15 転生したら剣と魔法の世界だと思ってる⑮
「(何を想ったのじゃ!)」
アマテラスの言葉に身体が固まる。
「(まさか……ね)」
「(京平、お主の考えた事がわからんとでも思っておるのか?)」
「(……)」
「(なら言うてやろうか。お主、襲って来る脅威を漠然と折ったのじゃろ)」
「(わ、わかってるなら聞く事ないだろ。そもそも襲い来る脅威ってなんだよ。なら襲って、は無いけど誘拐してる丸山のおっさんが折れるのが筋じゃないか……どう折れるか知らないけど)」
「(いや……そうじゃな。焚きつけた我も悪かった)」
「(そんな急に謝られても……でもいったい何が起こったんだろ)」
「(直にわかる。じゃが京平、覚悟するんじゃぞ)」
「(な、何をだよ)」
脳内会話が途切れた時、通路の先と後方から足音が近づいて来ると。
――「辺境司教!そこまでだ!」
「ひぃー!」
足の爪を弄っていた丸山さんは、前後の通路から銃らしき物を複数の兵士に向けられ手を上げるのだった。
――――
――
家族と合流し涙を流す両親と心配そうに見つめる佐古田家と山田家の人達。
氷上司祭はずっと頭を下げていた。
そんな様子になんとなくだが申し訳なく感じる。
なぜなら丸山さんに捕まった時に抜け出す方法もあったので何時でも逃げ出せた。
だけど俺には彼の足を折るとかがどうしても可哀想に思ってしまったのだ。
しかし両親の気持ちや周りの人たちの事を考えれば捕まる前に指の一本でも折っていればこんな悲しい雰囲気にせずに済んだ。
「(京平、今はいい。じゃが、我の言った事忘れるでないぞ?)」
本来ここで声を掛けるなら、掛けるべき言葉に違和感を覚える。
――プッシュー
扉が開き、再びミッター大佐が訪れ。
「今回はお見苦しい事に巻き込み申し訳ない。しかし全て解決しましたのでこのままエリシス本国へ早急に向かいます」
頭を下げる大佐に父がおずおずと前に出る。
「あ、あの。大佐が部屋を出られる前シュナイダー帝国の特殊艦だと聞こえたのですが……やはり我が国の軍が動いたと言う事でしょうか?いえ、私達は別に国同士がどう動こうと気にはしないのです。所詮国すら関係がないくらい田舎の惑星で、惑星単体で生活が成り立っていたので今更国同士がと聞かされても実感が湧かないのです」
「そう、ですか」
「それで、エリシス本国に行けば息子を守れる様になれますか?」
父は俺が攫われたのが相当ショックで腹立たしかった様だ。
「京平君のお父さんですね、大丈夫です。我々の様に身体強化を施すのならば数年軍に所属しなければなりませんが、家族を守る為の力が欲しいのならば軍で鍛える事をお勧めします。時間は掛かるでしょうが、これから皆さんが生きる時間は思うより長いのです」
「そ、そうですか。少し実感はわきませんが、世界はそうなんでしょうね」
「ええ」
「橘さんは軍に所属すんのかい?」
声を出したのはいいガタイをした山田健太君のお父さん。
「俺も昔から戦闘機動兵器には興味あったんだ。大佐さん!俺も入れるか?」
「戦闘機動兵器の操縦には処理数値201以上が必要で――」
「俺202あるんだよ!」――声を上げる山田父だったが「あんたいいかげんシバクよ?」と山田母に首を掴まれそのまま部屋の隅へ連れて行かれた。
「はははっ、家族の了承無しに軍には所属出来ません。諦めてください」
言いながら大佐は踵を返すが、もう一度振り返り。
「あ、そうそう。山田健太君、ありがとう。君のおかげで敵の戦艦は真っ二つでしたよ」そう言って彼女はケンちゃんへウインクを飛ばす。
「大佐!」
俺はどうしても確認しなければと大佐を呼び止める。
