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新しい仲間

レイナは図書館へ戻った。


バンは顔を上げる。


「お待たせしました」


「どうなった?」


レイナは少し迷った。


それから口を開く。


「クロードも旅に同行していいですか?」


バンは目を瞬く。


「あ、ああ……」


少し間が空く。


「別にいいけど……」


レイナはほっとしたように笑った。


「ありがとうございます」


バンは周囲を見回した。


「で、そのクロードは?」


「外で待っているそうです」


「そうか」


レイナは抱えていた本を机へ置いた。


「続きを探しましょう」


「ああ」


二人は再び本棚へ向かった。


だが。


バンの視線は何度も入口へ向いた。


クロードも一緒に来るのか。


「……」


別に構わない。


そう思う。


思うのに。


なぜか面白くなかった。


本棚を眺める。


だが。


やはり頭に入らない。


レイナは平然としている。


いつも通りだった。


「バン」


「ん?」


「この本と、この本」


レイナは二冊の本を見せた。


「どちらが良いと思いますか?」


「知らねぇよ」


「そうですか」


レイナは真剣に悩み始めた。


バンは思わず吹き出す。


「内容見ろよ」


「どちらも難しいんです」


「じゃあ両方借りればいいだろ」


「なるほど」


レイナは素直に頷いた。


「それがありましたね」


「今気付いたのかよ」


レイナは少し恥ずかしそうに笑った。


その顔を見て。


バンの胸の奥が少しだけ軽くなる。


「……」


何やってるんだ俺は。


クロードが来ようが来まいが。


関係ないだろ。


そう思う。


だが。


図書館の入口へ視線が向く。


外には。


黒髪の騎士が静かに立っていた。


ーー


何冊か本を読んでいるうちに。


水のクリスタルは湖の近くにあるらしいことが分かった。


この街から一番近い湖。


次の目的地はそこに決まった。



帰り道。


「手掛かりが見つかってよかったですね」


レイナは嬉しそうだった。


「ああ」


バンは曖昧に返事をする。


「バン?」


レイナが首を傾げた。


「ああ、そうだな」


そう言いながら。


バンはクロードへ視線を向ける。


改めて見ると大きかった。


頭一つ分は高い。


体つきもがっしりしている。


剣を持てば。


自分より強いかもしれない。


それに。


レイナの知り合いで。


礼儀正しくて。


育ちも良さそうだった。


「……」


バンは視線を逸らす。


レイナはそんなことに気付かず歩いている。


クロードも無言のままだ。


「バン?」


再びレイナが呼ぶ。


「ああ、何でもねぇ」


バンは頭を掻いた。


本当に。


何を考えているんだろう。


別に。


クロードがどんな奴だろうと関係ない。


そう思うのに。


なぜか胸の奥が少しだけ落ち着かなかった。


ーー


夜。


宿へ入る。


クロードが受付を済ませていた。


「部屋を二つ確保しました」


鍵を二本差し出す。


「こちらをお使いください」


レイナが受け取る。


「ありがとう」


クロードは小さく頭を下げた。


「何かあれば呼んでください」


「わかりました」


レイナは微笑む。


バンはその様子を眺めていた。


「……」


部屋が二つ。


当然だ。


普通はそうだろう。


男と女なのだから。


昨日がおかしかっただけだ。


「……そっか」


思わず呟く。


「?」


レイナが振り向く。


「何か言いましたか?」


「いや」


バンは首を振った。


「何でもねぇ」


部屋は別。


当たり前のことだ。


そう思う。


そう思うのに。


なぜか少しだけ物足りなかった。

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