第803話 石田三成
「殿、ロシア帝国より使者が来ております」
「うむ、そうか、会おう」
私は今、スロバキア王国大臣として開墾作業の陣頭指揮に立っている。
異国の地を豊かにすることは、争い事の火種をなくすのに良いという。
本来なら秀吉様のそばでパナマ運河の整備事業をしていたいが、スロバキア王国には秀吉様のお世継ぎもおられる。
その為、誰かが残らねばならない。
それが私。
「あら、いい男。貴方が石田三成様ね。よろしく頼むわ」
なんだこの軽々しい女は?しかし、御使者、丁重に迎えなくては。
「石田三成と申す。委細は女王陛下から手紙で読んだ。ロシア帝国との和議、進めよう」
「ありがとうございます。で、私がその人質として石田三成様の側室になります」
「いらん」
「え?」
「必要ないと申している。これから結ぼうとしている不可侵条約はロシア帝国が滅びの道を歩まぬようにするための物。最早、軍事力の差は歴然。裏切れば滅ぼすのみ。そのような国の人質など価値もなし。それに常陸様がそれほどの美貌を持った貴殿を帰したとなると、貴殿にはなにかあるのだろう。そのような者を側に置きたくはない」
「なんなのよ、この国の男どもは、私の美貌が欲しくないの」
「大一大万大吉、一人が万民のために、万民は一人のために尽くせば天下の人々は幸福になれる。しかし、貴殿は万民を我が物にしようとしている。違うか?」
「・・・・・・」
「ふっ、図星のようだったな」
「ロシア帝国皇帝陛下には私が不可侵条約を了承したと書状を書く、それを持って帰られよ。国境線については今後決めていこう」
「・・・・・・ありがとうございます」
と、アナスタシア・リュリークを見送った。
「殿、あのように帰してよろしいのですか?」
「かまわん。常陸様が帰したと言う事はそう言うことだ。あの女は悪女の類いだ。男を手玉にとってどうにかしたいという野望を持つ者。常陸様がたった一人の女に手玉にされるようなことはないだろうが、そのような者を近くに置きたくはないのであろう。私も御免蒙る。戦は避けたいが、争いそうなら徹底的に打ち砕くために側室としないのかもしれぬ。どちらにしても側におく必要はない」
「そのような物ですか・・・・・・」
「それより土塁をもっと強固に作るほうが今は大事、良いか、ちょっとやそっとでは崩れぬ土塁を作るぞ」
「はっ、しかと」




