兎は跳ねる 4
総長兎の方を一応確認しつつ、どこに特攻しようかと考える。総長兎がいる方の反対側側がいい、いやそれだと背中晒すことになるから総長兎の視線に対して垂直くらいの方向へ行くか…。
それじゃあ候補は騎士兎の集まりA・Bと魔術兎の集まりaに絞られるわけだが…騎士兎の方には特攻かましても普通に避けられるし、最悪もう一回袋叩きにされかねないから魔術兎たちに決定だな。特攻開始、一気に距離を詰め四方払いを使用して蹴散らす。ダブルピアスとダブルスラッシュ、さらにスラッシュをもう一度使用する。マルチヴォルト起動、上空に一旦逃げて全体を見渡す。というかやっぱこの部屋広すぎる。俺ん家すっぽり入りそうなんだけど。それはともかく。
「ええい、多すぎんだよ!!」
全然終わらねえよ!誰だよ頑張ればいけるとか言ったやつ!出てこい張り倒してやる!
というかそろそろ寝ないと明日起きれねえって!あーでも今日が罰ゲームの実行期限だし!俺はまだ社会的に死にたくないんだよ!よーしこうなったら最速最短で終わらせてやる!見てろよドヤ耳、秒…分…時間で終わらせてやんよ!!
もう一度空を蹴り、地面に着地、荒駒を起動しながらマルチヴォルトの3回目で前に突進してしまい、回転しながら前方に跳んでいくという側から見ればとてつもなく気持ち悪い動きに入るという大誤爆をしてしまった。頼む俺の三半規管よ持ってくれ、ゲロ吐きながら寝たくはないんだ。いやでもこれ三半規管へのダメージを考慮しなければ結構使える組み合わせじゃないか?しかもマルチヴォルドで進む方向は発動時点で跳んでいった方向だから荒駒使っても目的地には着くし…。
お、荒駒が終わった、よく持ってくれた俺の三半規管。あれ、でもよく考えたらここはゲームの中だから持っているというだけで現実ではゲロ吐いてるとか…。いやあ、親が部屋に入ってきたらどうしよう、VRゲームのヘッドセットつけながらゲロ吐いてるところを見るわけでしょ?2度とゲームさせてもらえんくなるかもしれん。でも母さんも父さんもちょっと…というかかなりゲーム廃人だしなんとかいけるか…?
「っとあぶねえ」
まあ今はそんなことを考えている余裕はない、とっととこの兎どもを片付けねえと。
と思ったら目の前にドヤ耳くんが。おお、俺が回転しながら迫ってきたのを見てフリーズしてる。ローディングの最中か?それとも今見たことを理解するために再起動からのアップデートに移行しているか?周りに敵は5体、少し多いけどこれは要するにチャーンス!!
「ダブルピアス、からのダブルスラッシュ!」
ダブルピアスで左右の敵を突き刺し、ダブルスラッシュで前方2体を切り裂く。やっぱりこのゲームは自由度がすごい、頭の中に流れてくるイメージをベースに攻撃方法を変えても全然いける。ダブルスラッシュも、本来は10時に切るようなのだが、それを分けることによって2体の敵を一気に倒せた。残り1人にはピアスをお見舞いし、本命へと向き直る。
全力でヘビーピアスを起動、いや起動に全力もヘチマもねえだろと自分に突っ込みつつも脳内にぶち込まれるヘビーピアスのイメージよりも若干腕をおおきく振りかぶって突きに移行する。
「いっけぇぇぇぇ!!」
一昔前の某有名探偵漫画風に叫び、あと少しで刃が届く…というところで、横から割って入ってきた騎士兎に剣を上から下へと押し込まれてしまい狙いが外れる。そのまま刃は正中線の一番下にある場所に突き刺さる。おっとこれには流石の騎士兎も固まってしまったー!!実況解説風にそうなことを思いながらもドヤ耳の様子を伺う。まあ大体反応は分かるが、正気に戻りさらに何秒かのフリーズを挟んだあと自分の体にされたことを理解したドヤ耳は発狂し、跳ね回った。
「なんというかその…どんまい?」
「何がどんまいじゃこらァー!!」
いやまあこれに関しては怒ってもいいと思うよ?俺も悪かったと思ってるし。そりゃ痛いよね、俺も現実でこうなったらと思うと怖気が走るよ。明言は避けるけど。まあこれに関しては皆さんのご想像にお任せするとしよう。
もう一撃いこうかな。別にスキルがなくたってマニュアルでピアスくらいできるし。そんなことを考えていると、ようやく固まってしまった騎士兎が動き出し、俺へと刃を向ける。これを無視してそのままドヤ耳に攻撃を加えられるほど俺のステータスは高くないので、普通に対処する。
「ほっ」
パリィで弾き、そのままフラッシュラッシュで仕留める。
今度こそドヤ耳を、と思い振り返ると既にドヤ耳は逃げたあと、奥の方へと走り去っていく最中だった。投擲武器があれば良かったけど、あいにくそんなもの持っていないし予備の武器もない。というかこの武器が耐久削り切られて壊れたら俺詰むんだよな。今の所耐久は大丈夫そうだろう。結構いい素材使ってるし。
まずい、また兎どもが集まってきた。さっきの荒駒&ヴォルトで距離詰めてもいいけど三半規管がなあ。あれ不用意に近ずくといつの間にか切り刻まれてそうだし。やってるの俺だけど。
うーん、困った。どうしようか。誰を狙っていけばいいかもう分かんなくなってきた。まず総帥たちを狙うか…?でもなあ、あいつら強いし。本当はドヤ耳をまっすぐ狙いたいんだけど、そうすると否が応でも総帥たちと戦うことになるし。あー、誰かいい作戦教えてくんねえかなあ。あ、そうだ。ドヤ耳にお香投ーげよっと。
「ん?え゛、うわ、わわわわわ、わぁぁぁぁぁぁ!!」
おお、すごいことになってる。総長たちも慌ててんな。もっと慌ててくれたら付け入る隙も出てくると思うんだけど。ん、どうしたこっち見て。俺のこと見てもボスは助かりませんよー?総長さーん?え、ちょっとまってなんでこっちにくるの?おかしいって、ねえ、まずはボスが最優先だろ!?薄情なやつだな!やめて、こっちこないで!!
正中線の一番下にあるもの(明言は控える)
「正中線 急所」で調べてみてください。 なおドヤ耳くんは男性です。
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