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家探し!!

よろしくお願いします。

「もう走らなくても大丈夫そうだよ、サファイア。さっきの従業員が追いかけてくる様子もないから呼吸を整えようか」


 手を引っ張られながらも自分の足で走っていたサファイアが、俺の言葉を聞き入れ周囲を見回す。自分の目からも追いかけてこないことを理解したようで、走ったせいで乱れた呼吸を、はぁはぁ、と整えている。

 はぁはぁしている女性って色っぽいよね。っとちょっと不謹慎的なことを思っていた。


 呼吸を整え終えたサファイアが俺をじっと見ながらさっきの従業員に関して話しかけてきた。


「タカヒロさんは特になんともなさそうだけど、あの女性に対して何も思わなかったの?」

「え?ただの露出狂なんだなーとおもったけど?あ、あと。この女性はサファイアにとって刺激が強すぎるかな~と思ったから急いで店を飛び出したな」

「(私に刺激強い?)それだけですか?」

「そうだよ?そんなことよりも資料を読むことと照れてるサファイアをチラ見するのに忙しかったしね」


 そうですか、と相変わらずの無表情で話を終わらせるサファイア。

 いつものことなのでそこはスルーして俺は話を切り替えた。


「それにしても、これはいったいどういうことか」


 先ほど読んだ内容を思い出しながらリュックから物件の資料を取り出した。


「先ほど読んでいた資料に何か問題が?」

「問題っちゃ問題かな。さっき読んだ資料だけどさ。宰相から貰ったこの資料と全く変わらなかったんだよ。宰相がきちんと働いてくれたからか。それとも、宰相がさっきの不動産屋に根回しして資料の物件以外は教えないようにしているのか」

「つまり、不動産屋に行ったのは無意味だったってことよね?」

「そうなるね。・・・仕方ない。何件かはあるんだし実物を見に行こうか。それでも良いのがなかったら宰相に文句を言うか、嫌だけど不動産屋に戻るしかないね」


 そう決めた俺たちは、資料に記載されている住所の今いる場所から近い順に家を回ろうと決めた。


「あ、そうだ。言い忘れていたけど、浴場施設なんて物があるかわからないけど、サファイアの体を他人に見せることをしたくないから浴室がある家ってのが大前提ね」


 俺の希望を告げると、俺から資料を受け取り、物件の中から浴室がある物件をピックアップしてくれて渡してくれた。

 ・・・よし、20件程あった資料だったのがあら不思議。残った資料は3件だけになったぞ。

 マジか。




 ***


 ないものは仕方がないので、一番近い物件に向かって歩いている途中、なんでこんなに風呂がある家が少ないのか聞いてみると。


「お城に住んでいる王族の方たち、豪邸に住んでいる貴族の方たちといった上流階級の方達なら入っていますが、庶民はタオルに水を付けて洗うのが一般的なので。浴槽を作るのに莫大な費用が掛かり、尚且つお湯を入れないといけません。しかも毎回。お金がいくらあっても足りないのです」

「へ~。じゃあ、今から向かってる物件に浴室があるってことは元は貴族が住んでいた家ってことなのか」

「そうだと思う。ただ、それらもいろいろ問題がありまして・・・と一つ目の物件につきましたよ」


 サファイアに向けていた目を横にずらして目の前に建っている家を確認。

 外見は奇麗で、庭も整えられていた。中はどうかと確認すると不動産屋が掃除しているのか直ぐにでも住めるような状態だった。

 最初に見た物件で決まりかな、と思ったがサファイアの言葉により前言撤回。


「この家は全体的に奇麗で良さそうなんだけど、周囲がちょっと・・・」


 そんなサファイアの言葉を聞きながら家の周囲を歩いてみた。

 軽く歩いてみた結果。墓地、風俗店が複数、スラム街が近いといった具合だ。


 周囲を確認し終わりサファイアの傍に来て俺は「次!!!!」とサファイアを促した。




 ***


 2つ目の物件にたどり着いた。2階建てでこちらはさっきと違い外壁が汚れまくっている。これは屋内も厳しいかな。屋内を見た後は周囲の建造物を確認しなければと考えながら入り口を通り左側にある庭を見た瞬間、今通った入り口を逆走した。

 やばい、この家はありえない。一人暮らしの男性ならワンチャンかもしれないけど俺は無理だし、それに一人暮らしでもないから余計にあり得ない。なぜかというと・・・


「どうかしたの?タカヒロさん。ここはちょっと掃除を頑張れば問題ないと思うんだけど」


 とサファイアが戻ってきた俺に声をかけてきた。確かにね。この世界の掃除がどうやるのかわからないけど、サファイアがそう言うってことは問題ないんだろう。カビが生えていて蔦でぐるぐる巻きになっている家なんだけど大丈夫なんだろうさ。

 違うんだよサファイア。俺が問題視しているのは見た目じゃなくて庭にある、あれが問題なんだよ。


「サファイア。ここはだめだ。掃除してきれいになるとかが問題じゃない。まだ屋内を見ていないなんて、そもそも見る意味さえないんだ」

「じゃあタカヒロさんはこの家の何がダメなの?まあタカヒロさんが嫌ならそれに対して反対する気ないけど」

「理由は簡単。俺が言った前提条件として『浴室』が欲しいという希望をここは満たしているのだろう。だけど、これはない。」

「だから何が問題なの?次の物件に行くんだから早く教えて」


 入り口に戻った俺は今度はサファイアを連れて庭にあるものを指さしながら、この家ではダメな理由を告げた。


「風呂は風呂でも、五右衛門風呂はないわ!!!!!!!」

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