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第八話 隠された屋敷

 ⸻⸻⸻⸻⸻⸻


 【速報】式神使いが配信デビュー


41:名無しの探索者

 おい配信切れたぞ、どうなってる?

 

42:名無しの探索者

 >>41

 雷華ちゃんが突っ走って二階層突入、カメラが切れた模様。雷華ちゃんおっちょこちょいで可愛い。


43:名無しの探索者

 なるほどな、だからか


44:名無しの探索者

 式神使い、俺の俺の言いすぎててうざい


45:名無しの探索者

 >>44

 分かる、けどあれだけ可愛い子が式神だった俺でも言う。


46:名無しの探索者

 >>45

 じゃ、お前も式神使いなれば?俺はヤダww


47:名無しの探索者

 あの式神使い、式神使いの癖になんで治癒使えた?


48:名無しの探索者

 >>47

 ポーションの間違いでは?駆け出しでポーション持ってるとは思えんが


49:名無しの探索者

 風華様を拝みに来たのに配信切れてて涙目。アーカイブ見よう思ったらまだ上がってなくて埋まる


 ⸻⸻⸻⸻⸻⸻


 掲示板でそんな会話が繰り広げられているとはつゆ知らず、俺たちは古びた洋館の前に立っていた。


 かつては真っ白だっただろう壁は黒ずみ、壁には蔦が這っている。窓ガラスは所々割れ、まさにザ・ダンジョンという佇まいだった。


「くそー。撮れ高が!」

「もうそういうのいいから。早く入ろ」


 後ろから迫ってくるゾンビたちを風刃で弾き飛ばしながら、風華が洋館の門を押した。


 ギィっという錆びついた音を立てながら洋館の門がゆっくりと開く。

 古さに反してすんなりと開いた門は、まるで俺たちを手招いているかのようだ。


「入ったらカメラつかないか試そうっと」

「まだ諦めてなかったの?」

「ねぇ、普通に怖いんだけど……。なんで二人とも平気なの⁉︎」

「「ダンジョンってそういうものだろ? (でしょ?)」」


 かつては華やかに飾り付けられていたであろう(ダンジョンなので仕様かもしれないが)庭園は荒れ果て、良い味を出している。


 巨大な玄関扉まで辿り着くと、龍の頭を模したドアノッカーが据えられていた。テンプレだ。

 重厚そうなその輪に触れ、なんとなくノックすると、重々しい音が屋敷に響いた。


「なんでノックするの⁉︎」


 信じられないような顔をした雷華が、俺を睨みつけてきた。


「え、そこにドアノッカーがあったから」

「山があったから、みたいな言い方しないで!」

「一緒だろ」

「一緒じゃない! ばか!」


 涙目になった雷華を「うらめしや〜」と揶揄いながら扉を押すと、ギィィっという不気味な音を立てながらゆっくりと扉が開いていく。

 

「お邪魔しまーす」


 返事などあるはずもない洋館の中は真っ暗で、ひんやりとした空気に満ちていた。


「雷華、電気」

「神を電気ネズミ扱いしないで!」


 怒りながらも雷華が雷雲を作り出すと、ぼんやりと部屋が明るくなる。


「なぁ。どうにかしてここの電気つけれない?」

「うーん。いけるかなー?」


 雷華がコンセントを探し出し、なにやらごにょごにょと呟いて手をかざした。すると、バチバチと音を立てながら洋館に電気が灯っていく、


「おお! すげぇ!」

「ふん。これぞ雷神の力!」

 

 どういう仕組みかは知らないが、電気さえつくならなんでもいい。ついでにカメラも付いてくれたら最高なんだけど……。


「お! ついた!」

「なんで? どういう原理?」

「俺に聞くな。雷神様の神力だろ?」


 電源の付いたカメラを回すと、雷華がノリ良くピースサインをしてくる。


「お前怖いんじゃなかったのかよ?」

「中にお化けとかいるかも……と思ったけどなんもいないし、電気もついたから余裕です!」

「今、我々は二階層で見つけた洋館の中に居ます。なんと、雷華様が電気を付けてくれました! ありがとうございます」

「苦しゅうない、苦しゅうない」


 パタパタとありもしない扇で雷華が顔を仰ぐ。そんな茶番を繰り広げていると、「先行くよ」と風華がスタスタと奥へと向かってしまった。


「あ、風華待ってよー」

「早く行こ。時間勿体無い」


 奥へ向かった二人の背中を追いながら、俺はきょろきょろと周りを見渡した。


 棚には、かつては磨かれていただろう食器が陳列されている。廊下には映画でしか見たことがない甲冑や剣が飾られており、貴族の屋敷のイメージそのままである。


 アンティーク好きを連れてきたら涎を垂らしそうなラインナップだ。


「内装的には中世ヨーロッパってとこ?」

「その心は?」

「映画で見た洋館と似てる」

「信ぴょう性なさすぎ!」

「うっせぇ」


「もう、二人ともうるさい。こっち来て」


 風華の声にぴたりとふざけるのをやめた俺たちは、顔を見合わせて風華の元へと急いだ。


 風華は、地下へと続く石造りの階段の前に佇んでいた。


 館内の電気はついているにも関わらず、地下へ伸びる電灯は一つとしてついていない。


 壁には古びた燭台が並び、誰が灯したのかも分からない蝋燭だけが、ゆらゆらと地下への階段を照らしていた。


 ⸻⸻⸻⸻⸻⸻


 【速報】式神使いが配信デビュー


102:名無しの探索者

【速報】配信復活。二階層に屋敷なんてあったか?

 

103:名無しの探索者

>>102

二階層って真っ暗だよな?そりゃ見つけれんわ。よく見つけれたな。


104:名無しの探索者

っていうか、なんで電気ついてんの?


105:名無しの探索者

>>104

雷華ちゃんが付けた模様。まじで電気ネズミw


106:名無しの探索者

美少女二人とお化け屋敷とか。式神使いポジション変われ


107:名無しの探索者

>>106

それなww

守られてないでちゃんと守れ、なんもしてなくて草



 

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