17.対面
3日後、予定通りユーリ君達が来た。
魔物の血が入っているであろう大きな軍馬が4頭で引いてきた砦かと思うほどの堅牢そうな馬車から、恐らくユーリ君の父である筋骨隆々なコート辺境伯と綺麗な辺境伯夫人が降りてくる。
その後ろを着いて来ていたこれまた大きな馬車からユーリ君と、ユリウス君が降りてくる。
ユリウス君まで来ていたことに父達は驚いていたが、目の前にいる辺境伯閣下や周りにいる護衛の騎士たちの圧が強すぎて声を出せないでいる。
辺境伯閣下から地を這うかのような低い声が発せられる。
「急に来ることになってすまなかったなグラン公爵。
私がコート辺境伯家当主ガゼウス・フォン・コートだ。」
「気にしないでくれコート辺境伯、私はボルガー・フォン・グランだ。」
「そうか。」
「私も挨拶させてもらおうかグラン公爵、ユリウス・フォン・エル・メルトだ、短い間だがよろしく。」
「はっ、殿下を迎えられたこと、光栄の極みでございます。
早速ですが部屋へ案内させましょう。荷を解いたあと食事でもしながら詳しく話を致しましょう。」
そう言ってユーリ君達とは一度別れ、食事の席になる。
たわいもないことを話しながら食事をすすめ、残りはワインとちょっとしたつまみが残るだけとなり父が話しを切り出す。
「さて、確かコート辺境伯の次男とうちの長女の婚約との事ですが、生憎うちの長女はライゼン帝国の皇子との婚約がきまっておりましてな。」
そこまで話すとユリウス君が割って入る。
「もちろん知っているさ、報告があったからね。
我々はそれを知った上で来ているんだよ。
分かるかい?」
「あ、な、なるほど。」
「あぁ、何故か王家も知らぬうちに帝国とやり取りをし皇子との婚約を取り付けたみたいだが、その婚約に我々は全く魅力を感じなくてね。
それに私の友人であり、陛下も私の側近にしたいと考えているユーリの婚約者候補だったクレア嬢に帝国に行かれては困るから、色々な予定を前倒しにして婚約をすすめることになったんだ。
公爵にはこの婚約を了承してもらうよ、それで帝国と密通していたことは帳消しにしよう。
どうだ、とても優しいだろう?もちろん了承してくれるね?」
「み、密通などしておりません!」
「そうなのかい?てっきり帝国と協力して間にある領地を挟撃し折半でもして手に入れようとしていると思っていたよ。
なんだ、そんなつもりはなかったのか、なら尚更クレア嬢の婚約は理解ができないな。
公は一体何を考えているのだ?」
「私は帝国との関係改善の第1歩となればと思って今回の件を進めておりました。
全て王国のためでございます。」
「ハハッ!帝国に錬金術師のクレア嬢を送って関係改善になると思っているなら今すぐ当主の座を譲ったらどうだ?
クレア嬢はユーリの元にいくからね、もしまともな後継がいないのなら私の弟の誰かに継がせてもいいな。
それで?まともな返事を頂けるかい?」
「そ、それは。」
「まぁ今はいい、後ほど陛下の前できちんと説明してもらうことにするよ。
で、ユーリとクレア嬢の婚約についての返事は?」
「わ、私に異存はございません。」
「そうか、ならいくつかの書類にサインしてくれたまえ。」
そう言ってユリウス君が渡す書類にサインをしていく父、ユリウスの理詰めは怖かったけど、目の前にいる辺境伯の皆々様の冷めた目線でじっと観察される事の方がめちゃめちゃ怖かった。
王族の権力のよりも怖い暴力の気配って凄いんだなって痛感しました。




