第802話 アナスタシア・リュリーク
何なのよ。私に魅力がないというの?
ハーレムの調和を乱す?
女は誰かの一番になりたいものよ。
それをあの男はわかっていないのかしら?
あの男のハーレムは、その心を捨てている?なんなのよ、いったい。
くそ、あの男を骨抜きにして世界を牛耳ろうとしていたのに・・・・・・。
くそ、このままでは計画が・・・・・・。
兎に角、近くに滞在するようにするには・・・・・・あの血の伯爵夫人の人質?う~それは嫌だわ。
そうなると、この国で黒坂常陸に次ぐ地位にいるのは石田三成ね、石田三成を私の魅力で落として国を乗っ取るのが良策。
石田三成、おまたを洗って待ってなさい。
バードリ・エルジェーベト女王に形式だけの挨拶を済ませようとリエーガ城に入ると、美しい大理石の美少女が立ち並ぶ拝謁の間で拝謁した。
「ふふふふふっ、よく来たわね。歓迎するわよ」
「女王陛下より先に、黒坂常陸様に拝謁した非礼をわびさせていただきます」
「ふふふふふっ、良いのよ、良いのよ、どうせ古株ジジイどもに常陸様の側室になって寝首でもかけと、そそのかされているのでしょ?」
「そのような事はけして御座いません。ロシア帝国ミハイル・ロマノフ皇帝は遺恨を捨て今後は国交を結びたいと願っております。スロバキア王国とも、もちろん」
黒坂常陸を殺す事は考えていない。
むしろ奴は利用すべき男だ。
男は利用して初めて価値がある。
殺せば価値などない。
「ふふふふふっ、良い顔しているわね」
「え?」
「男を利用したいと考えている顔よ。私と同族の顔ね。でも、その顔で常陸様に会ったら追い返されて当然よ。欲を丸出しだもの」
「なんのことか私にはさっぱり」
「隠しても無駄よ。彼が欲している側室は平穏に暮らす事が出来る事を心から喜ぶ者だけなのよ。伯父に父親を殺された正室達、戦で住む家をなくした者や、売られた娘、そして、私と共に追放された私の娘。そのような者が望む物は自身が生き、そして子を産むこと。それ以上の事を願っていないのよ。だから、それを与えた黒坂常陸に皆が感謝して調和を崩さないようにしているのよ。貴方は違うわ。目が語っているもの」
私は言葉を詰まらせる。
「ふふふふふっ、図星だったようね。まあ、良いわ。ロシア帝国との不可侵条約は執政である黒坂常陸が進めよと言っているので、進めるわよ」
バードリ・エルジェーベト女王は、そう言葉を残して退室した。
くそ、流石に返り咲いただけの事はあるわね。
私もいずれは頂点に上り詰めて見せるんだから。




