死ぬも生きるも(台本)
◆登場人物◆
A …アル。双子、魔法使いの女の子。死人を生き返らせることができる。
B …リィル。双子、魔法使いの男の子。死人を生き返らせることができる。
緋色 …アルカネット。騎士見習いの少女。
雪色 …フロウ。騎士見習いの少年。
女騎士、役人、戦士、魔術師、他
台詞の意味が通る範囲でしたら、ご自分のお声に合わせて、役の「年齢・性別・口調の変更、およびアドリブ」はご自由にどうぞ! 複数役演じていただくのも歓迎です!
Scene 1
A「ふふふ…」
B「…ふふふっ」
A「生き返らせてあげる」
B「あなたの大切なもの、ぜんぶ」
SE:ざわめき
1「お、親父!」
2「あなた!」
3「生き返るなんて…」
4「また、会えるなんて…」
4「夢みたい。」
雨音
戦士「覚悟しろ! 魔物め!」
A&B「魔物?」
A「あたしが?」
B「ぼくらが?」
A「どうしてそんなこと、言うのかな。あたしはね、あたしの全部の力で、ひとの役に立ちたいだけなんだよ?」
B「それがいけないこと?」
A「なにがいけないの?」
魔術師「こいつら、狂ってる…!」
B「くるってる。」
A「くるってるんだぁ?」
A&B「「あはははは!!」」
雨音。
A「またやっちゃった」
B 「しょうがないね。不可抗力だよ。また生き返らせればいいもんね」
A 「そうだね。しかたないね。また生き返らせたらいいもんね」
緋色「ふたりとも…!」
A&B 「「あ。」」
A「みつかった」
B「見つかっちゃった」
緋色「何してるんだよ! びしょ濡れじゃないか! 風邪引くよ」
A「馬鹿なの?」
B「馬鹿なんだね」
A&B「「魔法使いは、風邪をひかないよ?」」
魔術師「…う」
戦士「許さないわ。よくも…!!」
A「ひとがしぬのは、どうしていけないの?」
B「ひとが生き返るのは、どうしていけないのかな?」
甲高い音。
緋色「いい加減にしてくれる? この子たちは、ウチで預かってる大事なお客さんなんだから…!」
戦士「あなた、その紋章! 領主様の…! 魔物の肩を持つの!?」
緋色「違う。この子たちは、ただの普通の、子供だよ」
戦士「なんで、なんで…!」
緋色「なんで…、って。理由なんかないよ。困ってるヒトがいたら、放っておけないよね?」
戦士「……」
***
暖炉の音。
A「あったかいね」
B「うん。あったかいね」
緋色「ふたりともー。ミルクが入ったよー」
A「あたし、おさとう、いっぱい!」
B「ボクのにはシナモンを入れて!」
緋色「えー。やだ。自分でやりなよ」
A「優しくない」
B「意地悪だ」
緋色「あはは……」
ナレーション「ずっと昔。まだ、世界に魔法と神話があった頃。
魔物と精霊と人が、ともに地上にいた頃の話。」
Scene 2
剣戟の音。
兵士1「第二小隊、戦線、持ちませんっ! 撤退しますッ」
兵士2「未確認の魔物ーー、無数にーー、数え切れませんッ」
A「はぁ…、はぁ」
B「だいじょうぶ」
A「まだ、やれる」
A&B「「ひとを生き返らすのなんて、カンタンだから」」
緋色「アル! リィル!!」
倒れる音。
紺色の魔術師「死者の蘇生なんて複雑な魔術、1日に何回も使ったら倒れるに決まってる。」
A「でも…」
B「だって…」
A「ひとがしんだら、悲しいよね?」
B「誰かいなくなったら、つらいよね?」
A&B「「力があるなら、だれかのために使わなきゃ」」
紺色の魔術師「君たちが倒れたら、意味ないだろ」
B「…ごめんなさい」
雨音。
A「雨だよ、リィル」
B「つまんないね、アル」
役人「その双子には、教会から異端と認定されている。こちらに引き渡してもらいたい」
A「異端…?」怯えて
女騎士「引き渡したらーー、どうするの?」
役人「然るべき処分をすることになる」
女騎士「…わかったわ」
雨音
山道を進む馬車。
馬のいななき。
役人「なんだ…っ!?」
緋色「その子たちは、返してもらうよ」
雪色「死にたくなければ、置いて立ち去れ」
役人「顔を隠してもわかるぞ…、お前ら、あの騎士団の見習いだろう! こんなことをすれば、ただではすまないぞ!」
緋色「ボクは、ボクが信じる正義のためにだけ動く」
役人「来いっ! ゴーレム! こいつらを蹴散らせ!」
緋色「氷霧来たりて、刃と なせ!」
雪色「雷鳴来たりて、刃と なせ!」
A「あの見習い さんたち、馬鹿なの?」
B「うん…馬鹿なんだね」
A&B「「僕らは、逃げようと思えば、いくらでも逃げられたんだよ?」」
地響き
役人「なっ…なんだ!?」
A&B「終末を、見せてあげるよ」
役人「ひ、ひ…っ」
役人「やめ…やめてくれ! 俺はただ、命令されてやっていただけだ…!」
A「う~ん。どうしようか、リィル」
B「そうだね。どうしようか、アル」
雨音
緋色「二人とも、怪我はない?」
A&B「あなたが、あまりにバカだから、呆れてる」
A「雲の切れ間から、陽光が差し込む。
大人の作る世界に振り回されて。」
B「大切なものも見えなくなってた。
けどーー」
A「よかった」
緋色「ん?」
B「あなたは、来てくれた」
A&B「だから、もう少しだけ、信じてみる」
(幕)




