表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
沈む皇室  作者: 弓張 月


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/51

虚像

お待たせいたしました。ここから怒涛の展開になりますのでお楽しみに。

皇族方の怒りや戸惑いをよそに、大和田家では祝福の嵐が巻き起こっていた。

自宅周辺では「振る舞い酒」が配られ、町内会長が音頭をとって「万歳三唱」が行われた。

幸子は母に連れられて、大急ぎで着物や洋服を買いに出かけた。

后宮御用達で有名なアリシマブランドの店では、何着もスーツやワンピースを買い込む。

1着を吟味し、さらに体型に合わせて作るタイプの店なのに、あからさまに吊り下がっている服を次から次へと試着して服を決め、さらにオーダーメイドで記者会見用のワンピースを作る。

料金を提示され、それが100万単位になっているが母は意に介さず「つけ」でという。

「皇室に入ってしまえば何とでもなりますから」

そういわれてしまうと、もう店側は何も言えない。

さらに、世界的に有名なデザイナー花森恵に朝見の儀用の衣装のデザインを任せたのだが、花森がじきじきに自宅に来て採寸をしデザイン画を描いたが、どういうわけかどれも却下された。

「通常ローブ・デコルテは肩を出すデザインでないといけないので、首周りは出ますが」

「それではダメなの。どうしても首周りを隠して袖をつけて下さい」

哀れな花森は、自分のイメージとは違うデザイン画を描く羽目になってしまった。

本当は譲りたくないけど相手が東宮妃ではいう通りにするしかなかった。

「后宮様とは正反対の方ね」

靴も次々買わなくてはいけなくて、靴屋が「サイズを測らせて下さい」と言えば靴を送り付けてくる。

アリシマにしても花森にしてもどこも老舗で御用達で上品な客相手の店なのに、見事にプライドを傷つけられて最終的には「今後はお断り」と決意させた。

そもそも大和田家は外交官なのだから、「場」にふさわしい服装のプロトコルくらいはわかりそうなものだが、母と娘そろってかなり疎かった。

幸子の母は、とにかく高そうで派手な印象のものを娘に勧め、娘の方は服には興味がないのか人形のようになっている有様。

しかし、元来首元はアトピー肌で荒れているのでどうしてもスカーフやチャイナ風の襟にこだわりがあり、果たしてそれが皇室にふさわしいかどうかは二の次だった。


マスコミは一報が入るやいなや、「外務省出身のキャリアウーマン」と幸子を持ち上げた。

それだけではない。

日本で数人しかいない女性官僚、女性外交官、3か国は話せて(結婚の儀の頃には6か国語になっていた)外務省期待の星と職歴を持ち上げる。

学歴も、大学院卒ではないのに、卒とみまごう報道もあり、雑誌や報道でそれを目にした人は

「偉い学歴の人や」と驚き、「優秀な人だ」と称賛する声が相次いだ。

過去に写真週刊誌が取り上げた、外務省試験に受かった時のインタビュー記事がもう一度掲載されたり、

友人の家でウインナーを炒めている写真や、友人の子供を抱っこしている写真を掲載し、「家庭的な一面も」と持ち上げる。

幸子さんの得意料理は「肉じゃが」で、料理教室に通っている。お茶やお花の稽古にも余念がなく、特に得意な習字は一定の評価を貰っている。

大学時代は「最優秀学生賞」を受賞し、教授達の覚えもめでたくそのまま帰国しないで欲しいと切望されたが「根無し草になりたくない」と帰国を決意。

父の後を継いで外交官になろうと決めた云々。


そして職場の北米二課では恐ろしい程の静寂の中でみな黙々と仕事を続けていた。

発表後、まだ幸子は出勤していなかったが、みんなそれでほっとした部分がある。

なにせ、遅刻や早退は普通だし、30分に一度は化粧室に駆け込むし、仕事を任せれば偉そうな態度で「何で私が」というし。

正直、今回のお妃内定は北米二課にとっては幸いで、小躍りしたいくらいのものだったが、東宮が気の毒と思えばやっぱり静かにしているしかなかった。

2年の勤務の中で仲のよい友人に出会う事もなく、いつも一人で「父」の威光を盾にしているから誰もまともに取り合おうとしなかったのだ。

そして海外では、信じられないようなスキャンダルが発覚。

海外留学の際、結婚を前提とした付き合いをしていたというアジア系の青年が「幸子の写真を複数枚持っている」とマスコミに持ち込んだのである。

29歳にもなるのだから、結婚しようと思った男の一人や二人いてもおかしくないのだが、これが東宮妃となると話は違ってくる。

「処女性」というものを大切している皇室ではブライダルチェックは必ず受けて貰わなくてはいけないものだ。

無論、菜子もそれをパスしている。

しかし、幸子はこれを「人権侵害」と言い建てて「絶対拒否」をしたのだ。

「しかし、これはルールで」という女官の言葉を「女性差別」と決めつけ、断固拒否、どうしてもするなら結婚しないとまで言い出す。

「じゃあ、ご破算に」と言いかけた宮内庁をなだめたのが哲也で

「娘の歳を考えて検討を」とその時ばかりは頭を下げた。

そこにアジア系男性の登場である。

一瞬で「虚像」が壊れてしまう危機と思った時、彼は謎の死を遂げた。

今に至るまでそれは原因不明の死だった。


「末は世界をまたにかけて活躍する程の才女で語学力抜群でしかも美人。東宮様は素晴らしいお妃を選ばれた」と世間では拍手喝采を送った。

しかし、それは本当に、ただの「虚像」であることはすぐにわかるのだった。

今思うと、本当に「虚像」というのが真実でしたね。それに踊らされたのが国民でネットがなかった時代だからこそ出来た事だと思います。

それでも後から次々真実が暴露されても知らん顔していられる本人の図太さに感嘆します。

今後の展開をお楽しみに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