審議
前話・ルズベグの提案内容
「あれはよくできた嘘だと思います。『不自然にならないように考えた』感じがします」
「私もそう思う。女の勘は鋭いんだよ」
「うちも……あの話に乗るのは反対だね」
女性陣の意見はおおむね不評だ。
「だけど本当なら他のオーガと合流できて、迫害される生活から一転、安定した暮らしができるんだ。断ったら逆にそのチャンスを棒に振ることになる」
メリットは多いと考える俺は肯定的だ。
「それで万が一だまされたら、創世教の人に全員殺されちゃうんだよ。危ない橋すぎるよ」
「すぐにでも保護してもらうべきだと言ってるわけじゃない。すぐに断らず、慎重に見極めたほうがいいと思うって話だ」
「嘘だと思いますけど――」と前置きしたアオイさんも続けて反対意見を口にする。
「万が一もし本当だとしても、一個人でやってるだけのことです。今後、国や創世教にばれたり、ルズベグさんの子供に代替わりした瞬間、心変わりされて突き出されたり、何があるかわかりません」
「まあ、たらればを言い出すときりがない。それを言うなら今の生活の方が危険は多いように思う。繰り返しだが、見極めるのは大事だと思う」
「そういう比較のお話じゃないよ、私とアオイさんが反対してるのは」
じゃあどういう話なのかと言おうとして那須じいに腕をつかまれる。目が「これ以上はやめとけ」と言っていた。
「受けないにしても、検討をにおわせて斧やシャベルをもらえたわい。調味料や石鹸ももらえるし、とりあえずはあの返事でよかったと思うぞい」
「贈り物の義理で判断するようになりそうで反対かな」
「まぁまぁ、せいぜい思わせぶりな態度をとって、あれこれ貢がせてしゃぶってやればいいんじゃ」
いつもは手を焼かされる那須じいにありがたいフォローをもらい、その場の話をまとめた。
「とりあえず一回、物資の支援を受け取ろう。オーガたちの希望も踏まえて今後は検討しよう」
「了解じゃ」
「族長として皆の意見をよく聞いておきます」
「我らにとって大事な判断ですからな」
返事は那須じいとミンカブとセフからしか返ってこなかった。俺なりに慎重に考えているつもりなのだが、みんなのこの不機嫌ぶりはどういうことだろう。




