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勇者の顔とか分からなくなった(どうでもいいけど)

タカヒロのターン!

 質問してみたけど恐怖を感じてそれどころではないのか、何も返ってこなかったので仕方なく言葉をつづけるか。


「おいおい、またこの話をしないといけないのかよ。確か、リンクと姫さんから差別意識は持っていないと聞いたはずなんだが、あれは俺の聞き間違いだったのか?それとも、お前らが勝手に言っていただけなのか?んなことどちらでも構わないか」


 リンクと姫さんを軽く睨んだが後ろめたい気持ちがあるからなのか、俺のにらみが怖かったのかわからないけど俺から顔を背けていた。

 睨んだ後、恐怖心を与えるために、ゆっくり4人の近くを歩きながら言葉をつづける。


「勇者だけじゃなく、本当はサファイアのことを疎ましく思っているんじゃね?と少し思ったけど、今日までの会話と接し方からリンクは問題なし。というか、俺に接するよりも優しかった気がする。惚れた?渡さねえよ?

 姫さんは友達同士って感じだから嬉しいね。あれかな、周りは年上ばかりだから同い年ぐらいの子がいなかったのが良かったのかもな。

 杖男はサファイアと話をしていないけど、邪険にしてるようには見えないし、それによってサファイアを嫌な気分にさせてるわけじゃないから採点なし」


 歩きながらリンク、姫さん、杖男と順に顔を見ながらしゃべり続けた。そんな俺を見て杖男は驚き戸惑いの表情を浮かべ、リンクと姫さんは表情が強張っていた。二人に関しては、召喚されたときの広間での出来事でも思い出しているんだろう。いや~俺も大人になったな。以前みたいに二個目を発動しようと思わなかったし。

 最後に勇者がいたはずの方向から雑音が聞こえて来たので、無理矢理こちらから話しかける(今の雑音は俺の名前を恐々と呼んだんだろうな)。


「お前、勇者だよな?あーいや。この部屋にいるのは6人のはずだから、消去法で考えれば間違ってないことはわかってる。服装から勇者だと判断できるんだがなんでか知らないけど、さっきから顔がモザイクっつうかぼやけてるんだよ。こりゃ服が変わったら誰かから教えてもらわないと勇者だとわからないな。あ、でも俺から接しようとしないから別にいいのか?それと、声も雑音としてしか届かないから耳障りだから黙ってろよ」


 理由を知らないといったけどおそらく精神的なことだろうなと判断はできる。サファイアのことでまた言われまくったから、その相手を俺の精神が拒否したんだろう。国王たちの顔がまだ判断できるのに勇者の顔を見れなくなったのは、リンク達が『勇者は偏見を持っていないから大丈夫』という情報を先に教えていたからだと思う。安心していた相手から真逆の言葉を紡がれたから『裏切られた』と思ってしまったことが原因だろう。え、俺のメンタル弱すぎ・・・。

 俺以外にこんな症状に陥ったことある人がいるか知らないし治す手段があるかも知らないけど、対象が勇者だけだからいっか。そんな事を考えている奴と仲良くなんてなりたくないし。


「お前がさっき言ってた言葉を一つ一つ否定していくのが面倒だから3つだけ言っておく」


 顔以外は人として見えるので胸倉を掴んで顔だと思うぼやけた部分に向かって告げる。


「1つ、お前が好き嫌いを述べるのは構わないが俺にそれを押し付けるな不愉快だ。1つ、サファイアのことを侮辱するな、希少種?そんなのステータスの間違いだろ。1つ、もう俺とサファイアに構うな。目障りだ」


 どんな表情をしているのかわからないから勇者は放っておいてベッドに戻る。言いたいことを言えたからか少し気分がよくなったけど、こいつと一緒の部屋にいたくないな~。そんな思いでリンクを見続けていると、ため息をついたリンクが勇者の腕を掴み出入り口に向かって歩き出した。途中で雑音が聞こえたので何か言っているんだろうけど言葉として聞こえないので流す。

 雑音に対して俺が何の反応も示さないからかリンクに続いて杖男も部屋から出て行った。そんな勇者をみて姫さんはどうするかオロオロしていたので、傍についていてやれ、と言うと下手な笑顔を作り部屋から出て行った。






 3人+雑音が消えたことでこれからどうしよっかな~と考えていると、ドアがノックされ先程出て行ったばかりのリンクが入ってきた。


 どうした?あいつの世話しなくていいのか?っという俺の言葉が聞こえているはずだがそれに対する返答はなくそのまま俺の前まで歩いてきて頭を下げてきた。

 ・・・いやお前に謝られてもどうしようもないんだけど。


「俺が謝るのは筋違いだとわかってはいる。だが、今のタカヒロにはあいつの言葉は言葉として届かないなら俺が謝るのが当然だ」

「なんでだ?勇者パーティの一員だって理由なら杖男でもいいし。それか身内がご迷惑をって意味を込めて姫さんが謝るのでもいいだろう」


 んなの決まってるだろ。と言い頭を上げて俺を見ながら


「俺は勇者の、リアスの友達だからな。友達の言葉でタカヒロを怒らせたんだ。普通ならリアスが謝罪するのが当然だけど、タカヒロが『構うな』と言ったからリアスが動くのは悪手にしかならない。ユリウスと比べれば俺の方がタカヒロと関係は濃いからな。嬢ちゃんには今のお前と面と向かって話す気力はないだろうし。なら俺が動くしかないだろう」

「ふ~ん。リンク。わかってはいたけど、苦労性だな」

「うるせっ。それに俺が謝ることで少しでもお前の気分がよくなるなら、それはタカヒロにとっても良いことに繋がるんだから」


 リンクの言葉の意味を考えてみたが答えにたどり着けそうもなかったので、理由を聞いてみようと口を開きかけた俺の左腕が引っ張られたので顔を向けると


「・・・。これが答えです」


 と言うサファイアと目が合った。

 ・・・え、これが答え?


