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蟒草さんの特訓も、もう一週間がすぎた。
「そろそろ晩御飯か。」
ちょっとだけ体力がついた気がする。前よりは呼吸があらくなくなってきた。
「今日は週一の報告会だ。榧も来る。正装でいきな。部屋の棚に着物があっただろう?いつもの鍛錬着で来ちゃだめだからね。」
いつもはバラバラで食べていたけど、今日は違うのか。
「わかりました。」
「あ、千歳!一週間お疲れ様!努力はその痣でわかるよ…。」
会議室に入ると榧、紫雲英さん、忍冬さん、蟒草さん、それと少女一人が座っていて、いつもと同じ和食が並んでいた。
「さて、全員揃ったね。あ、そういえば紹介してなかったか…。千歳!この子は私の側近の樒。狐族と人族のハーフでこの狐の仮面とか物作りのプロなんだ。」
樒さんはボブの緑色の髪色で、身長は榧と同じくらい。年齢もそうオレと変わらなそうだった。そして赤い狐の仮面をつけていた。
「あーえっと、初めまして。樒…さん?」
「…こちらこそ初めまして。」
まずい。会話が続かない。
「樒、千歳の仮面は出来たのか?」
紫雲英さんが口を開くと、樒さんはぱあっと仮面越しでもわかるほど笑顔になり、いそいそと椅子の下のカゴをオレの方へ持ってきた。
カゴの中を見ると榧の仮面と同じ模様の狐の仮面が入っていた。
「この狐の仮面は狐族の証。仮面には特別な効果が作られている。同じ模様の仮面をつけられるのは夫婦のみ。」
樒さんは誇らしそうにカゴを渡してきた。
「…ありがとうございます。」
こくりと樒は頷き、自分の席に戻っていった。
「さ、千歳も座って。」
榧はオレを手招きし、オレは榧の隣の席に座った。
「じゃあ、報告会を始めます。食べながらでいいわ。まず紫雲英から。」
「特に変わりはない。人族の当主は千歳が狐族の領域に入ってしまったことさえ知らないようだ。それほどに妻に夢中なのだろう。」
「新婚だっけ?」
「いや、忍。たしか5年前くらいだ。」
「…ラブラブなのはいいことじゃない。」
「次、忍冬。」
「んーオレんとこも変わりはないな。あ、でも先週、仮面をもらったやつが2人いて、どっちも男だったから戦軍に入るって。」
軍?
「榧、軍って?」
「あぁ、そっか千歳にはまだ説明してなかったね。側近にはそれぞれ役割があって、紫雲英は他族の情報や戦略を練る情報軍の責任者。忍冬は普段は違う仕事をしているけど争いをする際に戦う戦軍の責任者。蟒草は戦軍になかでも優秀なものを集めた【狐攻】の責任者。樒は仮面製作や武器の製作を行う造軍の責任者なの。」
なるほど…。
「わかった。ありがとう。」
「次、樒。」
「新たに20の仮面をつくった…。武器も予備はまだたくさんある。」
「どれくらいあるかしら。一人二刀くらいの予備が欲しいわ。準備に損はないもの。」
「…一人一刀の予備はある…が、二刀はない。」
「そう。準備よろしくね。」
「分かった。」
「次、蟒草。」
「【狐攻】はいつでも準備万端さ。でもそろそろ新しい人員が欲しい。忍。何人かもらえるかい?」
「んー、考えとく。」
「わかった。ありがとう。」
「…そういえば、蟒草。千歳の訓練きつすぎない?」
「そんなことないだろう。これくらい榧や薺ならよゆ…あっ…。ごめん、みんな。」
え…なにこの沈黙と空気。それに薺って…?
「蟒、以後気をつけてくれ。」
「うん。ごめん。紫雲兄、みんな。」
いや、薺って誰?
「薺のことは私が今度千歳に教える。もう報告会もお開きにしよう。みんな、自室に戻っていいよ。」
「分かった。」「りょうか〜い」「うん。」「…はい。」
オレはモヤモヤしながら自室に戻った。
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