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十五話:進化と仲間

偽物の月の触手を入手した僕はプランクトン君に与えるべく急いだ。プランクトン君は拒否せず食べてくれた。その後、プランクトン君に大きな変化が起こり、ついにプランクトン君が繭の中に入った。

あれから数日が経過した。僕は一睡もせずプランクトン君のそばにいた。

この数日は本当に有意義だった。なぜならプランクトン君をなんと呼ぼうか考えていたからだ。

プランクトン君は繭に入り、新しいプランクトン君が誕生する。

蝶の幼虫が成虫になると、「芋虫」という呼び方から「蝶」に代わるのと同じだ。まあ、変態と脱皮という大きな違いはあるが。

そんなの関係ない、という気持ちでここまで数日間ずっと考えていた。

(ワター君…………いやサナギ君……これも違うか)

色々な名前を考えついたものの、一向に決まらない。

「いっそのことガード、でもいいんじゃないかな」

名前、と言ったら真っ先に思いつくようになってしまったあの名前。普段ならこの程度の事は三歩歩いて忘れてしまう所だが、こんなにも付きまとって来るという事は何かしら惹かれる部分があるのだろう。

「ガード………いやメイジ………いやいや」

そうこう考えていると、突然繭から衝撃が流れてきた。しかし以前のものとは異なり、弱く、優しいものだ。

「おっ、ようやくだ」

僕が振り向くと繭が跳ねるように動いていた。白い膜のせいで中身が見えなかったと思いきや一瞬影が動いたのが分かった。

繭と同じぐらい心臓を飛ばせていると遂にその時がやってきた。

辺りに優しい衝撃が走ったかと思うと繭がゆっくりと割れ始めた。まるで花が開くように、花弁を露出するように繭が開き始めた。

「……………………」

僕は言葉を失った。呼吸すら忘れてしまっている。

中から出てきたのはフワフワで綿のような体表、そして以前より少し大きくなったプランクトン君。

ではない。

僕よりも二回り大きくたくましい緑色の体躯。足となる部分にはとげが生えている。腕の部分と思われる場所にもとげが生えていて、植物と見間違えてしまいそうな姿になっている。

「プランクトン…………君?」

ありえない。僕は口をぽかんと開けてしまう。

(だって………脱皮だって………プイさんが……)

プランクトン君は始め、僕の事が見えていないかのようにヨボヨボとした足取りで周囲を歩き回っていたようだが、しばらくすると僕に気づいてくれた。するとプランクトン君は突然僕に飛びついてきた。

「え、え?」

訳が分からず戸惑っていたが、優しい抱擁に僕も答える。

(プランクトン君…………いや、もう違うか………)

今まで考えていた名前などもうとっくに忘れてしまった。

(緑色のプランクトン………いや思いつかないや)

どうしようかと考えていると、突然思いついた。

「ウータミ。アイウータミなんてどうかな?」

抱擁したまま言うがプランクトン君に反応はない。まああだ名みたいな立ち位置として置いておこう。

「ウータミ君。これからよろしく」

「そうね、私からも言っとくわ。これからよろしく」

「え?」

僕とウータミ君は声のする方を向いた。



「それで………」

歯切れが悪く僕が問う。

この世に言葉が通じる生物はいるのかという質問には「部分的にそう」と答えれる。

プイさんは謎が多い人物だ。

側面に黒色のラインが入った上下緑色のジャージを着たプイさんは、そこら辺の石を枕代わりにして…………見たまんまに言うとぐうたらしている。

「あ?」

そう言うとプイさんはワカメ似の植物に手を伸ばした。

先ほど「食べたい」とのことで回収してきたのだが、十個中既に七つ食べ終えている。細身であるにもかかわらずどこに入っているのだろうか。

というか僕が最初にあった時、二度目に会った時よりもサイズが小さくなっている。今はウータミ君と同じようなサイズだ。

「あの、プイさんは今回は、どうしていらっしゃったんですか?」

以前もこうしてプイさんが唐突に現れたのだが、どうも唐突過ぎる。

「もしかして、なにか条件があったりして、前もそれが満たされたってことですか?」

質問するが、プイさんはワカメ似の植物をもぐもぐ食べているだけだ。いつの間にか植物が無くなっている。

(ほんとにプイさんかな?)

少しだけ不安になってしまう。見た目はプイさんだが、驚くほど性格異なっている気がする。

(聞いてみようかな?いや、とんでもなく失礼か………)

「というかあんたこんな数のメカメどうやって持ってきたわけ?絶対一人じゃ無理な数でしょ」

(いやプイさんか。ぽいから多分そうか)

「それは『吸収』で腕に張り付けて、それを連結させているんです」

僕が言うとプイさんは驚いた顔をして起き上がった。

「はぁ?だって吸収したとしてその後はどうするの?」

あれ?さっき見てなかったの?

「『破壊』で腕の細胞を切り離すんです」

今回も同じような流れで細胞を持ってきた。もちろん『合体』が怖かったので一個残して破壊したけど。

「いや……だって………え………?」

プイさんはうなっている。

「………つまり、『吸収』した細胞が自分の体の一部だと認識できてるってこと?」

しばらくしてそう質問された。

「はい?」

『吸収』した細胞が自分の体の一部?

「…………………つまりは、『合体』ではなく『吸収』の時点で自分の体の一部として扱えるってことだよね?」

そうまくし立てられるが、あまり理解できていない。しかしなんとなく、何となくだが分かりそうな気がする。

「はい、多分そうです」

そう言うとプイさんは息を飲んだ。すると考え始めて。あーでもない、こーでもないと考えている。なにを悩む必要があるのか分からないけど、プイさんには疑問に感じる部分があるらしい。

「……………随分早い成長ですね」

「なにか言いました?」

「いや………まあいいんです」

そう言うとプイさんは僕に向き直った。

「私の名前はプイ。この世界の”元”案内役にしてエイガさんの新たな仲間です」

「改めて何ですか?」

「いや、なんでもない。それよりもあんたは今、この世界の元上位存在を手に入れたんだ」



「この世界の全てを知りたくない?」

最強じゃないか。

続く!

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