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《Aeterna・Memoria》アエテルナ・メモリア  作者: 黄金餅
迷い猫は相棒を探して
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刹那に誓う永遠の想い 5

「ちょっとちょっと、まずくない!?」


魔法の反応的には、すぐそこにまでゴーレムたちが迫ってきている。広範囲殲滅型のスキルは持っていない。ならば仕方がない、負ける可能性が大いにあるが肉弾戦と洒落込もうではないか。そう意識を切り替えてゴーレムに向かって叫ぶ。


「さあさあかかってきなさいゴーレムたち!!」


それは、本当に無謀なものであった。数十体のゴーレムに対して上級職1人。最上級職でも下手をすると負けるような相手に、真っ向から挑み掛かるのは、果たして勇気か蛮勇か。しかしながら、己を鼓舞した(ノリにノリに乗った)ゲーマーとは強いもので。


「性質反転:(くれない)っ!!」


そう叫んだ瞬間、エトーの拳から紅の炎が上がる。そして、その拳がゴーレムへと叩き込まれた瞬間、ゴーレムの体に炎が引火する。

本来、ゴーレムとは燃えないもの。しかしながら、最高級の素材を注ぎ込んで作られた「紅の(フィスト)」と言う武具は、「可燃性の物質で構成されたもの」に対しては全く効果を発揮せず、ただ「多少硬くて強い武器」に成り下がってしまうが、「非可燃性の物質で構成されたもの」に対して圧倒的な威力を誇る。その効果は「打撃した対象が非可燃性の物質で構成されている場合、非可燃性の物質部分を極めて可燃性の高い物質へと変換する」と言うもの。まあ要するに、相手を殴ったらそいつはめっちゃ燃えるようになりますよ、ということである。そしてもう一つの効果が「打撃時に火属性を追加する」と言うもの。この二つの効果のコンボによって、エトーはゴーレムに対する圧倒的なアドバンテージを獲得し、古代都市遺跡での探索を可能としているのである。


「もういっちょォォォッ!!」


幾度も幾度も、この拳の能力を発動させる。ただし、スキルとはマナを使用するもの。自身の持てるマナにも限りがある。回復薬(ポーション)や回復速度上昇、回復薬を貯めておけるアクセサリー類などを装備することで賄いつつ、じわりじわりと消費されるマナを見て焦燥を感じている。今はまだいい、拳自体にもマナを貯めておくことはできるから。しかし、それが尽きてしまうとまずい。


当初、魔法職なんてするつもりの無かった私は、MPをほとんど育てておらず、拳闘士としての道を歩み始めてもMPを消費するような武器やスキルには出会わず。結果、MPがないのに親の仇かと言うレベルの勢いでMPを消費する武具を手に入れてしまったために、ステータスと防具のバランスが壊滅的なのだ。今の私のレベルは174。既にステータスの変更は使用してしまっていて、あとはレベルを上げてSPを稼ぎ、200レベで大きく変更を加えると言う選択肢しか取れなくなっている。しかし、150レベルを超してきたあたりで、それまでも上りづらかったレベルがほとんど上がらなくなってしまったのだ。そのため、今もこの「紅の拳」を手に入れてからMPの総量は誤差程度しか変化していない。アクセサリーも誤差だと言わざるを得ない。しかし今回は間に合ったようだ、ギリギリ残り5体のところまで持ってくることができた。最近は「物質の性質の変換」を行うスキルだけを使用し、そこに火薬で火をつける、と言うなかなかにアナログな方法をとっているせいでMPの消費が格段に下がったおかげかしらね、と考えながら目の前の5体のゴーレムに向き直る。


「あんたたちには一番いい技を使ってあげるわ」


そう宣言して、必殺の技名を叫ぶ用意をする。すぅぅぅ、と息を吸い、ピタッと止め。


「紅のォォォォォォ……ッ!!(フィスト)ォォォォォォッ!!」


広域殲滅型のスキルは所持していない。しかし、中域殲滅型、とでも呼べるようなスキルは持っている。それが「紅の(フィスト)」と言うスキルである。

アエメモの世界に置いて、「その武具の名を冠するスキル」と言うのは基本的に奥義として定義される。そして、この「紅の(フィスト)」という武具も例に及ばず、その「紅の(フィスト)」の名を冠したスキルは奥義となるのだ。

「紅の(フィスト)」。その効果は指定範囲内のすべての物質の可燃化。そして追うように発生するのが派生属性:炎による指定範囲内での発炎。どう言うことかと言うと、エトーが地面に拳を叩きつけた瞬間、エトーを中心とした半径10メートル程が一気に発火したのだ。それはゴーレムも、貴重な遺産が眠っていたかもしれない家屋も例外なく、範囲にあるもの全てを焼き尽くしていた。しかし、その炎が範囲の外へと漏れ出すことは絶対にない。だからこそ、エトーは安心してこのスキルを使用できるし、クランリーダーも使用を許可しているのである。


そうして、半径10メートルの範囲は全て焼き尽くされた。「ピロン♪」と通知音が鳴り、レベルアップを知らせる。


「よーやく上がったぁー」


久々のレベルアップに安堵し、地面に倒れ込んで空を見上げた時のこと。空を翔ける人影が視界を横切っていった。突然の事態に、先ほどよりも警戒しながらその人影が向かう方へと走る。



◇◇◇



辿り着いた先はショッピングモールのようなもの。


「ショッピング、モール……?」


どうやら先ほど空を翔けていた人物……ルアンなるプレイヤーも同じ疑問を抱いたようである。そのままどうするのかと思えば、堂々と中へ入っていくではないか。警戒心を持て、警戒心を。


中へと入ったルアンは、そこからショッピングモール内の、食品フロアと思わしき場所を探索し続けていた。私は盗賊から派生する密偵で使用可能な盗聴系スキルをフル活用しながらルアンの行動を観察する。もちろん、周囲への警戒も忘れない。


途中、ルアンがものすごい衝撃を受けていたため「なんだ!?」と警戒すると、スキル越しに


「こ、これは……っ!?お餅!?」


と言う声が聞こえてきた。いや、別に餅を好むなとも、ゲームの中で好きなものを見つけた時に喜ぶなとも言わないけど、それにしても警戒心とか緊張感が……いいや、私は勝手に覗いてるだけなんだから文句なんて言えないけど……それにしてもなぁ。なんとも言えない、複雑な気分でルアンとやらを観察し続けるのだった。

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