5 転生したら剣と魔法の世界だと信じたい⑤
祝!日間6位ありがとうございました!
キャロ姉に言われるがまま、別の部屋でパイロットスーツに着替える。
もちろん陽ちゃんとは別の部屋だ。
ひかる姉と違い、男女関係なくごったにしないのはありがたい。
「未来のパイロットスーツだからなんかもっと特殊なのかと思ったんだけどなぁ」
「(どこから起算して未来なのか知らんが、お主が思っとったもので良かったではないか)」
着てみれば、なんてことのない宇宙用パイロットスーツ。
もっとゆったりした物だと思ってたけど、全身ぴっちりで腕に操作パネル、肩から背中、腰に掛けては小さな丸い凹みがあるが、スラスターだろうか。たぶんそうだと思う。
気になるとすれば、お腹辺りのスーツが少しだけだが透けている事だろうか。透けている意味がわからないが、そう言うデザインなのだろう。
まぁ、普段鍛えてるので多少お腹が見えていても問題ないのだが……。
パネルにしろスラスターにしろ、いずれリアル学習か睡眠学習で習得することになるだろうけど、膝下ロングブーツを履き、最後にヘルメットをかぶる。
ピッ――起動兵器とのリンクはされていません・・・使用者の生体認証開始します・・・完了。橘京平14歳、処理数値・・・エラー、登録しました。
続いてヘルメットの中で声が聞こえる。
「アイリーン宇宙港、ソル教司教キャロラインよりシミュレータースケジュールインストール・・・完了。橘京平は速やかにシミュレータールームへこちらのマップを参照に移動開始して下さい」
ヘルメット内にマップが出るのかと思ったら、1メートル先くらいに半透明の地図が浮かび、矢印が出ている。
「おぉ、このナビ欲しいかも」
――――
――
予想はしてた、このピッチリスーツ。少し透けていても男の俺が着る分にはなんら問題ない。
「京ちゃん見ないで!」
シミュレータールームに現れたのは俺だけではない。
陽ちゃんもスーツを着て来ていた。
彼女はお腹を隠しながら少し前かがみになっているが、そのせいで胸がだっちゅーの!状態だ。
「だっちゅーの」が分からないなら、俺の脳内検索でもしてくれ。地球産の俺の脳ならあるいは検索結果が出るかもしれない。
「(逆検索したらどえらい胸部寄りのフェチズムじゃの。しかしパイレーツ?名前からして海賊かの?)」
アマテラスが逆検索した様だが海賊でもないしおっぱいでもな……まぁおっぱいではあるが健康的なエロのはずだ。問題ない。
「どうした陽ちゃん!そんな事では起動兵器は操縦できないぞ?」
その声に振り返ると、仁王立ちでひかる姉が立っていた。
赤を基調とした陽ちゃんのスーツとは違い、ゴールド、金色だ。
長い紺色の髪をポニーテールにし、透ける金色のスーツにナイス過ぎるスタイル。
さすがの俺でも目を背けざるを得ない。いや、全部見えてるわけではないが紳士の嗜みというところだ。
その目を反らした先には陽ちゃんがふくれっ面で俺を睨んでいた。なんで?
――「皆さん聞こえますか?」
スピーカーからキャロ姉の声が聞こえる。
「氷上様も準備がお済みのようですね。では今回は氷上様を手本に基本動作完了後、3機でフォーメーション移動が出来るまでやってみましょうか」
基本動作からフォーメーションまで今日一日で可能なのか。
起動兵器の操縦ってそんなに難しくないのか?
俺的にはじっくり起動兵器の操縦を楽しみたいし、徐々に上手くなれればいいので丁度いいのかな。
直径4メートル程の球体が並ぶその前にタラップがそれぞれ配置されている。
ひかる姉を見習い、俺も陽ちゃんもそれぞれタラップを上がり球体の中へ。
球体の中はシートまで通路があり、座席に座るとその通路が格納され同時にヘルメットにケーブルが突き刺さる。
――パシュッ!パシュパシュ!
