果物狩り
前話
朝一の水分補給
昨日の肉の残りと芋で朝食を取りつつ、今日の予定を話し合う。
「昨日、トラ美が熊狩りしてきたサルナシ高地にいくにゃ、いろんな実がいっぱいなってたにゃ」
話に聞いたとおりの場所のようで楽しみだ、主に食材的な意味で。
トラ美から離れないことを徹底するよう伝え、数人のオーガと一緒に向かう。
那須じいは今日もオーガの訓練と栗田の世話が忙しいと言っていたため置いてきた。
サルナシ高地はアンズ、桃、スイカ、ブラックベリーがたくさん実っていた。
到着直後に現れた熊はトラ美がすぐに仕留め、今は沢に沈めて冷やしをしている。
那須じいに教わった方法で、これをしないと肉は硬くて食えたものではなくなるらしい。
「こんないい場所が急に使えなくなったなら、食糧事情が悪くなるのもしょうがないな」
収穫物に念のためのキュアをかけ、光らないことを確認しながらつぶやいた。
「そうなんだよ。ここに気軽に来れてた頃はそこまでひどくはなかったんだ。トラ美さんのおかげだね」
オーセは髪をかき上げながら、ぱたぱたと手で顔をあおいでいる。
その仕草に元祖と同じ色気を感じるが、フジコスーツは今まで薄着のオーガたちには暑かったのかもしれない。
「秋にはサルナシやイチジクやブドウが採れるんだ。セフの嫁さんはサルナシが好きだったからさ、結婚祝いの日はここに来て、籠にたくさん持って帰ったもんだよ」
オーセが遠くを見つめる目は寂しそうだ。かける言葉がわからないまま無言の時間が続いた後、オーセは再び口を開いた。
「ハヤトさん」
「ああ」
「もうこんなに世話になってて厚かましいんだけど……これからもよろしく。うちらもハヤトさんたちのために、何か出来ることを頑張ろうと思ってるんだ」
「ああ、こちらこそよろしく頼む」
「……」
「心配しなくていいにゃ、ハヤトと一緒にいるなら、トラ美が守り神になってやるにゃ」
まだ何か言いたげだったオーセだったが、トラ美の頼もしい発言ににこりと笑って返していた。
しかし、得意げな様子を見ている限り、賛美歌は子供たちではなく、トラ美のほうによく効いているようだ。
今日の夕飯は採ってきた果実もラインナップに加わり、確実に食べ物の種類が増えてきている。
食に余裕ができれば他に気が回るものなのか、男性陣は取り戻しつつある筋肉の話、女性陣は髪の縛り方や生活用品のことなど、話題が尽きないまま夜は更けていった。




