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捨てられた少女は、黒竜王の娘となる!?  作者: Atelier Lotus


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第2話 妖精誘導法

 遥か昔。


 人間へ叡智を授けた竜族は、その中でも最も重要な技術を伝えた。


 その名は――妖精誘導法。


 この世界には、万物の根源たる力――魔素が満ちている。


 大地にも。


 空にも。


 海にも。


 草木にも。


 そして、生きとし生けるものすべての内にも。


 魔素は世界を巡り、生命を育む源であった。


 だが、そのままでは誰も扱うことはできない。


 魔素は、


 火。


 水。


 風。


 土。


 四つの属性を持つ極小の粒子――魔粒子エレメントによって構成されている。


 人々が「魔法」と呼ぶ奇跡は、この魔粒子を集め、制御することで初めて生み出される超常現象である。


 火を灯す。


 水を湧かせる。


 風を呼ぶ。


 岩を動かす。


 すべては魔粒子を操ることで成り立っていた。


 そして、その魔粒子を最も自在に操る存在がいた。


 ――妖精。


 火の妖精サラマンダー。


 水の妖精ウンディーネ。


 風の妖精シルフ。


 土の妖精ノーム。


 妖精たちは、自らと同じ属性の魔粒子だけを自然に引き寄せる性質を持っていた。


 竜族は長い歳月をかけて、その法則を解き明かす。


 そして妖精の力を借り、魔水晶へ単一属性の魔粒子だけを蓄積する技術を完成させた。


 それこそが、妖精誘導法。


 世界最古にして、最も純度の高い魔法石を生み出す古代技術であった。


 火の魔法石は寒さから人々を守り。


 水の魔法石は清らかな水を届け。


 風の魔法石は人々の営みに新たな力を与え。


 土の魔法石は大地へ豊かな実りをもたらした。


 夜の街には灯りがともり。


 冬には暖かな部屋で家族が食卓を囲む。


 人々の暮らしは魔法によって大きく変わり、文明は飛躍的な発展を遂げていく。


 やがて人間は、その知識をさらに発展させた。


 魔法式を理論化し。


 魔法陣を描き。


 魔法石を核とした魔道具を生み出す。


 魔法は一部の魔術師だけの奇跡ではなく、人々の日常を支える文明そのものとなっていった。


 竜族は、その発展を心から喜んだ。


 人間もまた、竜族へ深い敬意と感謝を捧げる。


 誰もが信じていた。


 叡智は世界を豊かにするためにある。


 知識は人々を幸せへ導くものだと。


 しかし――。


 どれほど尊い叡智であっても、それを扱う者の心までは導くことはできない。


 やがて、一人の人間がその知識を歪める。


 世界を豊かにするためではない。


 己の欲望を満たすために。


 その男の名は、ニコラス。


 後に世界で初めて――


 『魔王』


 と呼ばれる男であった。

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