「どうしました?」
「あ、あの、真っ二つになった戦艦は一隻ですか?」
大佐は目をぱちくりさせつつも答えた。
「大型突撃戦艦1隻と特殊艦20隻、計21隻が真っ二つです。まぁだれも信じないでしょうけどね。では」
言いながら手を振り大佐は部屋を後にした。
ウインクされたケンちゃんは顔を赤くして湯気が出ていたが、隣に立っていた俺は顔面が真っ青になっていただろう。
「(……わかったか。お主が折ったものじゃ)」
「(あ、あぁ。……戦艦って何人くらい乗ってたんだろ)」
「(通常の戦艦なら2000人前後じゃな。大型突撃戦艦じゃと5千人くらいじゃ。特殊艦は100名くらいかの)」
「(俺は……思っただけで、思っただけで七千人も殺してしまったのか!!なんでだ!お前!なんで俺に勇者なんていうくだらない物を渡した!ふざけんなっ!!)」
「(……じゃがそれで目の前の危機は乗り越えられたじゃろ)」
「(クッ。そうだけど、そうだけど!クソッ!)」
「(人生二度目じゃという割にはお主は弱いの。だから言ったのじゃ、覚悟せいと)」
わかっている。
いや、心ではわかっていた。
今の俺の心がただの偽善だという事を。
アマテラスの言葉が少なく、挑発的なのはそれを知っているからだろう。
はぁ馬鹿らしい。
しかし俺がこんなにも薄情で人の心が無い奴だと初めて知った。
そりゃ数千人を一瞬で殺すなんて事、そうそう無い。
「(……ははっ……はぁ。別に死んだ相手を知ってるわけでも直接この手で刺し殺した訳でもない。大丈夫。ゲームと同じだよ)」
「(……)」
「(それよりさ、俺も軍隊にでも入ろうかな)」
「(急じゃな)」
「(そうでもないさ。戦闘機動兵器だっけ?あれって人型兵器、要するにロボットの事だろ?剣と魔法の大冒険が出来ないなら今度はロボットだよな!!)」
「(まぁ鍛える事に越した事はないじゃろな。じゃが軍に所属するとお主の処理数値がバレるぞ?)」
「(マジかぁ~、そうだよなぁ。素養もそうだけどやりすぎじゃないか?)」
「(んー、じゃがそっちの方が「面白いから」「面白いのじゃ」)」
「「(くくっ、あははははっ)」」
「(はぁ~そうだよな。考えたら知らない相手殺して落ち込んでたらバタフライ効果やピタゴラ殺人で確率で殺してしまった人の死も悲しまないといけないとか無理だわ)」
「(そう言う事じゃ。人の死は必然でも偶然でもなく、物事が複雑に絡み合う自然界そのものなのじゃ)」
「(自然界、ね。この宇宙、どんな自然があることやら)」
「(……チッ)」
「(おーい、アマテラス?何故に舌打ち?)」
「(忘れておったが……今産まれよった)」
「(何がだよ)」
「(光と対を成すものじゃ)」
「(まてまて、俺何もしてな――)」
言いかけて気付いてしまう。光の力を滅茶苦茶使った事に。
「(まさか……魔王とか言わないよな?)」
「(すまぬ、弱り切っておる我の力ではその存在までは……ただ次元が歪んだ事だけはわかるのじゃ)」
「(次元が歪むと魔王が産まれるのか!?)」
「(そうではない……あっちじゃ、あっちの方向で産まれよった)」
アマテラスは脳内で船の進む方向へ指をさす。
「(だから何が産まれたんだよ!)」
「次元の隙間で魔物が巣食うこの世界の異物じゃ」
「世界の異物?」
――「ダンジョンじゃ」
――プロローグ終わり
第一章「転生したら剣と魔法の世界があったけどロボットも好き」へ続く――
ここまでが序章となります。
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後日加筆いたしますm(__)m




