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捨てられた少女は、黒竜王の娘となる!?  作者: Atelier Lotus


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第8話 みんなの妹

 エリシアは、家族みんなの愛情を受けながら、すくすくと成長していった


 一歳


 二歳


 小さな足で屋敷の廊下を歩き回るようになり、その愛らしい姿は、屋敷中の人々を笑顔にしていた


「お兄ちゃん!」


 まだ舌足らずな声で呼ばれるたび、長男ジークハルトは顔を綻ばせる


「よし、おいで」


 ひょい、と抱き上げると、そのまま肩車をした


「わぁー!」


 いつもより高い景色に、エリシアは目を輝かせる


「たかーい!」


「はははっ」


「怖くないか?」


「へいき!」


 無邪気な笑顔を見て、ジークハルトも思わず笑った


 その様子を見守る使用人たちも、自然と頬を緩める


「お嬢様、本当に楽しそうですね」


「ええ」


「坊ちゃまも、すっかりお兄様のお顔です」


 ある日


 長女セレスティアの部屋


「エリシア、今日は何のお話を読みましょうか?」


 そう問い掛けると、エリシアは嬉しそうに一冊の絵本を差し出した


「これ!」


「ふふっ」


「お気に入りなのね」


 セレスティアはエリシアを膝の上へ乗せ、優しくページをめくる


 柔らかな声で紡がれる物語


 エリシアは夢中になって聞き入り、物語が終わると小さな手を叩いた


「もういっかい!」


「うふふ」


「何度でも読んであげるわ」


 また別の日


 中庭では、次女リリアーナが元気いっぱいに駆け回っていた


「エリシア!」


「こっちこっち!」


「まってー!」


 二人は花壇の間を笑いながら走る


 追いかけっこをしたり


 花を摘んで遊んだり


 しゃぼん玉を追い掛けたり


 毎日が冒険だった


「あっ」


 小さな石につまずき、エリシアが転ぶ


「いたぁ……」


 するとリリアーナは慌てて駆け寄った


「大丈夫?」


「うん……」


「ほら」


 そっと手を差し伸べる


 エリシアはその手を握り、小さく笑った


「ありがと、おねえちゃん」


「どういたしまして!」


 二人は再び笑いながら走り出す


 そんな妹の姿を見て、兄も姉たちも自然と笑顔になっていた


 侍女たちは髪を結い


 料理人は小さなお菓子を焼き


 庭師は季節の花を摘んで届ける


 使用人たちにとっても、エリシアは大切なお嬢様だった


「エリシアお嬢様は、本当に可愛らしいですね」


「ええ」


「見ているだけで幸せな気持ちになります」


 夕暮れ


 家族が食卓へ集まる


 エレオノーラは、兄姉たちに囲まれて笑うエリシアを見つめ、穏やかに微笑んだ


「エリシアは、本当にみんなに愛されていますね」


 アルフレッドも優しく頷く


「ああ」


「我が家の自慢の娘だ」


 ジークハルトは照れくさそうに笑う


「世界で一番可愛い妹だからね」


 セレスティアも微笑む


「私の宝物です」


 リリアーナも負けじと元気よく手を挙げる


「エリシアは、わたしの妹!」


 その言葉に、食卓は温かな笑い声に包まれた


 エリシアも嬉しそうに笑う


 その笑顔を見つめる家族もまた、幸せそうに笑っていた


 ヴァレンシュタイン辺境伯家には、今日も変わらぬ笑顔があふれていた


 誰もが信じていた


 この穏やかな日々が、これからもずっと続いていくのだと

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