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覚悟…か。

「あたしは素手でいい。あたしに一回攻撃が当たったら千歳の勝ちでいい。けど、当たるまでこの試合はおわらない。」

面の下に表情はみえないが、笑っていると感じた。

「あたしは背は低いが、19だ。そして、そしてすべての年月を力に注いできた。つまり、千歳が勝てるわけがない。

…ただ、あんたは榧の婿なんだろ?あたしくらいに勝たなきゃ鬼の当主には勝てない。」

まずい。蟒草さんめっちゃ歳下だと思ってた。すいません。ほんとに。


「さぁ、かかってきな。」


蟒草さんはオレを見下すようにそう言った。

本当は戦いたくない。痛いのは嫌だし、努力も好きじゃない。ただ、榧の涙を裏切りたくない。

「…いきます。」

オレは全速力で走り、木剣を蟒草さんの真上から振った。


バシッ


「いったぁぁぁぁ!」

ただ、悲鳴をあげたのはオレだった。

すねに蟒草さんの拳があたった。うめき声をあげるには十分な痛さだ。

「はぁ〜あ。遅い!遅すぎる。それに嘘ならまだしも馬鹿正直に攻撃することを言うかい。こんなんじゃ榧の事を守るなんて絶対にムリ。逆に守ってもらうことになるよ。」

守られる?冗談じゃない。もう守られるのは嫌だ。

オレは蟒草さんを強く睨んだ。

「いいじゃん。漢(おとこ)らしくなってきた。」

「うわぁぁぁぁぁ!」

オレは力を振り絞って木剣を蟒草さんに投げた。

「おいおい…使い方を間違ってるよ…。」

蟒草さんは簡単そうに木剣をキャッチする。

違う!本命は「そっち」じゃない。

オレは木剣を投げ、蟒草さんが木剣に意識が行っている間に蟒草さんの後ろに周った。そして左(・)手(・)で殴った。

「おっと危ない危ない。さっきよりはマシだね。でもこんなんじゃまだまだ…」

残念ながら左が避けられるには予定通りだ。


「んなっ左フェイク!?」


そう、本命は右ストレートだ!


「…いいじゃないか。」


蟒草さんは目で追いつけない速度でオレの後ろに周った。

「っく!」

速…すぎる。

瞬きをするとオレの目線は天井をむいていた。

「意外と強くて驚いた。でもまだまだ拳の使い方が甘い。あんたは頭の使い方が上手いんだね。いいことだ。」

今まで窃盗とかしてたからな…。まさかそれが役にたつときが来るとは…。

「う゛っ」

蟒草さんは倒れているオレにまたがり、関節技をした。

「っへ?」

「気ぃ抜きすぎだ。今のはウォーミングアップの一つにすぎない。まだまだやることはいぃぃぃぃぃぃっぱいあるよ。じゃ、まず骨を柔らかく、いってみよう!」

待って待って待って嫌な予感しかない。

「あの、蟒草さん優しく…」

ゴキッ⭐︎

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」

この悲鳴は屋敷中に響いたらしい。


コンコン

「蟒姉?そろそろ夕飯だぞーって、お前、千歳か…?」

オレは…生きたぞ…。

「連絡ありがとう。片付けをしたらすぐ行く。」

「おけー」


「なぁ千歳、自分の想い人が…仲間が裏切ったら…お前はどうする?」

想い人?仲間?裏切る?どういうことだ…?

「ごめんよ。やっぱなんでもない。夕飯食いに行くよ。ほら立ちな。」

「…もう体が動きません…。」

「…また引きずるか…。」


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