「つまりだな。さっきまでのタカヒロは子供が見たら即座に泣くってぐらいの怖い顔をしてた。タカヒロ自身だってそんな顔を浮かべているってのはわかっていたんだろ?そんな顔でサファイアと顔合わせられるか?好きな人に怖い顔を見せるなんて嫌だろ。だからタカヒロに恩を売るって意味も込めて謝ったんだよ。どうだ?サファイアから『怖い』って感情を読み取れるか?」


 まだ俺が理解していないことに対してリンクが解説し始めた。一応すっきりしたのか、やれやれと言いながら椅子に座った。そういえば、こいつが城の中で立っている状態以外を見たのがこれが初めてだなとどうでもいいことを思った。

 それにしても、なるほどな。あのままの状態で俺がサファイアと顔を合わせるとサファイアが怯えてしまい、そんなサファイアを見て俺が凹むというところまで流れ作業のようにいくわけだ。で、それを現実にしないようにリンクが頭を下げることで俺の機嫌が少しでもマシになったという現状に至るわけか。

 怖がられていないならいいけど、俺ってサファイアの違う表情見たことあったっけ?


「確かに、そんな風にサファイアに怖がられるのはマズイな。というか、俺自身がサファイアを怖がらせることがあってはいけないだろ」

「だろ?なら、その恩を返すっていうことで一つ頼まれてほしいんだが」

「ん?一緒に旅に行こうとか勇者と仲直りをしてくれとか言うのはなしだぞ。前者は俺が行く理由ないし、後者はあいつのサファイアへの考えを変えないと絶対に無理だしな」

「わかってるよ。さすがにこれぐらいの恩で貰えるとは思ってねえよ」

「んじゃ何よ?」

「今後勇者から話しかけてきても無視したりしないで簡単で良いから対応してくれってことでどうだ?」

「いや、それだとさっき言った『俺とサファイアに構うな』ってのが成り立たねえだろ。それに、今のあいつの言葉は俺には雑音にしか聞こえないから会話なんて無理だぞ」

「そこは俺やユリウスが通訳してやるから。な、この通り!!」

「ってもな~」


 俺に構うな発言は、サファイアのことを厄介者扱いしたあいつが悪いだろ。俺がサファイアのことを恋愛対象として見ているのはさっきの言動からわかるだろうに。勇者自身だって、自分が好きな人を厄介者扱いされたらたまったものじゃないと思うんだが・・・。


 そんな風に、さっきの俺の発言は間違っているのだろうかと思い返していると、またもや左側がクイクイと引かれたのでサファイアの方を向く。もしかして、さっきまで抱きしめ抱きしめられていたのに今はしていないから寂しいとか感じてくれているのだろうか、と思ったが違った。

 というか、かわいい子が服を軽く摘まんで引く動作って最強じゃね?


「タカヒロさん、勇者様を許してあげて。勇者様の言葉を聞いて少しは嫌な気分になったけど、わたしのことに関してわたし以上に怒ってくれるタカヒロさんがいるから、わたしとしてはさっきのことは気にしてないんだけど・・・」

「サファイアにそう言われちゃったら仕方ないな。よし、許そう。でも、全部許すってのはサファイアの為ってことじゃなく俺自身が嫌だ。よって、さっきリンクが言ったようにお前らが通訳しての会話なら対応はするってことにするか。これで満足か?」


 交換条件で許すことを承諾したことを伝えるとどこがおもしろかったのか、少し笑った後お礼を言ってきた。

 さっきも言ったけどリンクって苦労性だよな。俺と勇者の関係を繋ぐためだからってこんなに神経使って動いてんだもんな。

 勇者一行が旅に出るんだし、帰って来た時にでも飯をごちそうしてやろう。


 そう決意した俺はその決意が鈍らないように再度あすなろ抱きでサファイアといちゃつく。





 イヤ~な雰囲気がなくなったので、リンクが知ってるか分からなかったが、何で椅子の上にウサギがいるんだ?とリンクに聞いてみると


「ああ、あれね。あの動物は嬢ちゃんと女王がお忍びで町を散歩していた時にみつけて城で飼う様になったんだ。嬢ちゃんが飼いたいと言えば何の問題なく飼うことはできるし、世話なんて基本的にメイドに任せればいいしな。で、一応国王様に飼っていいか聞いてみることにしたんだが、そこで国王様がすごく気に入ってしまって、嬢ちゃんのペットのはずなのに世話の大半を国王様がやってるらしい。椅子で寝たりしているのは地べたは汚いからっている理由で椅子に寝させているから国王様が立っているんだ」


 うは、超どうでもいい。

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