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第二任務

 その日は特別演習の翌日だった。


 前回のように学院長室に集められた三人は、手元の資料に目を通している。

 その正面ではシラーが書類の束を捲っている。


 一年生以外はその日も変わらず授業だったので、今は放課後、夕暮れ時である。

 夕日が窓から差し込み、朱色が室内を淡く照らしている。シラーは逆光になっていた。


「それでは君たちの次の任務内容についてだ」


 二度目であるので、前回ほどの長い説明は無い。


 テオはまだ緊張しているが、セノカとレイは相変わらずだ。


 シラーは椅子から立ち上がった。




 今回は二度目の任務であるので、前回よりも難易度が高い依頼であることは分かっているね。……否、前回は予想外のトラブルがあったそうだから、レイ君とテオ君にとっては簡単な内容かもしれないが。


 レイ君はオルバ、ノイヴァ組と共に上級貴族であるフレッツォ殿の護衛だ。十日ほど前に殺害予告が届いたらしい。今は騎士が守っているが、予告された日付が明日なので君たちに守ってもらいたいそうだ。


 そしてセノカ君とテオ君は、私と共に北の森へ向かってもらう。最近その付近で行方不明者が多発している。調査の結果、十数年前に汚職が原因で左遷された下級貴族の令嬢の天与魔術が原因だそうだ。行方不明者の救助……もしくは死体の発見が今回の目的だ。


 任務内容については以上だ。

 あとは明日に備えておいてくれ。




「……俺の任務は随分簡単に思えるが」


 レイが言った。


 シラーは書類を眺めたまま小さく眉をひそめる。

 夕日の逆光も重なって、どこか気味の悪い空気が流れていた。


「……フィロイドの任務の難易度は、その時の実力で解決できるか否かだけではないのだよ」


 シラーは光の中を歩き始めた。

 テオとレイがそれを目で追う中、セノカは他人事のように書類を読んでいる。


「護衛なんかは顕著なのだけれどね。人々の幸福のために、時には敵の命を無視しなければならないことがある。……君たちも私も、力があるだけで脆仙には変わりない。 その時敵を切り捨てられるかどうか、そんな選択を迫られてよりよい方を判断できるか。それも考慮されての難易度だ」


「……貴方は……」


「幸運なことに、まだそんなことにはなっていない。今のフィロイド全員がね。いつその選択を迫られてもおかしくはないけれど」


 話を聞いていたテオは安堵したように肩を落とした。

 しかしセノカは心底どうでも良さそうにシラーの話を聞き流した。


 殺し屋であった自分たちに葛藤など、今更である。そもそもセノカには局に入った当初からためらいが無い。


 シラーは沈んだ表情をいつもの甘い微笑みに切り替えた。


「まあ、そういうことだ。セノカ君、テオ君。今回はよろしく頼むよ」


「はいっ」「ああ」


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