フランシスコ・ビジェガス覚醒「絵」
1974年3月24日(日曜日)大場政夫はジムで衝撃的なことを言う。
「俺はもう人を殺したくありません。だからバンタム級にいる間は右ストレートを封印します!」
「政夫君、それがどういうことか分かっているのか?そもそも君のせいではないのだよ!」
桑田勲氏は宥めるようにそう言った。それでも大場政夫の意志は揺るがない。
「もう決めました。誰に何と言われようと変える気はありません。これからはフック技でマットに沈めます。」
「頑固者に何を言っても無駄か。いいだろう。好きにしろ。」
桑田勲氏は半ば諦めたようにそう言った。
「そう言えば1974年2月18日10R判定でフランシスコ・ビジェガス(プエルトリコ)が 伝説のボクサーロドルフォ・マルチネス・エストラーダに勝ったようだぞ。これでフランシスコ・ビジェガス選手はバンタム級世界ランキング一位だ。」
「はぁ!?あの伝説のボクサーにフランシスコ・ビジェガスが勝ったのか!?」
にわかには信じられなかった。
「そしてフランシスコ・ビジェガスはプエルトリコ人として正式に国籍を選んで二重国籍ではなくなったらしい。それから、彼は早老症(そうろうしょう、Progeroid syndromes)という稀な病気に罹患しているという噂が入った。実年齢は18歳かも知れないのだ!」
「何だって!?」
大場政夫は驚きを隠せなかった。そんな病気で苦しんでいるボクサーがロドルフォ・マルチネス・エストラーダに勝てるというのが信じられなかった。桑田勲氏からフランシスコ・ビジェガスが試合した瞬間を写真で見た。
「やっぱどう見ても18歳には見えませんね。」
「そういう病気なんだよ。残酷だよな。」
桑田勲氏は悲しそうにそう言った。
「そんなことより政夫君....本当にフックで倒せると思っているのか?これからドンドン試合相手は強くなるんだぞ!」
「くどいですね。やるしかありませんよ。俺はこれ以上犠牲者を出したくありませんから。」
「それなら、このトレーニングメニューを熟せ!」
桑田勲氏が大場政夫に渡したのは驚くほど多彩なトレーニングメニューだった。
ボクシングのフックは、単なる腕の振りではなく「下半身の回転」と「体幹の連動」がすべてだ。コンパクトかつ強力なフックを習得するための、代表的な練習メニューを熟さなければならない。
1. シャドーボクシング(フォームの確立)
まずは鏡の前で、ゆっくりとフォームを確認することから始めます。
ピボット(足の回転)の練習
リードフック(左フック)を打つ際、前足の母指球を軸にして、ドアのヒンジのようにカカトを外側に回します。この足の動きが腰を回し、拳に体重を乗せます。
「L字」のキープ
肘を肩の高さまで上げ、上腕と前腕が90度(L字)になるように固定します。腕の形を変えずに、体全体の回転で拳をぶつけるイメージを持ちましょう。
2. サンドバッグ打ち(インパクトと距離感)
バッグでは、実際に衝撃を伝える感覚を養います。
至近距離でのショートフック
バッグに近づき、最短距離で回転を伝えます。拳を当てる瞬間にだけグッと握り込み、バッグを「叩く」のではなく「突き破る」イメージで打ち込みます。
水平のラインを意識
フックが斜め上や下にならないよう、床と水平に拳が走るように意識すると、相手のガードを回り込みやすくなります。
3. ダブルエンドバッグ(タイミングと精度)
揺れるボールを打つことで、実戦に近いタイミングを学びます。
ジャブからのコンビネーション
「ジャブ → 右ストレート → 左フック」の流れで、ストレートで戻した腰の回転をそのままフックの溜め(タメ)に使う感覚を掴みます。
カウンターの意識
バッグが跳ね返ってくる動きに合わせて、小さくサイドにステップしながらフックを合わせる練習が効果的です。
4. フィジカルトレーニング(回転力の強化)
フックに必要な「ねじり」のパワーを鍛えます。
メディシンボール・スロー
壁に向かって横向きに立ち、ボクシングの構えからボールを壁に全力で投げつけます。腕ではなく、股関節の入れ替えでボールを飛ばすのがコツです。
ロシアンスイッチ(腹斜筋)
床に座り、足を浮かせて上体を左右に激しく捻ります。フックを打ち抜く際の「ブレーキ」と「加速」に必要な腹筋の横側を鍛えられます。
大場政夫は猛練習をした。
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