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異世界転移者専用ヘルプデスクですが、なぜか俺の黒電話に繋がります  作者: よんまるよん


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第3話 移転初日の男

ジリリリリリ。


「死ね」


「初日です」


「は?」


「初日です」


「いや知らんよ」


「初日なので、何も分からなくて」


「うん」


「教えてもらえますか」


「無理」


「無理!?」


「俺はヘルプデスクじゃない」


「ヘルプデスクって書いてました」


「お前のステータスがバグってんだよ」


「バグ」


「うん」


「初日なので、バグも分からなくて」


「あっそ」


ぼんやりした声だった。男か女か分からない。たぶん若い。


「あの」


「何」


「名前を聞いてもいいですか」


「教えない」


「私のです」


「お前のかよ」


「私のです」


「自分の名前くらい分かれよ」


「分からないんです」


「ステータス見ろ」


「あ」


「ステータスに書いてあるだろ」


「書いてあります」


「読め」


「ヴェルティリオン・カスタネード・フォルクヴァングソン」


「は?」


「ヴェルティリオン・カスタネード・フォルクヴァングソン、です」


「お前」


「はい」


「日本語喋ってんな」


「喋ってます」


「何で名前だけそんな長えんだよ」


「分かりません」


「日本人じゃねえの」


「分かりません」


「『言語理解』で翻訳されてんなら名前も翻訳されろよ」


「されません」


「何でだよ」


「初日です」


「初日関係ねえだろ」


「初日です」


「お前」


「はい」


「日本語で『初日』って言葉だけは知ってんだな」


「知ってます」


「他は」


「分かりません」


「便利だな日本語」


「便利です」


「で、名前」


「ヴェルティリオン・カスタネード・フォルクヴァングソン」


「無理」


「無理!?」


「覚えられん」


「私のですよ」


「無理」


「ヴェル」


「やめろ」


「ヴェルでいいです」


「ヴェルもやだ」


「えっ」


「カタカナだろ」


「カタカナです」


「俺はカタカナの名前覚えないって決めてるんだよ」


「決めてるんですか」


「決めてる」


「何でですか」


「めんどくさいから」


「酷い!?」


「お前」


「ヴェルティリオン・カスタネード・フォルクヴァングソンです」


「お前」


「ヴェルティリオン・カスタネード・フォルクヴァングソン」


「うるさい黙れ」


「黙ります」


「で、何があった」


「初日です」


「それはもう聞いた」


「ステータスってどう見るんですか」


「もう見てんだろ」


「あ」


「さっき見たろ」


「見ました」


「じゃあ見ろ」


「見てます」


「で?」


「えっと、レベル、ゼロ、です」


「ふーん」


「HPゼロです」


「死んでんだろ」


「えっ」


「HPゼロは死人だぞ」


「初日なので、生死もまだ」


「生死は決まってんだろ」


「あっ」


「何」


「これ、HPじゃなくて『所持金』のとこ見てました」


「読めよ」


「ごめんなさい」


「スキル」


「スキルですか」


「何持ってる」


「えっと、『言語理解』、『鑑定』、『再構築』、『時空操作』」


「最後何」


「『時空操作』」


「は?」


「『時空操作』です」


「待て」


「はい」


「最初に戻れ」


「最初」


「お前何の名前って言った」


「ヴェルティリオン・カスタネード・フォルクヴァングソン」


「もう一回」


「ヴェルティリオン・カスタネード・フォルクヴァングソン」


「お前」


「はい」


「初日じゃないだろ」


「初日です」


「『時空操作』持ってる初日がいるかよ」


「初日です」


「何回目だ」


「初日です」


「何回目の初日だって聞いてんだよ」


「初日です」


「壊れたな」


「壊れてません」


「壊れたろ」


「壊れてません」


「自覚ないだけだろ」


「初日です」


「ふーん」


「初日です」


「お前」


「はい」


「家族は」


「いません」


「ふーん」


「初日なので」


「結婚は」


「してません」


「ふーん」


「初日なので」


「子供は」


「いません」


「ふーん」


「初日なので」


「奥さんの名前は」


「アリエラ・ソルフィーナ・ドラクメリス第三王女です」


「息子の名前は」


「セレスティオン・ヴェルティリオン二世です」


「やっぱリセットしてんじゃねえか」


「あっ」


「あっ、じゃねえよ」


「初日です」


「もう遅えよ」


「初日です」


「王女と結婚して子供までいたやつの初日があるかよ」


「あっ」


「あっ二回目」


「初日です」


「で、何でリセットしたんだよ」


「浮気で」


「ひでぇ王女だな」


「息子が」


「は?」


「息子が浮気を」


「お前の息子かよ」


「私の息子です」


「何歳だよ息子」


「八歳です」


「八歳が浮気するか!?」


「しました」


「世界どうなってんだよ」


「分かりません」


「初日って言うな」


「初日です」


「言うなって言ったろ」


「初日です」


諦めた。


異世界のことは異世界の問題だ。俺の問題じゃない。


「で、何が困ってんの」


「ステータスの『再構築』が押せません」


「押すな」


「えっ」


「『時空操作』持ってるやつが『再構築』押したら世界が終わるだろ」


「終わるんですか」


「知らんけど」


「知らんのに!?」


「何となく」


「適当!?」


「押すな」


「押しません」


「絶対押すな」


「絶対押しません」


「あと」


「はい」


「『時空操作』も使うな」


「使いません」


「『鑑定』だけ使え」


「『鑑定』だけ」


「他は封印しろ」


「封印します」


「初日にしては多い」


「初日です」


「うん」


「ありがとうございました」


「礼はいい」


「あの」


「何」


「お名前は」


「教えない」


「ヴェルでいいので教えてください」


「お前のあだ名だろそれ」


「あっ」


「ややこしいわ」


「ややこしいです」


「切るぞ」


「次もかけていいですか」


「かけるな」


「初日なので、また分からないことが」


「初日終わらせろ」


「初日です」


「終われ」


「初日です」


「終わ」


「初日です」


ガチャ。


受話器を置いた。


ヴェルなんとかカスタなんとかフォルクなんとか。


覚える気がない。


ジリリリリリ。


出ない。


ジリリリリリ。


出ない。


ジリリリリリ。


「死ね」


出た。


「勇者です」


また別人だった。

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