とある男たちの物語:滓
活動報告でもお知らせいたしましたが、今後、作者の都合により更新が水・木・土・日になりそうです。できる時にはそれ以外の曜日にも更新いたしますが、基本的にこの四日間になりそうですのでよろしくお願いします。
とか言いながら火曜日に更新してるんですけどね。1時間は誤差だ……っ!!
ちなみに今回はめちゃくちゃ設定もりもりです。
ステータス、思いもよらぬ、効果ある
まじDEX先輩神っす。マジ最高っす。もう永遠に崇めたてるっす。尊敬してるっす。
いやもうびっくりだよ、DEXあげただけであら不思議、左がピンと張るようになった。右も添えれば百発九十五中、ほとんど成功するようになっている。おかげで武器のリーチが伸びるし、色々と新しい戦い方ができそうだ。
しかも、相手の体に巻き付ける技も普通にできるようになったし、今は刃を突き立てながら巻き付ける練習をしている。というかなんなら普通にスキル【刃耳縛り】がゲットできたし。名前雑じゃね?と思わなくもないが、おそらくこの刃耳を使った武器専用のスキルなんだろうなとは思う。もしかしたら鞭とか作ってたら使えそうだけども。
◇◇◇
1つ、確かめたいことがある。2つ目の町であるヴィアにもあの怪しい商人がいるのかである。正直言って、今のところあの商人からもらったアイテムに一切の必要性を感じられず、インベントリの肥やしとなってもらっているわけだが、意外と重要な設定に繋がったりしないかなあと思って探してみる。
……
いた。いた。普通にいた。前よりも分かりやすくいた。びびった。簡単すぎてびびった。というか、前と顔が変わってない気がする。
「やあ、お客さん。久しぶりだね」
「お、おう。なんで同じ顔?」
「ああ、それは僕が君の担当…」
「なんて?」
「いや、こっちの話さ。まあこれからこういう場所で売り買いするのは僕だって覚えてくれてたらいいよ」
「ふーん。なるほどね」
「分かってくれたみたいでよかった。ところでお客さん、その気配は…魂かな?」
「たましい?」
「ああ。今、何かの魂、いやそれの残滓でもいい、持っていないかい?」
魂、魂か。んー、ん?そういえば……ちょっとインベントリを見てみよう。
「もしかしてこれか?」
「ああ!それだよ。それは……魂の残滓か。予想通りだったみたいだね」
「これがどうかしたのか?」
「ああ。お客さん、この前迷子コンパスを買っていっただろう?あれの説明文はちゃんと読んだかい?」
「ん?いいや」
「そうか。今読んでみるといい。きっとその意味が分かるから」
・迷子コンパス
それはまだどこも指さぬ羅針盤。それは魂を探す、魂の波を観て。羅針盤の願いはただ一つ、ならばそれを為すものを支えるが役目。どこも指さぬ羅針盤に目的を与えよ。さすれば己はさらなる力を手に入れるであろう。
なんというか、なんというかな説明だ。全体的にふわふわとしていて何が言いたいのか分かりにくい。まあ一つ、さっきの商人の話と合わせて考えるに、魂とこのコンパスで何かをすればいいのだろう。
「読めたかい?」
「ああ。この魂の残滓とこのコンパスで何をするんだ?」
「そのコンパスは魂の波形を観る。そして、それに似ている波形へと案内するんだ。より強い波形にね」
「ほうほう。つまり、この、えーと、魂の残滓?を観せればいいってことか?」
「ああ、そのつもりだったんだけどね。それは特別だったみたいだ。それはユニオンのものだろう」
「なんで分かったんだ?」
「波形さ。ちなみにそのユニオンの名前は?」
「カーネブル。【王兎】カーネブル」
「ああ、そうきたか。王兎かぁ。王兎ねぇ」
「何か問題でもあったのか?」
「玉兎って知ってるかい?昔から、月には兎が住んでいて、不老不死の薬を搗んでいるという伝説があってね。その姿が玉のように美しいことから来ているんだけれど。【王兎】っていう称号は、本来そうやって不老不死の薬を作ったり、誰かを癒すことに特化していて、さらに兎たちをまとめ上げる兎に与えられる物なんだよ。だけどどうだい?おそらく我々の情報通りであれば、今の王兎はただただふんぞり返っているだけの、なんの役にも立たない傀儡となってしまっている。王兎の称号は伊達じゃない、その名はある程度の力を持つんだよ。それを今はうまく使われてしまっている。本当に嘆かわしいことだ」
我々?その言い方だと、この商人はなんらかの組織に所属していて、こいつの動きは組織的な何かなのか?というか、結局王兎じゃダメな理由が分からない。
「つまりどういうこと?」
「いや、まだ結論を言えるほどまでは説明できていない。もう少し聞いてくれ。長々と喋ってすまないね」
「大丈夫だ。それで?」
「称号には、意思がある。厳密に言えば、称号自体の意思というよりも、その称号を賜ってきた歴代の人、今回でいえば兎たちの意思、いや、誇りが詰まっている」
「それが王兎とどう関係するんだ?」
「今までの兎たちの誇り……それがあるということは、今の王兎のように、誰か別のものに傀儡としていいように使われ、ましてや本人が驕り高ぶっているなど、その誇りを汚されると同義。この称号としての怒りは、この魂の残滓の中に詰め込まれている。それはこの迷子コンパスでは抑えきれない。最悪暴走してしまうだろう」
「だから無理なのか」
「そういうことだ。この称号の怒りを抑え、そして武器として発揮しようと思うならば、器、それと対となる魂を集めることだ」
「対となる魂……」
「一つ、助言を言うならば。その魂は月を光らせる物、そしてその魂を持つのは夜に生きる者、かな」
「あ、ありがとう?」
「どういたしまして。これでその魂に関する話は終わりだ。でも、せっかくその羅針盤を持っていて、魂も見つけたのに何もないと言うのは少々申し訳ないな。代わりにこれを」
ポイッとこちらに投げてきたものをキャッチし、確認する。
・兎へ導く羅針盤
羅針盤は指すべき方角を得た、ならば進め、針が示す方へと。強さを得たいのならば。
なんというか……このゲームは全部プレイヤーの判断に依存するような形式の文しか出してこないな。あくまでこれはあなたの自由ですよ、とどこまでも言ってくれる。まあたまには強制イベントもあるかもしれないけどな。
「それをあげたことは内緒だよ?怒られちゃうから」
「あのー、その怒られる、とか我々、とかってどう言うことなんでしょうかね」
「あ、口が滑っちゃってたか。んー、今はまだ話せない。時が来たらきっと話すよ。まあ自己紹介だけしてから帰ろうかな。僕はアムール・ノスタルジック。1人の女性に恋をした、そんな男たちを引き連れている。そして僕もまた、1人の女性に恋をした男だよ。あ、あと、裏路地商人組合、ルアン担当商人だよ」
そう言って、怪しい商人…もとい、アムール・ノスタルジックはふっと姿を消した。
感想を一言。重い……っ!情報が重すぎる………っ!!




