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4 転生したら剣と魔法の世界だと思ってる④

  

 公園友達のケンちゃんと陽ちゃんの素養と処理数値は出た。

 ケンちゃんはこの田舎では一般的な素養と数値で、陽ちゃんは首都星に行ってしまう程の素養と数値だった。 


 陽ちゃん家族は今後この世界とは別世界なSF世界で何不自由なく暮らすのだろう。


 俺としては可愛い幼馴染の女の子と一緒に大きくなって、出来ればダンジョン等も攻略出来ればいいなぁ~なんて淡い期待もあったが。

 まぁそれはそれとして、首都星と辺境のこの惑星とでは大きな違いがある。


 周りの幼児達もいずれ学ぶだろうが、寿命が変わる。

 この惑星の文化レベルで一生を過ごすと、寿命は80年程度。

 長くて100歳前後。

 だが首都星ともなると、人の寿命は千を超える。

 生身の身体に拘らなければ、精神が疲弊しない限り数万年は可能だ。

 だが人の心は万年を超える時を孤独では生きてはいけない。

 永遠の命は可能だが、永遠に生きる者は居ないと言うのが銀河国家の現状。

 

 俺の感想は「数万年って、何して生きればいいのよ」だ。

 

 それはそうと、いよいよ俺の番がやって来た。


 昨夜は半信半疑ではあったが、凄いものを見せられた今は、昨夜のうちにアマテラスに希望を伝えて良かったと思える。陽ちゃんの素養と処理数値を見れば、彼女の力は本物だ。


なので「アマテラスさんや」


「なんだい京平さんや」


「オイラの素養は昨日伝えた通りでお願いしますぜ?えへへへっ」


「がってんでさ!」


「処理数値はあっても無くても宇宙に出る訳でもないし、オイラにゃ関係ないから適当でいいよ」


「合点承知の助!」


「……でも一応確認な?」


 俺は慎重なのだ。


「剣と魔法が使える素養でマジ頼むぞ?」


「お任せなーのだ!」


「……大丈夫だよな?ちゃんとダンジョンで役に立つ素養じゃないと意味ないからな!?」


「大丈夫大丈夫!京平は心配性なーのだ!言われたチート?もちゃんと搭載するのだ!」


「ならばもう何も言うまい」


「まかせるのだぁ~」


 教会のおじさんに名前を呼ばれ水晶に近づく。

 ここで物語の主人公であれば水晶が光り輝き!と言うのが定番だろう。

 が、俺は主人公でも無ければ銀河国家がある世界でも田舎の平民。

 しかも今や転生時に積んでなかったチート機能(神)を搭載中である。

 そして今日の為に幼児用スーツを用意してくれた両親には感謝しかない。

 願うのは業務成績や出世や立場など気にせず、のんびり剣と魔法でダンジョン攻略しながらの人生の謳歌だ。


 蝶ネクタイを少し緩め、袖を捲り水晶にそっと手を乗せる。

 お願い神様!今世は《《楽しい人生》》を!



「(分かったのじゃ。……いや、楽しいならこうかな?)」



「で、出ました……橘さんちの京平君の素養は……」



「「……」」



 しばし長い沈黙と、何故だかピリピリ感じる嫌な予感。 



「…………ど、どうしまし――」



 言い切る前に教会のおじさんはぷるぷる震える両手を天に掲げ。



「出ました!ゆ、勇者です!勇者が出ました!」



「「「「う、うぉおおおおお!!」」」」



 保護者達の湧き上がる歓声の中、俺は俯き拳を握る。



「(あっ、あ、ア、アマテラーーーーーーーーース!ちょっと来いやーーー!)」



 沸き上がる保護者陣と泣いて喜ぶ両親。


 勇者。

 戦闘面に於いて無類の強さを誇る為、戦闘面で首都星行きがほぼ決定な素養の一つなのだ。

 さっき見た聖女のページの上に書いてあった。勇者は処理数値関係無く強い、と。


「なんと我が町内会から二人も首都星行きの者が現れるとは!」

「そうですとも!こんな事はこの教会。いえ、この惑星、いや、この宙域の教会始まって以来ですよ!」

「そもそも勇者なんて本当に実在したんですね!」

「私も驚きです!勇者なんて伝説上の生物ですから!」


 禿げた町内自治会長と、喜び飛び跳ねた為にフードがずり落ちて禿げが露出した教会のおじさんが互いに抱き合って喜んでいる。


 脳内では「何か?」と、悪びれもしないアマテラスの姿が容易に想像できる映像が浮かんでいる事に腹が立つ。


「(このアンポンテラス!)」


「(ア、アンポンテラスじゃと!我はアマテラスじゃっ!京平が楽しい方向がいいて言うから面白い方にしてやったのになんて言いぐさじゃ!)」


「(面白いのはお前だけだろう!俺は楽しい人生って言ったの!)」


「(面白く無いと楽しくないのじゃ!)」


「(やっぱりわざとじゃねーか!)」


 聖女と勇者の誕生に沸きに沸く会場と、アマテラスと俺が汚く罵り合っている間に忘れ去られた様にクリスタルタワーに処理数値が表示される。


――ピピッ


 そして誰も確認せぬまま消えていく。


「司祭さん。そう言えば彼の処理数値は?」


「まぁまぁ、あんなものはいつでも確認出来ますから。今日はとにかく祝いましょうよ自治会長」


「それもそうですな!がはははははっ!」



――――

――


 教会で住民が盛り上がっている頃、ここシスターナ帝国シュナイゼル辺境伯領、辺境惑星エリシオンの東の大陸と更に東の島国の間の海底で一機の傷付いた戦闘機ドラゴンフライが自動修復を行っていた。


「少佐殿、あと1時間程で修理が完了します」


「そうか。しかしゴッズスライムを落としてしまうとは情けない」


「あれだけ敵に囲まれたら仕方ありませんよ」


「そうだな、高高度からの落下だったが保護スライムに覆われた核は無事なはずだ。それにこの惑星エリシオンは辺境も辺境の惑星である事を考えると、あの核をわざわざ拾う者も居ないだろう」


「そうですね」


「敵が我らが核を落としたと気付いていない間に回収して王国になんとしても戻るぞ」


「アイアイマム」






本作品は、アルファポリス先行になっております。

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