他人が苦戦してるところを見ながらケタケタ笑えるやつを殴っても許されないとおかしい
まあ展開が早すぎる気もしますが許してください
「さーて、今の俺はお前にも追いつくほど強く……はなっていないかも知れねえけどよォ…。闘えば闘うだけ俺は速く、強くなってくぜ?」
そういってアクセルを起動、1歩目から最速となり一気に距離を積める。そしてフロー・モーションを起動。大袈裟なくらいになっている己の挙動をなんとか操作し、そのおかげでダメージ判定が大きくなった攻撃を叩き込む。ゴブリンジェネラルが棍棒をもちかえ、今俺が攻撃を加えている右側ではなく左側に持ってくる。そしてまた同じようにフルスイングでこちらを狙ってくる。
「バッカでい」
飛揚の脱兎を使用、あがった跳躍力で一気に上空へ跳び上がり、リキャストが終了した八艘跳びで後ろにいたハイ・ゴブリンナイトやハイ・ゴブリンメイジのいる場所へと突っ込む。まだ飛揚の脱兎の効果時間中だ、あがったステータスでゴブリンたちを蹴散らす。だがやはり「ハイ」と付くだけあって一筋縄では行かない。全てのゴブリンに最低3発ずつ攻撃を加えていくが、フロー・モーションと飛揚の脱兎と累積加速だけじゃ限界がある。もう少し早くなれるスキルがあれば良かったのだが売っていなかったからな。
そんなことを考えている間、ジェネラルは自分が振った棍棒を俺が避けたことによって自身の体に直撃し、かなりのダメージを負っているようにも見えた。いいねいいね、できればそのまま自滅して欲しいよ。
最後にゴブリン兵たちに向かって勇優のおかげで多少なりとも小規模な広範囲攻撃くらいには使用可能になった嵐駒を使用、そこから跳躍しニードルバーストを起動、勇優を後ろから振り抜きピンと張らせる。先ほど行った一連の流れをもう一度繰り返し、今度は隙だらけのジェネラルの頭に全力で突き刺そうとして────
───山紫水明の樹海の特色とは何か。それは……モンスター同士の協力関係であった。基本的にこのアエテルナ・メモリアというゲーム内では、モンスター同士は種ごとに分かれ常に敵対関係にある。稀に肉食ではないおとなしいモンスター同士が共存関係を築いたり、同じカテゴリに分類されるモンスターで群れることもあるのだが、この森では食物連鎖の上位に位置する種たちが共存ではなく協力関係にある。これは開発者たちも想定外の行動であった。この樹海に住むモンスターたちには「食べる・食べられる」という生存に必要な行動など、直感的に、本能的に、利害の一致が分かりやすいような関係しか理解できないようなAIしか積んでいないのである。だがしかし、この森に生きる生物たちは生き残るための手段としてこの協力関係を維持している。図らずとも、それこそがこの樹海が「初心者殺し」と呼ばれる所以なのだ。
────巨大な樹の根に阻まれた。
「ほぇ?」
間抜けな声が出た。だがそれほどに驚きだった。何故…何故…エルダートレントがゴブリンジェネラルを守っている?確かこいつらは敵対してたはずじゃ……あ、まずい。呆けてる暇なんかない。まずは八艘跳びで回避して、着地からのトリプルステップで距離を取る。そして見上げた先には……軽く人の10倍以上はあるであろうエルダートレントの姿だ。ちっ、俺は火属性の魔法なんぞ持ってないんだよ!エルダートレントの弱点は確か……根と茎の付け根にある塊根、木の中心を通る髄、木のてっぺんにある梢、魔力が集まっている一つの実だったはずだ。そこを重点的に攻撃すればどんどん弱体化していってくれる……はず!そう信じたい!そう思って八艘跳びとアクセルを起動する。アクセルによって強化された八艘跳びはエルダートレントの梢へとたどり着くのに十分な距離を稼いでくれた。そして双連烈破を起動、一気に畳み掛ける。だが全然梢を削ることができない。そうやってモタモタしている間にエルダートレントの枝のうち一本がこちらへ向かってくる。だが今の連撃はただがむしゃらにやってたわけじゃない、累積加速のおかげでステータスが爆上がりしてんだよっ!八艘跳びの残りの3回のうち一回を消費し上へと飛び上がる。そして地面へ向かってもう一度空を蹴り、ギリギリで最後の一回を消費し着地する。
「ふう、一安しn…っ!!」
ガッ!!!
