侵入者
前話
ルズベグのプロファイル
クサガモ捕獲を朝の日課にしてから九日目となる。
すでにクサガモは四十六匹になり、連日、卵も増えていた。
そんな中、とうとう最初の卵がかえっていた。
罠を作って初日に捕まえた個体の卵なので、どうやらおよそ七日でヒナが生まれるようだ。
親世代も、もともとの警戒心が嘘だったかのように囲いの中で暮らすことに慣れ、今はふかふかの草ベッドで卵を温めながら眠っていてほほえましい。
最終的には全員が一日二個の卵を食べられるようにしたい。
つまり一日に百個ほど、卵が必要となる。
にわとりの卵を産むペースと同じであれば、百三十羽以上を飼育する必要があるか。
そう考えていると後ろから声がかかった。
「ハヤトさん、何か手伝えることはあるかい」
いつの間にかクサガモの囲いの中にオーセが入ってきていた。座った姿勢で振り返ると、目の前にオーセの太ももがあってどきりとしてしまう。
オーガの女性陣の服装は変更になっていた。暑さと、小用のときに手間がかかることでフジコスーツはあまり好評ではなかったのだ。
今は胸元の真ん中がオープンタイプのビスチェとローライズのホットパンツで、どちらもエナメル素材だ。
食糧事情が改善されてまだ十二日だが、オーガは全員、驚異的な見た目の変貌を遂げていた。
中でも、オーセは一際目を引く。
顔の輪郭や体のラインに女性的な魅力がそなわり、それでいて以前からの引き締まったワイルドさは要所でそのままだ。
ゆるくウェーブする黒のロングヘアは歩くだけで艶めき、俺は前世で見たランウェイを歩く褐色肌のモデルを連想していた。
「見てくれ。ヒナがかえったんだ」
動揺をごまかすように、黄色とこげ茶のふわふわのヒナを見せる。
「うわっ可愛い……じゃあこれからヒナが連日産まれるんだね」
「ああ、順調だ。で、カモ小屋は特にもう用事はないし、時間も時間だから昼飯の準備にいこうかと思っていた」
「わかった。じゃあ一緒にいこう」
差し出された手に引っ張られて立ち上がり、広場に向かうとピピの緊迫した声が響いた。
「はーちゃん!兵隊たちがこっちに来てるっピー!」




