↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
15/45

彼女との距離

「あっ!?」


「どっ、どうしたの? もう着いた?」


隣で寝ていた先生が、私の驚いた声で起きてしまった。


「いえっ、何でもないです。着いたら起こすので、まだゆっくりしていて下さい」


「あっ、そう」


すると先生は、数秒後には再び眠りについていた。


「ふぅ――」


私は大きく息を吐いたあと、もう1度先程の写真を見てみた。


すると、そこには槇村先生ではなく、私が大好きな笑顔の彼女が写っていた。彼女に黙って写真を撮っているのを見つかり、彼女の手で全て消されたはずのものだった。でも、どうやら1枚だけは消し損ねたらしい。しかも、私が1番気に入っている彼女の笑顔の写真――。


それから新幹線の終点駅である東京駅に18時43分に到着した。そこから電車を乗り継いで降車駅に到着すると、時刻は19時を回っていた。


「上城くん、どこかで夕食を食べて行かない?」


「すっ、すいません。帰ってからすることがあるので」


「そうなの?」


「はい」


「残念ね。お酒でも飲みながら夕食でもと思ったのに」


「すいません。また今度誘って下さい」


そうだと思ったのでお断りした。


「じゃあ、私は1人寂しくお酒でも飲みながら焼鳥でもつつこうかしら?」


「尾崎さんでも、お呼びしましょうか?」


「そうね。もし来れそうなら〝鶏まさ〟で飲んでいるって言っといて」


「了解しました」


「それと〝笑顔のかわいい彼女〟にヨロシクね!」


笑顔のかわいい彼女?


何のことだろう?


まさかっ!?


「もしかして、スマホの写真を見たんですか?」


「だって上城くん、新幹線の中でずっと同じ写真を見ているんだもん。気になるじゃないの。ゴメンなさいね!」


先生のニヤついた表情から、冷やかされているのはわかった。


「全然問題ないです」


駅で先生と別れて直ぐに尾崎さんに電話をした。そして焼き鳥を専門にしている居酒屋の〝鶏まさ〟で先生が待っていることを伝えた。


『先輩は行かないんですか?』


『私は用事があるので』


『先輩、ズルくないですか? いつも私ばっかりで。先輩が行かないなら私も行きませんから!』


『そんなこと言わずに、お願いします』


『嫌です。それより、これから私とどこか遊びに行きませんか?』


『何を言ってるんですか? どうして私が尾崎さんと?』


『〝どうして?〟って――。先輩って結構残酷ですよね』


『何のことですか?』


『先輩、私――』


『何ですか?』


『なっ、何でもありません! 行きますよ! 行けばいいんでしょ!』


尾崎さんの声は、どことなく怒っているように感じられた。前々からそうだった。尾崎さんは訳のわからないことで突然腹を立てることがあった。ふてくされたり、口を利いてもらえなかったり、避けられたり、わざと大きな物音をたてられたり、私には理解できない行動をとっていた。多分、私が彼女の勘に障るようなことを言ったのが原因だと思うのだが、ハッキリしたことはわからない。


『よろしっ――』


プ――プ――プ――


話の途中なのに電話を切られてしまった。どうやら私は、また余計なことを言って尾崎さんを怒らせてしまったらしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。