第11話 幸せな毎日
三歳となったエリシアは、毎日を笑顔の中で過ごしていた。
朝になれば、家族みんなで食卓を囲む。
「おはようございます!」
元気よく挨拶をすると、アルフレッドとエレオノーラは優しく微笑む。
「おはよう、エリシア」
「今日もたくさん食べましょうね」
ジークハルト、セレスティア、リリアーナも楽しそうに会話を交わし、食卓には笑い声が絶えなかった。
誕生日には、家族みんなでお祝いをしてくれた。
大きなケーキ。
色とりどりの花。
心のこもった贈り物。
「エリシア、お誕生日おめでとう!」
家族全員から祝福され、エリシアは満面の笑みを浮かべる。
「ありがとう!」
休日には、家族揃って領地へ出掛けることもあった。
青々とした草原。
澄み切った川。
色鮮やかな花畑。
父と母。
兄と姉たち。
みんなで食べるお弁当は、いつもより何倍も美味しく感じられた。
兄姉とは毎日のように遊んだ。
「エリシア!」
「かくれんぼしよう!」
「するー!」
屋敷中を元気いっぱい走り回る。
カーテンの後ろへ隠れたり。
机の下へ潜ったり。
庭の木陰へ身を隠したり。
見つかるたびに笑い合い、また走り出す。
疲れると、アルフレッドが優しく抱き上げてくれた。
「ほら」
「肩車だ」
「わぁー!」
高い景色に目を輝かせるエリシア。
その笑顔を見て、アルフレッドも嬉しそうに笑う。
夜になれば、エレオノーラが子守歌を歌ってくれた。
優しい歌声。
温かな腕。
柔らかなぬくもり。
そのすべてが、エリシアにとって何より安心できる場所だった。
何気ない毎日。
何気ない会話。
何気ない笑顔。
当たり前だと思っていた日々は、どれもかけがえのない宝物だった。
ある夜。
窓から見える満天の星空を眺めながら、エリシアは小さく呟く。
「ずっと、このままだといいな」
大好きなお父さま。
優しいお母さま。
頼もしいお兄ちゃん。
大好きなお姉ちゃんたち。
この幸せな毎日が、ずっと続いてほしい。
幼いエリシアは、心からそう願っていた。
しかし――。
運命は、その小さな願いを残酷に打ち砕く。
四歳。
エリシアの人生を大きく変える出来事が、静かに近づいていた。