着地して一旦落ち着いたタイミングで後ろからの奇襲攻撃。犯人はゴブリンジェネラルだ。咄嗟に体が反応し、攻撃を受けることができたのはおそらく軽戦士の心得のおかげだ。後ろからの奇襲も防いでくれるなんてありがたいもんだ。確率だったから発動して良かった。くそっ、完全にこいつの存在を忘れていた。というかよくよく見たら周りにハイ・ゴブリンナイトやらハイ・ゴブリンメイジやらが大量にいる。だめだ、戦いに集中できない。集中しすぎると他からの奇襲に気付けなくなる。でも文句言ってばかりじゃどうにもならない。
おそらく、ゴブリンたちも、トレントも、お互いを傷つけてはいけないのだろう。たとえそれが不慮の事故であったとしても、おそらく「契約を破った」ような状態として判定されるんじゃないだろうか。そして契約を破った側はなんらかの罰を受けることになる、と言ったところだろうか。ならば俺はトレントにへばりつくかゴブリンの群れの真ん中に入っていけばいいということになる。トレントにくっついた方が簡単そうだな……あと普通に面倒臭いのもトレントだからできるだけ早く倒しておきたい。
そう思ってエルダートレントの方へと駆け出し、一気に跳躍する。そうしてエルダートレントに乗ろうとしたタイミングで──
───今度は違う樹の根に阻まれた。
「いや、は?」
いやいやいや、そんな大量にトレントがいるって聴いてないし!うげぇ、めちゃくちゃいるじゃんトレント。というかゴブリンアーチャーが乗ってた樹もトレントに変わっている気がする。わーお、つまり俺は最初から罠の中にいたわけだ。
「くっそ、たかだかエリアボス程度に負けてたまるかァ!」
そう宣言した直後、俺の目の前に大量の樹の根が交差する。
「こういうアクロバティックな動きを求められるゲームは結構好きだぜトレント君!」
帰ってきたのは更なる根による追撃。おっとマナーがなっていないぜトレントよ、会話は物理ではなくあくまで空気の振動である訳だ。拳を交わして会話するなんてほざく野郎もいるが人間はそんな超ハイスペック生命体じゃないんだぜトレント。
「テストに出るからよく覚えておけェーっ!!」
おうおう、なんでそこで攻撃を加えてくるかねゴブリン達よ。今はトレント君の特別授業中なんだ、質問は後にしてくれるかね?
なんてアホみたいなこと考えてるけどマジで余裕なんだってー!!
「誰かヘルプミーィィィィィィィィィ!!」
「やあやあ名も知らぬ初心者プレイヤー君、せいぜい頑張りたまえ」
なんだろう、まず「やあやあ」の時点で他プレイヤーの助けが来たことに安堵し、次に「名も知らぬ初心者プレイヤー君」で少し小馬鹿にされてることを感じながらもまあ助けてくれるのだから甘んじて受け入れようという気持ちになり、「せいぜい頑張りたまえ」のところで一気にその希望が打ち砕かれついでにその上から目線な態度に俺の怒りの沸点がどんどん下がっていく。今現在の俺の怒りの温度と怒りの沸点をパラメータで表すと
沸点 温度
───┴──────────────────┴──
くらいの感じになっている。
「おまっ、もう少しはっ、人の心とかっ、ねえのかよォォォォォ!!」
「人の心?なにそれ美味しいの?」
ものすごく中指を立てたい気分だ、でも今はそれどころじゃないからしゃーなしで我慢しておいてやろう。
「うおっ、くそっ、こいつら多すぎだろっ!」
「うわwこんな雑魚に負けるとかwあり得なさすぎてw笑えてくるww」
「しばくぞこの野郎っ!ちったぁ手伝えや!!」
「えー?なに言ってるのかわかんなーい」
ああ、初対面のやつにここまで嫌悪感を抱いたのは初めてかもしれねえな。
拙作で「w」を使ったのは初めてな気がします。なんというか、これを使った瞬間低俗的な作品になるような感じがして。まああくまで個人の感想です、使ってる作品の作者様はごめんなさい。まあ黄金餅の国語力が低いからそんなことになるだけで、上手な人はそれも込みでうまくまとめられるのかもしれませんが。




