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とはいえ、誰がどう見たって泣かせる事は言って無いはずだ。咎める事も、非難する事もしていない。
対応に困って後ろに結いた髪をいじくり回していると、微笑さんがひゃっくりを上げながら返答してくれた。
「ず……すみません~~。う…………嬉し泣きです~……。私の事も『愛子』って読んで下さい~……」
「はぁ…………」
そんな感受性の強い愛子さんと話していると、ドタドタと叩き付けるような足音が聞こえて来た。それも段々と近付いて来る。音の聞こえてくる方を見ると急に扉が開き、息を切らした雫が表れる。なんだか勢いで殺されそうだ。雫は私を見ると顔を輝かせ、また猛ダッシュする。
「紅葉~~~~~~!! 会いたかったよー!! 寂しかったよー!!」
そして雫も泣き出した。何故か私が泣かせた構図になっているが、傷付けるような事を言った覚えはない。断じて。それ故にどうしたら泣きやんでくれるのか分からず、途方にくれる。……どうしよう……。
「泣き止んで欲しいのだけど」
「ご、ごめんなさい……」
「ごめん、ごめん」
私がぼそっと言った一言を二人は聞き逃さなかった。ハンカチ片手に二人は涙を拭う。
二人はさっきとは打って変わってぽわぽわした微笑みを浮かべた。半径数メートルにまで及ぶ春の雰囲気。流石である。
愛子さんは目を輝かせながらまた手を合わせる。そしてその後直ぐに十字を切った。何処の宗教に加入しているのだろう……。
雫は私の裾を引っ張ると楽しげに話し掛けてきた。
「吐き気が凄いって聞いてたけど、元気で良かった。寂しさの余り、一時間おきにメールしようとしたら蒼ちゃんに全力で止められちゃった……」
えへへ……。と、頭を掻き苦笑いした。次に愛子さんの方へ向き直ると、微笑みを浮かべる。
「遠くで見てるだけより、色々分かるでしょ?」
「そうだね。何度か話掛けようとしたんだけど、美貌に負けた」
愛子さん、そんなドヤ顔で言うことも無いと思うのだけど……。
彼女は情報通なところを自慢気に話した方がよっぽど似合っている。もっと誇れるところがあるのに勿体無い。
私が彼女の方へ目を向けると慌てて目線を下に向ける。
「正直、紅葉様の美しさは目が潰れるくらいなので、これで勘弁して下さい……」
「……綺麗じゃないよ。それより何か宗教でも加入しているの? 仏教徒? それともキリシタン?」
そう尋ねると真っ青な顔をして慌て始めた。初めて人間を見た小動物の反応によく似ている。周りをきょろきょろ見回し、微かに肩を震わせている。
私が首を傾けていると雫が肩をつついて助け舟を出す。
「そんなに緊張しなくても………」
愛子のコンセプトはずばり、
『こんな妹居たら毎日楽しいだろうなぁ』
です。
(私が書いている中で、そういう子多いです)
感情豊かで、明るくて……。そしてシスコン気味なお兄さんが居て……。
そんな兄妹見てみたい!!




