兎を舐めるな 1
第4話のところに新しい場面を追加しました。すいません、書き忘れていました。
ウォーレンは最初、緩やかな下り坂になっていた。俺でも楽々通ることができるくらい広い。兎と言ってもやっぱりモンスター、現実のとは違うな。そこから少し歩き続けると、だんだんと道が水平に戻っていき、5つの分かれ道がある広場に出てきた。
「門番的なのはいない、と」
不思議だ、普通は設置していそうなものだが。まあ考えても仕方ない、まずは右端の道から行こう。それにしても兎と全然出くわさないな。本当に1匹もいなくなったのか?
お、分かれ道だ。まずは左に行ってみよう。…ん?もう行き止まりか。戻ろう。じゃあ次は右っ側だな。
…お、また分かれ道に来た。今度は左…違った、右だった。
次こそ左…あってた。分かれ道だ。
次は右か?違った。戻って左だな。
今度は右…あってた。分かれ道だ。
ここは右でいいか。ん?なんか大きめの道の脇に分岐が大量にあるぞ。
「これは…住居か?」
おお、意外と人間みたいな…というか、まんま人間の部屋みたいな感じで個室に分かれてるんだけど!?兎ってこんなに高知能な生き物だったっけ…?次の分岐の部屋は、これも同じか。奥の方にもあるみたいだからそっちも覗いてみよう。
…
色んな部屋を覗いて分かったことがある。奥に行けば行くほど部屋が豪華になっていくのだ。それなりに奥の方の部屋には、ニンジンが神棚みたいなやつの上に御神体みたく飾られてたし。というか、一番奥の部屋俺の部屋よりも広いんだが?兎に負けていると思うと悲しくなってくる。しかもその兎は大嫌いなクソ兎くん及びクソ兎ちゃんなんだ。生物として負けた気がする。ベットも俺よりふかふかそうだったし。ていうかあのベット絶対同種の毛でできてるだろ。格差って怖い。
次は右から二番目の道だ。この道も少し進むとすぐに分かれ道があった。
まずは右だ…正解。分岐にでた。
次は左かな?…間違い、戻ろう。
今度も右か?…合ってた。分岐だ。
今度も右で行ってみるか…まただ。
さらに右…四連続だ。
次は分岐が3本に増えている。中央に行ってみよう…違うか。もしかしてまた右?…合ってた、というかここはなんだ?
「宝物庫、か?」
目の前には様々な武器や防具、それにアクセサリーのようなものが山のように積み上げられて置いてあった。大した価値ではないだろうけど、ちりも積もればなんとやらだ。換金したら結構な額になりそうだな。
「ちょっとお宝をもらっていこう」
そう思って宝物庫らしき部屋の中に足を踏み入れた途端、「ヴー!ヴー!」と、警報のようになんらかの生物の鳴き声が聞こえた。
「なんだ!?」
その瞬間、山のように置かれていた物の中から、小さな影が大量に飛び出してきた。咄嗟に剣をそちらへ構える。
ガキィィィィィン!!
刃と刃がぶつかり合い、大きな音を立てる。くそ、兎を全然見かけなかったのは油断させて、ここで奇襲するためだったか。流石に油断をしすぎていた。マッドブルが巣穴に大量に落ちてきたんだから警戒くらいはそりゃするわな。まあ後悔しても仕方がない。全力でこの窮地を切り抜けよう。
「死にさらせクソ兎ども!!」
ダブルヴォルト起動、最初のジャンプで上へ跳び、兎どもの位置を把握、2回目のジャンプで空を蹴って斜め下方向へ跳び、前方にいた1匹にヘビーピアスを叩き込み、落下判定を突撃判定に変えダメージを無くす。ダブルピアスで前後に迫っていた兎を仕留め、リキャストタイムが終了したダブルヴォルトでもう一度跳び、空中に退避する。
まずい、スタミナが切れそうだ。もう一度空を蹴り上空に逃げ、スタミナを回復させる。比較的兎口密度が低そうな場所へと突進、ダブルステップやダッキングを使用しつつ、スラッシュ系のスキルでやたらめったらに周りに攻撃し、ついでにマニュアルでも攻撃を行う。もうめちゃくちゃだ、スキルを使っても使わなくてもたいして変わらないんじゃね?と錯乱しかけたその時、「ピロン♪」と音がして新しいスキルを覚えたことを知らせる。
「新、しい、スキルは、なん、だ?」
攻撃の合間が少し広がったところで確認をすると、四方払いというスキルだった。前後左右に斬りつけるスキルだそうだ。素晴らしい、グッドタイミングだ。
ダブルヴォルトを使用、また上へと跳び、兎がそこそこ溜まっている場所を見つけ、一気に突撃。
「四方払い!」
四方払いを起動すると、刃が閃き周囲の兎たちが一気に散る。しかし、倒せば倒すだけ新しく兎が補充される。さっき上から見た時にも思ったが、流石に多すぎはしないだろうか。いや、もしかしたらさっき地上へ出ていったと思っていた兎たちが戻ってきているのかもしれない。毎日あれだけの量の兎が出ていってしまったら、巣に何かあったときに対処できなくなりそうだし。
四方払いのリキャストはまだ10秒ある、ダブルヴォルトもまだ使えない。ダブルピアスで左右の兎を数匹まとめて串刺しにするが、その隙に前方からも兎が迫る。ええい、斬っても斬ってもキリがない。最悪当たれば毒のスリップダメージで遅くなったりするんだ、適当に回転でもしよう。もうヤケクソだ。
「まずいな、HPが10をきっ「ピロン♪」」
また新しいスキルだ。今度は荒駒という名前だ。コマのように回転し、周囲を斬りつけるスキルらしい。今さらこれがあっても焼け石に水だが、道連れにできる兎は多いほうがいい。本当は初見クリアがしたかったんだけどなぁ。
「荒駒!」
おお、これを現実でやったら三半規管が死にそう。バレエやフィギュアスケートの選手でもできなさそうだ。人間がこんな動きできてたまるか。ダブルスラッシュ、終了したらすぐにサイクロンピアス、ダブルヴォルトで前方向に跳びながらヘビーピアスを使って右の剣で兎を5匹ほど串刺しにし、左の剣で周りからの攻撃をパリィする。でも流石に限界だ、もうHPが2しかない。VITをあまり上げなかったのが良くなかったか。あんまりこうやって物量で押されるような戦闘を想定していないからな。でもこれだけ持ち堪えたのは結構すごくないだろうか。ゲームをやり込みまくってた甲斐があったぜ。レベルが低くてもプレイヤースキルで巻き返すことは可能なんだな。
「四方払い!」
なけなしのスタミナを振り絞って四方払い起動、しかし後ろにいた兎の攻撃を避けようとしたところ、スタミナが切れたことで動きに制限がかかり、なすすべなく背中を刺され、俺は死んだ。
初期の街に現れるヴォーパルバニーたちの武器は、基本的に短剣です。たまに冒険者から奪った他の武具を持っている奴がいたりします。
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