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アンデッド ─undead─ 一部  作者: 秋暁秋季
第二体 ミエザルメ
73/178

2

「はいはい、起きてますよー。朝は所長から貰ったベーグルとミネストローネね。『新作だから味見して欲しい』ってさ」

 瞼を掌で擦りながら、部屋を出て行く。私は慌てて制服に着替え、後を追う。まだ髪には寝癖があるし、ぼさぼさだ。

 最近は塊に家事全般を任せっきりにしている為、今回ばかりは手伝わねばならないと足を動かす。

 ダイニングに行くと塊がレンジでミネストローネを温ていた。その間にベーグルを半分に切り、間にサラダ、マヨネーズと切り刻んだ玉子を挟む。隣にパン用のランチボックスがあるため、お昼も同じものを入れるつもりだろう。

「手伝う」

「じゃあ、水筒にお茶入れて。あと完成したベーグルを皿に置いて」

 塊がレンジ内のミネストローネを持ち、テーブルの上に置いていた。私もベーグルを皿に盛り、運ぶ。一度戻って紅茶を水筒に入れる。塊もベーグルをボックスに詰めているところだった。

「はい、じゃあ鞄の中に入れて置くから先食べていて」

 私は頷くとスプーン片手に席につく。右手でミネストローネを掻き回し、左手でベーグルを突っ込む。モチモチした食感のベーグルと、粗めに砕かれ玉子が口の中で混ざり合う。このベーグル、商品化に時間はかからなさそうだ。

 次にミネストローネを啜る。トマトの酸味と甘さが流れ込んでくる。くにくにした食感は恐らくリボン状のパスタだと思う。

 無心で朝食を貪っていると、不意に髪を引っ張られる感触がした。

「あっ、そのまま。時間ないからこのままやるよ」

 そう言って毛先のわだかまりをブラシでほぐし、もう一度ブラシを入れた。髪全体にブラシを通し、高い位置で纏めると何時ものポニーテールの姿になった筈……だ。

 髪のセットが終わる頃には食事も終わっていた。

 食べ終えた皿をキッチンに持って行き、皿洗いをする。この感じも久しぶりだ。泡立つ感じとか、すっかすかのスポンジとか。

 食器を洗い終えた後、荷物を持って玄関へ。 

「行って来ます」

「はい。行ってらっしゃい」

 塊と挨拶を交わし、外に出る。なんだか学校に行くのも久しぶりな気がしてならない。たった一日外へ出なかっただけなのに、数年前の事のようにも思える。変な感じ。

 私は長い通学距離を何も考えずに過ごす。バスの中、満員電車の中。人と接触するときは尚の事。出来るだけ心を無にする。

 そんな事をしているうちに馬鹿デカい校舎が見えてきた。

  

  ──私立夢叶学園(シリツムキョウガクエン)──


 その表札を見て、私は門をくぐった。


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