19.日常
俺たちは王都に戻り、タウンハウスであれこれしてから学園に戻った。
その頃にはグラン公爵家の件が随分と噂になっていた、クレア先輩と俺の婚約についてもだ。
そのせいか、クレア先輩の周りには今までいなかった人が群がるようになった。
俺が惚れた女を、掻っ攫って行った感じのストーリーになってるから、その、ロマンス的なのを聞きたい女子が群がるのはまだいいが、王家やうちと繋がりたい奴や、甘い汁を吸いたいだけのゴミは排除する。
クレア先輩もその辺はきちんと嗅ぎ取って扱いを変えているから大事にはならないだろうが、俺が気に食わないのでゴミは潰そう。
逆に俺の周りにもいつもより人がいる、がまぁ、仕方ないと思い対応しつつ、後でユリウスに相談しようと決める。
まぁそんな日々を過ごしつつ、ダンジョンに潜ったり、ポーションを作ったりして過ごす。
授業のダンジョン学も実技が増えてくる、が俺は錬金術の方で実技をしているため、ユリウスはダンジョン学の時の実技がとても暇だと嘆いていた。
今年の1年の実力は例年の平均程度は普通にある、ユリウスが強すぎるだけである。
一応教師が教えてくれることだったりで学びがない訳では無いが、とても無駄な時間を過ごしているようでモヤモヤするらしい。
なので俺も次の実技では戦闘ジョブの方に混ざろうと思い、今日その時間になる。
「お、今日はユーリもこっちに来たのか、ならユリウスの相手を頼む。
正直相手になるやつがいなくて困ってたんだ。」
そんな風に教師に言われるが、もとよりそのつもりである。
それぞれ立ち会いをする時間になり、俺とユリウスが向かい合う。
俺は2本の短剣、ユリウスは細剣、周りのヤツの視線も気になるがまぁ仕方ない。
「じゃあやろうか、まずは丁寧にやるぞ。」
「あぁ。」
そういって2人は動き出す。
俺らからすればまだまだゆっくりやっているのだが、他の生徒からしたらそれでも充分早いらしく、見入っているものが多い。
それぞれの突きや振り下ろされた剣を弾く、流す、避けるを続ける。
少しづつペースが上がるが雑にはやらない。
しばらく経って距離を取り
「んじゃ全力で来いよ、胸貸してやるから。」
「いいね、怪我しても文句言わないくれよ。」
「むしろ褒めてやるよ。」
そう言い先程の倍近い速度で動く。
攻めは基本ユリウスが、俺は全部受け流し、隙を見て反撃する。
反撃と言っても全力ではない、あくまで隙があることをユリウスに分からせる為の反撃だ。
少しずつ速度が上がり、フェイントも織り交ぜてくるようになる。
オークジェネラルの時よりも間違いなく強くなっている。
あれから一月と少ししか経ってないが成長速度が凄まじい。
元々才能はあった、だが同年代で並ぶ者がいなくなった結果伸びが緩やかになっていたのだろう。
だが俺という上に立つものを見てまた急激に伸びている。
思わず笑みがこぼれる。
どんどん速度が上がり、キレも良くなっていく、だが全力は、長くは続かない。
少しずつ速度が落ち始める、恐らくユリウスも感じたのだろう、動き方が変わる。
今までの速度重視の動きからテクニック重視の動きに変わる。
俺の短剣を絡め取ろうとしたりステップや踏み込みの幅を変えて距離感を掴ませないようにしてくる。
使えるもの全てを使って俺に勝とうとしてくる、傷を付けるだけではなく勝とうとしているのが分かる。
が限界が来る、いや既に限界ギリギリのところで踏ん張り続けているのだろう、そろそろ潮時だと思い、ユリウスの剣を大きく弾き首筋に剣を添える。
「短期間でめちゃめちゃ強くなったな、ユリウス。」
「まぁ、頑張って鍛えてるからね、でもまだまだ遠いね。」
「まぁ焦らず頑張れや、このペースでなら俺が2年の時には分からんな。」
「そうか。」
そう言って周りのヤツの視線を無視してふたりで休憩を取る。
ぞろぞろと周りの奴らも立ち会い始める、多分俺たちに触発されたのかいつもより気合いが入ってる気がする。
まぁまだまだ俺達には遠いけどな。




