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9 転生したら剣と魔法の世界だと思ってる⑨

 橘家は現代日本の地方都市の少し外れの田舎に相当する山陰のイナミ町と言う場所に位置している。

 山を突き抜ける高速道路を抜ければ30キロ程でこの惑星では都会の街に出る。

 都会と言ってもこの世界の標準である都会とは違い、惑星自体のレベルが低い為に人は自らがその労働力として仕事に勤しみ生活をしている。

 だが他の惑星では労働や家事は各家庭が抱える数体のアンドロイドが担い、人間は自分がより良い生活を送る為に指示をだすだけの存在である。

 だが軍事においてはどの惑星、どの国に於いてもアンドロイド所謂AIに任せる事は無く人間自らがその戦場へと向かう。

 裏を返せば有事の際、強化処理を施した人間が全員軍人になる事も考えうる選択肢に含まれる。


 だが職業を軍人として選ぶ人間も存在する。

 理由は色々あるが、戦闘や戦争が好きなものずき。

 戦闘における技術や魔法の研究の為。

 戦艦、戦闘機、機動兵器等のオタク等である。


 その中でスパイに憧れた軍人が居た。

 単身他国へと潜入し、多岐にわたる秘密道具を駆使して機密情報を持ち帰る鋼の精神を持つ者達。


 そしてその鋼の精神を持つスパイが、ここ橘家の居間で荒縄に巻かれたまま口をあけ児童の母親たちの運ぶお寿司に舌鼓を打っていた。


「奥さん!これはなんと言う食べ物ですか!生の魚をこんな新鮮な状態で食す等初めての経験です!」


「少佐、これ本当に美味しいです」


 当初丸山さんが彼女達に尋問しようとしたが何を聞いても話さないの一点張りで埒が明かず、ならば応援が到着するまで放置する事になったのだが。いつのまにかこうなった。


「いやぁ数日食事をとる機会がありませんでしたので本当に助かります!」


「いえいえ、困ったときはお互い様ですよ」


 呑気な返答をするうちの母。

 そんな母を笑顔で相槌を打ちながら父さんが丸山さんに話を振る。


「そう言えば丸山さんって教会本部に向かわれたんですよね?戻って来るには早くないですか?」


 その問いにハッとした表情で。


「そうです!忘れてました!ちょうど皆さんお揃いなのでここでこれからの事をお話させてもらいますね」


 その時丸山さんはお寿司を頬張る二人と三人の子供が視界に入る。

 一瞬、文化レベルの高い惑星へ向かうにあたり関係無いケンちゃんファミリーに聞かせてもいいものかと考えたが、特に問題ないなと判断し続ける事にする。海賊コスプレの二人に至ってはこの後ソル教の人間が来たら連れて行かれるだけなのでこれも問題ないと判断している。

 そもそも警察には連絡を入れず、ソル教に連絡を入れた際に上司の氷上から「はぁああ!強化した人間だと!?すぐに向かうから説明だけはしておきなさい!」と、申し送りされていた。


 そして丸山が説明を始めようとしたその時。


――ゴォオオオオオオ


 お腹に響く重低音と同時に急に辺りが暗くなる。


「あちゃ~もう到着しましたか」と、我が家の天井を見上げ丸山さんが呟くのだった。

 


明日は長いですm(__)m

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