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朱都-7

ジェフの道場で剣の指南を受け、場所を変えながらクロウの魔法講習を受け続けて半年ほどが経った


その間に変わったことと言えば、ゲイルを含めた数人の門下生達が『これ以上教える必要はない』と認定を受けて道場を去っていき入れ替わるように入門した人たちの方が数が多く、門下生の総数が増えたことと、何故かクロウの魔法講義の受講者まで増えたことである


そして拓真はといえば・・・

「お前も成長が早い・・・尤も、俺の想定してた方向じゃあないがな!」


ウォーミングと素振りの後の打ち合いで道場の主(ジェフ)に指名され、1対1での体術や付与系魔法を併用する打ち合いをしていた

流石に相手に向かって打ち出す魔法や実剣の使用は禁止なものの、強化魔法の使用が前提であるために恐ろしい速度とパワーで放たれる剣を受けるか回避しながらの高速戦闘になる


テリーの物ほどではないが長く幅も広い大柄な模擬剣が横薙ぎに振られ、寸前まで拓真の身体があった場所を切り裂く


変幻自在に軌道を変える剣を相手に回避ばかりしているわけではなく、真上から振られた剣の軌道上に自分の刃引き刀を割り込ませ、その軌道が一瞬逸れたところに素早く蹴りを叩き込む・・・が、それよりも一瞬早く戻ってきた剣に蹴りを防がれた


そのまま切り払いの動作で吹き飛ばされる前に自ら後方に跳躍するが、同時にジェフも突っ込んでくるので着地と同時に素早く身をかがめて衝撃を殺し、刀の上で相手の剣を滑らせつつ瞬時に斜め前方に向かって駆けその場で反転、下から上に向かって刀を振ると今度は逆に剣で軌道を逸らされる


ジェフの場合、強化魔法を使っても拓真ほどの身軽さはないのか蹴りなどは殆ど使ってこない代わりに一撃が重く、受け流しに失敗すると得物を弾き飛ばされてしまう・・・というのがここ数日の間に気付いたことである


この打ち合いを始めた日など、強化魔法を使ってもジェフのスピードとパワーに追い付けず何度も吹き飛ばされていたほどで、何度も練習した上で強化魔法もクロウに相談しながら知覚速度ごと引き上げる改良を施して漸くまともに相手を出来るようになったのがそのここ数日の話なのだ


因みに両刃剣は、ダガーと同様緊急時に使うことが出来る程度の技量があればそれでいいと割り切って訓練を受けるようになっていた

想定していた方向ではない、というジェフの言は『片手でも振れる両刃剣ではなくより細くて軽い刀を振るい、手数を増やした高速戦闘を主体とする』拓真の戦闘スタイルに触れたものである



結局、打ち合いは制限時間内に1回も攻撃を当てることができずに終わった

一応手加減はしてくれているそうなのだが、いくらそれなりに歳を重ねているといっても経験の多さは伊達ではなく、そもそも隙が殆どないのだ

フェイントにより誘導して隙を作らせようと思っても、である



その日はクロウの講義は休みということになっているが、実際には『こういう術もある』程度にしか教えることがない拓真にとっての話であり、つまり講義自体は行われている

・・・尤も、講師本人のレベルが高すぎて人間なのかどうかさえ疑われている上に微妙に分かりづらい話し方をする所為なのかあまり受講者のレベルが上がっていかない、というのがここ最近の悩みらしい


なので、というわけではないが昼からは単独での魔獣討伐依頼を受けると決めていた


朱都付近でも1年近く前から頻繁に魔獣が姿を現すようになっており、その中で街に近付いてきた個体に関しては守備隊による排除が行われているが、頻度の高さと個体数の増加により仕事量が激増してきていた

その為、主に魔獣狩り(ビーストハンター)に対して街からやや離れた場所での討伐依頼を出すことで間引きしようと考えたのである


因みに拓真は既に魔獣狩りとしての登録を終えている上、討伐依頼を道場メンバーでの合同受注によりある程度達成できていたため、即席チームで動く程度なら全く問題ないと判断されている


今回、初の単独受注かつ即席チーム希望ということで受注手続き後暫く受付所内で待機していたのだが、その手続き時に渡された札が反応し(光りながら音が出)たため窓口に向かうと

同じように呼ばれたらしい人達が集まってきた

それを確認した受付係の人が口を開く


「では貴方方が今回即席チームを構成していただくメンバーになります

チームナンバーは『は-681-2501』、メンバーはエメリヒ・ショイブレ、ブルーノ・セルバンテス、バート・ニーストレイム、エイブラム・テイラー、タクマ・ホヅミ

これまでの受注達成データなどからリーダーはバート・ニーストレイムを指名します、よろしいですね?」


純粋な確認の意での読み上げに対し、拓真を含めた5人全員が異論無しと応え、そのまま受付所を後にし、そのまま大通りを南方向・・・南城門へと進む



その道中、南城門を抜けた辺りでチームリーダーに指名されたバートが戦闘時にどう動くかという情報が欲しいということで一時停止を指示、互いに自己紹介をすることになった


まずは言い出しっぺでリーダーのバート・ニーストレイム、基本は魔法主体の後衛だが刀身が長めのダガーを格闘用として持っておりある程度近付かれても対処は出来るとのこと

朱都での魔獣討伐依頼の達成回数は250回以上でそれなりに場慣れしているらしい


次にエメリヒ・ショイブレ、彼は珍しく魔法主体でありながら前衛とのこと

主にサーベルを使い、急所などを狙って刺突しながら魔法攻撃を行う戦闘スタイルが基本、依頼達成回数はバートより少ない150回程度


続いてブルーノ・セルバンテス、純粋な前衛であり強烈な筋力を更に強化魔法で補強(ブースト)した上で大質量の戦鎚を振り回したり時には自らの拳で殴りつける豪快な戦闘スタイルが特徴、射出系の魔法はからっきしと言うほどではないが戦闘中に使えるのは目眩まし程度とのこと、依頼達成回数はまだ30回程度らしい


そしてエイブラム・テイラー、一応後衛だが主な戦闘スタイルは魔法で目眩ましをした上で一気に近付いて短めの両刃剣で直接攻撃したり相手から自分の姿が見えない状態で魔法で補助した極太の針を投擲する闇討ちスタイルが基本とのこと、一応標準的な攻撃魔法や防御魔法の類いは使える上相手の動きを封じたりすることも出来るらしい

依頼達成回数は80回程度


拓真の自己紹介は一番最後になったのだが、細身の刀に多少の体術を混ぜた格闘と魔法の両方をメインウエポンとする前衛寄りの万能型、単独での依頼受注は初だがジェフの道場での訓練の一環で20回程度討伐依頼の経験ありと紹介した


拓真の自己紹介を聞いたバートは一瞬驚いたような表情を見せたがすぐに真顔に戻り、ブルーノを大きく動かせるように一番前に出しそのすぐ後ろの左右に前衛型であるエメリヒと拓真、最後方にエイブラムと自分が入る陣形にしようと提案し、他のメンバーも異論は無いようである


そして一行は魔獣討伐の為再び歩き出した

即席メンバーの名前は『欧羅巴人名録(http://www.worldsys.org/europe/)』のランダム生成より

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