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3 転生したら剣と魔法の世界だと思ってる③

――そして時は洗礼式にまで戻る。


 いよいよ洗礼を経て世界の知識を拡げ、ゆくゆくは冒険者としてダンジョン攻略とかしてみたい!

 

 昨晩アマテラスと繋がった際にこの世界の状況はある程度把握している。

 銀河国家群だとか帝国だとかこの宇宙では大規模な戦争があったりしている様だが、そんな事はこんな田舎の惑星の更に外れにある辺境惑星には全く関係がない事で、数千年単位でこの惑星と宇宙ではとんと繋がりがない。


 領主に支払う税金だとかどうなってるのかと思えば、たまに来るエネルギー回収船が太陽のエネルギーを吸いに来るだけな様で、地上人には全くと言っていいほど関係ない。


 要するに宇宙国家の存在はあれど、現代とほぼ一緒。


 なので平凡な地上人の俺はある程度の学業をこなしつつ、剣と魔法で人生楽しむのだ。


 そして列は順調に流れ二人前の山田健太君、公園友達、角刈りでいつも半袖短パンのケンちゃんの番だ。

 ケンちゃんが水晶に手を触れる――が、その手を教会の人が掴み上げる。


「いてっ!」


 なんて事をするんだ!大人の力でケンちゃんが浮き上がる程の力で腕を掴み上げるのだ、そりゃ痛い。


 が、教会の人がケンちゃんに少し厳しめに言い放つ。


「洗礼前に手を洗う様に言いましたよね!」


 掴まれた手のひらを見ると、先程まで泥団子でも作っていたのかと思える程汚れた手のひらがそこにあった。

……あいつ、あんな汚い手で水晶玉に触れようとしてたのか。そりゃ怒られる。


 その後、左手から転がった泥団子を片付け手を洗ってきたケンちゃんが再び洗礼式に戻る。

 

 水晶玉に触れると、後方のクリスタルタワーの正面に文字が浮かび上がる。

 それを教会の人が読み上げる。


「山田さんちの健太君。君の特性は大剣士です!」

「「「おぉおお~」」」


 教会の人の声で周りがざわめく。

 いいなぁ~、俺も剣士とか魔法使いの特性が出たらいいんだけど。


「そしてえーっと、処理数値は25ですね」

「「「おぉ~」」」


 処理数値は一般並みの様で保護者の皆様の反応も子供に対しての当たり障りないそれだ。


 実は昨晩、処理数値の事についてアマテラスにほんの少しだけ聞いている。

 100未満が一般的だそうで25と言う数字は良くもないが、下の上といった所だ。


「キョウちゃん、どうしよう!私の番だ」


 前に並ぶ白いリボンの可愛い幼女がスカートを翻し振り返る。

 うん、実に可愛らしい子だ。将来有望!


 などと考えながら。


「陽ちゃんなら大丈夫だって。頭もいいしカワイイし」


「可愛い?ほんと?」


「うん!」


 周りから見ればなんと微笑ましい光景だろうか。

 なんとなくケンちゃんの視線に怒りが宿っている気もするが、男児の睨みも大人目線で見ると可愛いものだ。


「(アマテラス)」


「(はいはーい)」


「(陽ちゃんって将来看護師さんになりたいらしいんだけど、どう?いける?)」


「(んーと、問題なさそう)」


「(じゃお願いしてもいい?)」


「(もちろん!私が神だって思い知らしてやるんだから!)」


「(……出来ないとは思ってないけど、やり過ぎないでね)」


「(え!?)」


「(え?)」


 アマテラスが脳内で慌てて振り返った気がした。


「えーっと、佐古田さんちのヨーちゃんはと……なんと!聖女!聖女です!」

「「「うぉおおおおお~」」」


 すると会場の保護者達から割れんばかりの歓声が上がる。

 俺もアマテラスにやりすぎだ!と思いながらも、聖女すげーと思っていると陽ちゃんのご両親だけはなんとも言えない表情となっている事に気付き、急遽アマテラスの記憶のページ、聖女の項目を開く。


 なになに?宇宙に銀河国家が出来た当初より万能薬エリクサーを使用出来る職業の一つである聖女は、その国の重鎮に重宝され、首都星に招かれた後その惑星で一生を終える事が多い。


 そして再び陽ちゃんのご両親に視線を向けると……泣いてる!これご両親も陽ちゃんがこの後何処かに連れて行かれてしまうの知ってるやつ!あかーーーん!


「(おいアマテラス!変更!変更はできないか!)」


「(え!無理無理!だってもうあの教会の人が声出して発表しちゃってるし!)」


 見れば陽ちゃんは大声援の保護者達の中に両親を見つけ泣いている事に気付き動揺している。

 しかし教会の人はそんな事は関係ないと、処理数値の発表を続ける。


「(おいアマテラス!)」

「(わ、わかってるわよ!今やってる!)」


 一瞬クリスタルに1万を超える数値が見えた気がしたが、アマテラスは数百にまで数字を抑える事に成功させた様だ。


「そして処理数値は……こちらも凄い、なんと580です!」

「「「おぉおお~」」」


 保護者達が驚きの声を上げるので再び処理数値の項目を開く。


 処理数値一桁~100=一般的な数値で生活する上でなんら問題はない。

 処理数値101~200=戦闘艇、戦闘機等の操縦であれば問題なくこなせる。

 処理数値201~300=駆逐艦、巡洋艦クラスの指揮が可能。戦闘機動兵器の操縦も可能である。

 処理数値301~400=重巡洋艦、戦艦、空母クラスの指揮が可能であり戦闘機動兵器の操縦は群を抜く。

 処理数値401~∞=要塞級、惑星級兵器の指揮が可能。


「(……ダメじゃん。これ絶対宇宙連れて行かれるヤツやん)」


「(だって!京平が本当に神様なの?とか散々言うから!)」


「(にしてもやり過ぎだ!どーすんだよ、あんな幼い幼女が宇宙に連れて行かれるとか可哀想だろ!)」


「(え、なんで?)」


「(いや、だから幼女が両親と離れて暮らすとか心痛まないのか?)」


「(……なんでご両親と離れるの?)」


「(え?……だって。あれ?もしかして彼女諸共家族も行く感じ?)」


「(もう、ちゃんと記憶辿って!家族離れ離れとか流石にそんな非人道的な事する訳ないじゃない!)」


 なら何故ご両親は泣いていたんだ?


――「ううっ、あれはうちの娘です!これで都会の星に行けます」

「やりましたな佐古田さん!うちの町内の誇りです!全く違う生活があなた達を待っていますよ!」

「有難うございます自治会長!うううっ!」



……なーーーーーんそれ。




 


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