いたのでもない。

硬い端で割り目を入れ、少しずつ開いたような壊れ方である。

私はそれを見て、谷の中で拾った根菜や卵だけではない採集の線が、もう一つ尾根筋にあるかもしれないと思った。


その先の伐採地の端で、細い木の枝が束ねられていた。

縄では結ばれていない。

裂いた樹皮を湿らせて巻きつけたような、頼りないまとめ方だった。

人間の仕事の残りなら、こんなところへ置き忘れはしない。

また、自然にこうなるとも考えにくい。

長さは揃い、太さもほぼ同じで、先端だけが少し焦げていた。

焚きつけにするには妙に丁寧で、何かの印にしては控えめすぎる。

私は持ち帰るか少し迷ったが、結局その場の形を写すだけにした。

無理に持ち去れば、夜に何かがまたそこへ戻った時の手がかりを失うかもしれなかったからである。


昼近く、古道が尾根へ上がりきる手前で、私は初めて人間のものらしい痕と、そうでない痕が交差するのを見た。

村の若い木こりが使うと思われる靴跡が二つあり、そのすぐ脇を、例の裸足めいた小さな足跡が斜めに横切っている。

靴跡のほうは朝露を大きく崩しており新しい。

小さい跡はその上を避けるように通っていた。

つまり、あとから来たのは小さいほうだった。

人間の通ったあとを読んでいるのか、単に踏みやすいところを外しただけかは分からない。

だが、少なくとも谷の縁を使うものは、人の道を知らずに横切っているのではない、という感じがあった。


この日、私はもう一つ、いささか不用意なことをした。

尾根筋の向こうへ、煙の名残のような匂いを感じたのである。

ベッカーは風の向きからして違うと言ったが、私は沢筋で見た小さな火床のことが頭にあり、古道を外れて林の中へ少し踏み込んだ。

匂いの元はすぐ分かった。

火ではなく、樹液を集めるために古く傷つけられた木が、陽に温まって甘く発酵した臭いを出していただけだった。

私はその場で少しばつが悪かった。

現地へ入ると、人は一度結びついた線を何にでも当てたくなる。

火を見たあとなら、甘い匂いまで煙にしたくなる。

そういう勘違いは、早いうちに自分で踏んでおいたほうがよい。


午後、尾根の向こう側へ回ると、思いがけず小さな平場があった。

古い伐採の作業場だったのだろう。

切株が四つほど残り、その中央の地面が不自然に締まっている。

そこに火床はなかったが、浅い窪みと、小さな骨片と、細かな灰の散りが見えた。

焼畑跡や沢筋のものほど新しくはない。

それでも、谷の利用が一箇所へ固定しているのでなく、尾根筋の複数の平場を点々と使っている可能性を考えるには十分だった。

もしそうなら、村で一つの「群れ」と呼ばれていたものは、夜ごとに同じ場所でまとまって暮らす集団ではなく、もっとゆるく地形を渡る単位なのかもしれない。


その夕方、私は村へ戻らず、尾根筋の下の古道の脇で一人、短く張ることにした。

ベッカーは日が落ちる前に下りた。

「火が見えても近づくな」

とだけ言い残して。

私はその忠告を、半分だけ真面目に受け取った。

今思えば、あの半分が若さだったのだろう。


夜は谷底より静かだった。

風は尾根を越える時に細くなり、古道の溝へ沿って流れる。

暗くなると、下の村の灯が逆に遠く感じられた。

私は古道の曲がり角の陰で待ち、日中見た枝束のほうへ耳を向けていた。

すると夜半前、火ではなく、先に足音が来た。

極めて軽い。

土を踏むというより、締まった地面を時々確かめるような音である。

人間の靴ではない。

私は息を止め、溝の向こうを見る。


最初に見えたのは、火ではなく肩の高さだった。

低い。

だが前夜、焼畑跡で見た影より少し大きい。

その後ろに、さらに低い影が二つ続く。

私はそこで初めて、前日に曖昧に見た「二つか三つか」が、どうも一様な大きさではなかったことに気づいた。

先頭の影は古道の曲がり角で一度止まり、地面へ何かを置くような動きをした。

次の影はその横をすり抜け、さらに前へ出る。

最後の小さい影は少し遅れて、切株の陰にしゃがんだ。

その並びは乱雑ではない。

互いに役を分けているように見えた。


火はその後に出た。

ごく低い赤で、枝束の先だけが小さく明るくなる。

今夜の火は焼畑跡のものよりさらに短く、何かを温めるというより、火種を移すためのようだった。

先頭の少し大きい影が、細い枝を選び、火のそばで端を焦がし、すぐに潰す。

それが二度続いた。

私はこの時、彼らが火を“焚く”のではなく、“運ぶ”ことを覚え始めたのではないかと感じた。

谷のあちこちで小さな火床ばかり見つかる理由も、それなら説明しやすい。


声は前夜よりさらに短かった。

呼びかけというより、確認である。

一音。

間。

もう一音。

それに対して、切株の陰の小さい影が低く返す。

私は意味を取るつもりはなかった。

ただ、火の扱いと同じく、彼らが互いの位置を音で保っていることだけは、今夜の距離でもかなりはっきり見えた。


私はそこで、もう少し近づこうかと考えた。

古道の溝に沿えば、あと二十歩ほどは詰められる。

風も今のところ悪くない。

だが、前夜の火を潰されたばかりである。

この夜は踏みとどまった。

代わりに、そのまま位置と動きを見た。

先頭の影は細い火種を持って尾根の向こうへ消え、二つ目がそのあとを追い、最後の小さい影が切株のそばを確かめてから去った。

去る時に、その小さい影が切株の根元から何かを拾ったように見えた。

朝に見つけた堅果だったかもしれないし、別のものだったかもしれない。

そこまでは分からない。

だが、火と採集と移動が別々でなく、一続きの夜の仕事として並んでいることだけは、かなりよく見えた。


火が完全に消えたあと、私はしばらくその場を動かなかった。

無理に追えば、また匂いか音で見切られるだけだろうと思ったのである。

若い頃の私にしては、その判断はそう悪くなかった。

夜の尾根筋は、見えた以上に遠い。

そして、近づける時ほど近づいてはいけないことがある。


翌朝のことを考えながら、私はその夜の記録を短くまとめた。


**尾根筋の古道において、体格差を持つ複数個体の移動を確認。

火は焚火というより、短い火種の移送・確認に近い。

枝束、堅果殻、小平場の痕は、夜の移動線と矛盾しない。

谷の利用は焼畑跡と沢筋だけでなく、尾根の古道まで広がっている可能性が高い。

また、個体間には少なくとも位置確認と作業分担に似た動きがある。

次は、昼の尾根筋の痕と、夜の火種移動の線を重ねて見たい。**


この夜で、ラーデン谷の対象はようやく「畑を荒らす何か」から外れ始めた。

ただし、何へ近づいたのかは、まだ名前にしないほうがよさそうだった。


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