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十一話:プランクトン君と栄養ある食事(1)

ひたすらに絶望した時突如プイさんが現れた。再開の感動もそこそこにプイさんによる診断が始まる。結果プランクトン君が生きている事が分かった。同時に安心もできない状態という事を知った僕は栄養を持ってくるために外へと赴くのであった。

僕の顔に日の光が当たる。

なんとか洞窟から抜けることができた。

なぜあの洞窟を迷うことなく抜けることができたのかって?

実は洞窟に点々と植物の細胞が落ちていてそれを辿ったらなんとか出口までこれた。

拾ってみると例のワカメに似た植物の細胞だった。

これをプイさんに届けようとしたけど目印が無くなったら帰れそうにないからさすがにやめておいた。

(さて、とりあえずは………ワカメを持ってこうか)

ワカメ似の植物に近づくと僕は「破壊」する。とりあえず十個破壊して持ち帰ろうとする。

一個持つ。二個持つ。三個持つ。四個持つ。一個落ちる。

「……………」

もう一度。一個持つ。二個持つ。三個持つ。四個持つ。一個落ちる。

「………………」

(………持てない)

どうしても五個目が持てない。というか多分十個持つことができない。

(じゃあいいか………いや、本当にいいのかな)

頭に思い浮かんだのは動きを見せないプランクトン君の姿だ。

(足りない。絶対足りない!)

もう一度!一個持つ。二個持つ。三個持つ。四個持つ。一個落ちる。

「あー!」

ついつい大声を出してしまう。

(いやいや。まだなにか………まだなにかあるはず………)

悩みに悩み、少し試したい事を思いついた。

(「吸収」って使えないかな)

「吸収」は己との一体化。

(これ、使えるかも………)

まずは「吸収」で右手に細胞をつける。そして急いでプランクトン君の方へ向かう!

なぜこのような事をしているのか。

簡単だ。こうすれば十個の細胞を一気に持って行くことができるからだ。

今十個の細胞は僕の右手にくっついている。お互いがお互いとくっついているため離れることもない。

(少し重いけどね)

僕はそのまま伸びた右手を支えつつプランクトン君の元へと急いだ。


(さて、どうしようか)

プランクトン君の周囲にまき散らされた先ほどの細胞を見て思った。

心なしかプランクトン君も嫌な顔をしているように見えてくる。

事はいくらか前に戻る。


僕はプランクトン君の元へ帰ってすぐに腕ごと細胞を口に近づけた。するとどうだろうか。

プランクトン君が動いたのだ!口元の細胞を強くこちらに押し返してきたのだ!

「……………え?栄養…………え?」

いやいやいや。まさかと思いもう一度近づけるがまた押し返してくる。

「…………あぁ」

さすがに僕の一部である細胞を食べる訳にはいかないという遠慮ということか。

僕は左手に力を溜め右手に、正確には新しく吸収した細胞の一つを残して「破壊」する。さすがに「合体」が始まっているであろうものに手を出す気にはなれなかった。

(痛いのは嫌だからね)

そして連結したままの細胞をそのままプランクトン君の口に近づけてみる。しかしこれも受け入れてもらえない。

「………………」

多分腕からはぎ取ったとバレているのだろう。まあ目の前ではぎ取ればそうなるか。

僕はそれら細胞をバラバラに「破壊」した。

「どうぞ………」

分解した細胞をおそるおそる口元に近づけてみる。

かなり緊張する。これで食べてくれなければ………どうすればいいんだ?

しかし杞憂に終わった。ついにプランクトン君は拒まなくなった。

「…………やった…」

安心。そう安心。

本当に良かった。

安心したら眠くなってきてしまった。

少し寝ようか。

Zzz

 Zzz

  Zzz

   Zzz

「そうだ、確認しないと。心音」

栄養が取れたなら心臓も動いて、なんなら脱皮も始まるかもしれない。

意識がウトウトと飛ぶ前にプランクトン君の方を見てみた。

プランクトン君は細胞を口の上に乗せたままピクリとも動いていなかった。

「良かった…………心音も大丈夫でしょ」

安心し脱力しようとしたまさにその時、少しだけ違和感を感じた。

だがあまりに些細な事だったので違和感は意識と共にまどろみに沈んでいくところであった。しかし、それを繋ぎ止めたものがある。

寝息には程遠い咆哮のようなそれは僕を一瞬で覚醒させた。

慌てて周囲を確認するが咆哮を出すような生物はいないように見える。

「なんだぁ」

再び意識を手放そうとする僕には十分な覚醒であった。

「うん?」

ようやく違和感の正体を探るべく頭が動いた。

だが、結構簡単に原因は見つかった。

「うん?食べてない……」

プランクトン君の口上に乗せた細胞。これに手が付けられてない。

(ここからわかる事はただ一つに限られてきます)

探偵気取りでそう言ってみるとすぐに気付いた。

「………もーし」

確認のため言うが案の定反応はない。




そして今に至る。

(どうしたら食べてもらえるかな……………)

これ以上はどうすればよいか見当もつかない。

僕は頭を悩ませていた。

「うーん……………」

なにか見落としている気がする。

「こんなことも分からないんだぁー」

プイさんの煽るような声が脳内に再生される。

()()()()()()か)

「いいよ!やってやるよ!」

僕は今までにないほど思考を回転させる。

「肉はこうすることで柔らかく………」「なにもそこまで難しく………」「こんなことも………」

(アー。なんか難しいかも…………………でももう少し続けようか)

「異世界って…………」「勉強のコツは………」「おかわり!」



こうして静かに、夜は更けていったのでした。

続く!

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