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第14話 惑星殲滅作戦

――惑星アイリーン、衛星リン月面基地


「指令、エリシス本国、特務隊からの通信です」


「おや、特務隊ですか。今日はどっちかなぁ」


「映像繋ぎます」


――「お久しぶりです司令」


 基地指令は赤い髪が目に入った瞬間、「ハズレか」とため息をつく。


「フェルミナ大佐。今日はどんな御用ですか?昨年の様に月で機動兵器の格闘大会を開きたいとか言うのはなしですよ?」


「嫌ですわ基地司令。あれはあれで盛り上がったじゃないですの。オーホホホホッ!」


 それはいったいなんのキャラだよ!いつもの海賊じゃないのか!と指令は心の中でツッコむに留める。

 もしこのキャラクターに付き合ってツッコもうものなら、そのままあっちのペースで話を進められてしまうからだ。

 冗談に思えて、実は高度な知能戦が既に始まっている。


「それで最初に戻りますが、本日はどの様なご用件で」


 惑星の基地司令といえば、勿論上級将校が基地司令となる。

 勿論、今の衛星リン月面基地の指令も少将だ。

 

 そんな少将が大佐に対してへりくだっているのには理由がある。


 エリシス王国特務艦。


 それを指揮する人間は往々にしてエリシス女王の直臣。

 下手に相手をするとこちらが火傷をする。

 ミッター准将であればこちらも多少は安心できるが、目の前の画像の女性。フェルミナ大佐の場合そうはいかない。

 正直何を言い出すかわからないのだ。


 過去、このわけのわからない御仁の要求に本星へ苦情を提出した中将は、今は何故か退役将校として隠居生活を送っている。


「ナリミア基地司令。そちらから出せる戦力を至急宇宙に上げて欲しい。これよりエリシス女王の名において戦闘警戒レベル1を発する」


 戦闘警戒レベル1は即時戦闘可能態勢の事だ。

 しかも王命でそれを発したということは……戦争!?


 そんな緊急事態にナゼ最初に知らないキャラを披露したんだ!―ーとは絶対にツッコまない。


「警戒レベル1了解。これより出動可能な艦隊は全て宇宙に上げます。どの艦が上げられるかは後ほど送りますのでそちらで編成を」


「了解した。指令もしくは副指令は軍務参謀と共に我がソバーシュへ来ていただきたい」


「優先します」


「ありがとうナリミア指令。いつも迷惑をかける」


「ははっ、ほんといつもの事ですね。では」



――――

――


 時間は少し戻り。ソバーシュ作戦室。


 そこにはソバーシュ乗艦の士官、下士官の主だったメンバーに加え、ひかる姉、ケンちゃん、そして俺。なぜか父さんの姿まであった。


「これよりYQ作戦の概要を全員に伝える。作戦参謀のジャスリー大尉、説明を」


「はっ。以前よりシュナイゼルで不穏な動きがあり、今回の件はある程度予見されていました。ですがシュナイゼルがこの8年程の短期間で特務艦を用意出来る事は、AIでも予測不能だった。その為後手に回ってしまった事を先にお詫びしておきます」


 今回の事件を予見していたのか!?

 

「(京平、慌てるでない。ジャスミーも言っておろう、奴らの軍事力がAIの予想を上回ったのだと)」


「(……慌ててないさ)」


「(いいか京平、そんな事では次は味方が死ぬと心得よ)」


「(わかった。ありがとうアマテラス)」


「(なんてことはない。お前が死ねば我も消えてしまうかもしれんしの、っと、どうやら本題にはいるみたいじゃぞ)」



「戦闘艇が向かった先に特務艦がステルス状態で潜んでいる事は間違いないです。ですがその艦の数がいまだ不明。予測では3~8隻のステルス艦が潜んでいる可能性があると出ています」


 多くて8隻!多いな。


「我が方の戦力は現状このソバーシュ一隻に搭載ドラゴンフライ4機内、ステルス機1機。試作試験機である機動兵器が2機、内即時戦闘へ投入可能なのは1機。あと氷上様の個人所有の機動兵器もありますが、片腕が無いためこれも今回は使用は出来ません。よって現状正面からの戦闘は確実にこちらが撃破されてしまいます」


「そこで惑星アイリーンで即時出撃が可能な船を至急あげてもらいます。ですがこちらもどの程度宇宙へ上げれるか未知数となってます」


「「……」」


 この場の全員が言葉を失う。


「そこで作戦を申し上げます」


 あるのか!?こんな状況で作戦が!


「まずソバーシュとアイリーンの艦隊で敵に飽和攻撃、その間にドラゴンフライステルス機にて特戦隊5名及び山田健太、それと氷上ひかる様、橘スグル様、お二人ともこれは要請ですので断っていただいても結構です。この8名で敵艦へ乗り込み佐古田陽さんを救出、救出が成功したら橘京平様、試作試験機の機動兵器にて全敵艦隊を撃滅。以上となります。質問があれば」


「作戦参謀殿」


「どうぞ」


「最初の飽和攻撃や潜入で戦況をごちゃごちゃにしてしまうのはフェルミナ指令の得意戦法だと認識しているので気にはなりませんが、最後の試作試験機で全艦撃破とはどの様な意味でしょう。その様な兵器が搭載されているのでしょうか?」


「今は搭載されていません。ですが動き出せばその兵器が使用可能となります」


 ジャスミーさんが俺に視線を向ける。


「(お主の力を使えと言うことじゃな)」


「(あぁ、そうだな。だが大丈夫だ。迷わず使うさ)」


「(京平、お主が力を使えば、もう隠れて生きることはできんのだぞ?)」


「(わかってる)」


「(それでもか?)」


「(それで陽ちゃんを助けられるなら)」


「(……そうか。もう何も言うまいよ)」



――そして俺はジャスミーさんへ頷き、それを返事とした。


 健太も父さんも、そしてひかる姉も。

 俺に力強く頷いてくれた。


 その視線には力を感じる。

 俺が何者なのかではなく、俺が何を守ろうとしているのかを見てくれている。

 それだけで、不思議と怖さは薄くなっていく気がした。



「あのもう一点よろしいでしょうか」


「どうぞ」


「今回のYQ作戦、なんの略なんでしょう」


「陽ちゃん救出作戦の略です」


 その時その場の全員が思った………誰が作戦名考えた!




――――

――



「現れたと言うエリシオンの艦船は1隻ですか。しかも型落ちの特務艦ソバーシュとは。エリック大佐、問題なくアイリーンは消せそうですね」


「はい、ギャロス政務官。こちらは8隻の特務艦です。3隻でソバーシュを相手している間に他の5隻でアイリーンを高度1万2千キロから砲撃して焼き払うだけです。簡単過ぎて今回はブリーフィングすら必要ないくらいですよ」


「それは結構。ではとっとと全部消して帰るとしましょう」


「はっ」

「全艦ステルスにて惑星アイリーンに向け発進せよ!」




お読みいただきありがとうございます。

次か、その次で第一章も終わります。

ブックマーク、評価、何卒よろしくお願い致します。

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