ヘルメットだけでなく、背中の穴にもなにやら刺さっているようだ。
すると、シート以外の物がすべて透過して全天モニターとなり、先ほど居た部屋が見え、左右には球体が見える。
あの中にみんな居るんだなと確認すると、今度は全天モニターが広大な駐車場のような場所へと切り替わる。
「それではこの広大な敷地で基本動作の訓練を開始しますね。操縦の方法はヘルメットから繋がる思考と体の動きを感じる背部のコネクターからトレースされた操縦桿での操作です。慣れるまで色々試してみてください」
――ポン
キャロ姉の説明が終わりひかる姉の姿が映る。
「二人とも、シミュレーターだからなんでもやってみればいい。壊れる事もないし事故を起こして死ぬ事もない。まずは自由にやってみよう。では行くぞ」
見れば左の起動兵器が歩き出す。
そこでモニターを改めて見ると、俺は全身が硬直した。
今の視線の位置は数十メートルの足場の無い高所。
高所恐怖症でなくてもこれはお尻がギュット締まる。
それを証拠に。
「ぎゃーーー!高い高い!ムリムリ!」
と、右から悲鳴がモニターからではなく、リアルで聞こえてきた。
どんだけ大声で叫んでいるかお察しだ。
「陽ちゃんさんのモニターを俯瞰モードに切り替えます」
キャロ姉の声の後、陽ちゃんの悲鳴が消え。
「すごーい!これなら大丈夫!」
今度はモニターから彼女の姿と共に声が聞こえる。
何が凄いのか気になり「俯瞰モード起動」
すると全天モニターが切り替わり、少し上から自機を見ているまさにゲーム機の様な視界に代わる。
「アーケードゲームじゃん」
「ふふっ。京平様はゲームセンターへ遊びに行かれますものね。そうですよ、あのゲームはこれのシステムが流用されてますから」
なんてものゲームセンターに置いてんだ!
だけど、今まで見れなかった自分の機体が上から見れた。
指で回転させると、起動兵器の全体が見渡せる。
機体は白で統一され、訓練用を絵に描いたように特徴のないカラー。
手足はスマートだが、どこか男らしさも感じる。
顔も雑では無くただのロボット的な機械感でもない、人の感情があるような非常に俺好みの顔だ。
これなら俺でも……そして操縦桿を握りしめる。
「橘京平!発進します」
静止状態から一歩目を踏み出すと、そのまま一気に駆け出す。
左を歩いていたひかる姉を追い越し、軽くブーストジャンプ!
そこから足のブースターの角度を調整しながら前転で一回転すると今度はその勢いのまま背面のブースターをふかし一気に上空へ舞い上がる。
「ひょーーー!この絶妙に調整されたG、楽しーー!」
「待ってよきょうちゃん!」
ゲーム寄りのリアル、リアル寄りのゲーム。
なんとも心地いい操縦感と重力感。
俺は久々にダンジョンのことを忘れて楽しんだ。
――「キャロ秘匿通信だ」
「はい氷上様、聞こえております」
「他に目撃者はいないな?」
「問題なく、この場には私の配下と氷上様の配下の者しかこの場にはおりません」
「そうか……データはおか、枢機卿へ」
「それは間違いなく」
「しかし……あれはなんだ。起動兵器が重力下で一回転していたぞ。あれが今初めて起動兵器に乗った者の動きなのか?お前も見ているよな?」
「はい、見ております。処理数百万の使徒様。そう言う他ないかと」
「……3分後にステージを宇宙へ。その後、模擬戦を開始するので彼らに武器の選択を」
「いきなりですか?」
「あんなものを見せられれば、な」
「はぁ、ほどほどにして下さいね」
「そうだな。だが子供のうちに少し痛い目を見といた方がいい」
「了解です。ではこれより3分後に模擬戦ステージへ移行いたします」
そんな二人の会話をよそに、俺も、機体に慣れ始めた陽ちゃんも、起動兵器は実に楽しい乗り物だと思い始めていた。
――少なくとも3分後までは。
☆次回は宇宙で模擬戦です!
ダンジョン大好き氷上ひかる姉さん、果たして起動兵器の操縦はどれ程のものか!
ブックマークと下の☆の色を染めてクリックよろしくお願い致します。




