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最弱と蜘蛛

「2階層の敵はジャックコボルトですね」


 コボルト、ゲームでも出てくる犬の人型のような奴か。

 いつものように初めは1体の所を狙って進む。


 ジャックコボルト Lv7


「あれがジャックコボルトなのか……」


 目の前にいたのは2等身で2足歩行している子犬だった。

 見た目は可愛いがその両手にはナイフが握られていた。だが俺からしてみればただのゆるキャラにしか見えないが……。


「【ウインドボール】」

「やぁ!」


 俺がジャックコボルトの容姿に気を取られている間に2人は戦闘を始めていた。


「ヤバッ【ウォーターボ……って、えぇ!」


 慌てて俺も魔法を使おうとしたがその前にジャックコボルトは呆気なく倒れた。


「……ジャックコボルトは魔物では弱い分類」


 そうか奴は魔物の中でも最弱だったか。なんかなぁ……。


【ジャックナイフ】


 ジャックコボルトからドロップしたのは奴が持っていたナイフだった。

 ナイフと言っても武器扱いではなく一般用の包丁みたいなアイテムだ。

 実際に家にも料理用に1本買っている。でも【武器製造・強化】のスキルで使えるようだから何かしらの用途はあるみたいだ。


「この階層のドロップ品もあまり高く売れなさそうだからさっさと階層ボスの所へ行くか」

「そうですね。ジャックナイフはたまに武器屋の人がクエストを申請するときがあるらしいですけど、それでも安いみたいですし」


 やっぱり武器屋で必要なときがあるのか。ちょっと気になるけど今はレベリングついでに金稼ぎが目的なのでこの階層はさっさと進む事にする。

 途中であうジャックコボルトを俺とエルで交代しながら倒してMPを温存させておく。


「2階層のボスはコボルトです。動きが速くて魔法が当たりずらく、爪での接近戦をしかけてきます。気をつけてください」

「なら最初に俺が【フレイムストーム】を使ってからカノンは【挑発】を頼む。エルも当たる当たらない関係なく魔法を使ってくれ」


 あ、あと時間切れの【シャイニングフォース】もかけ直しとかないとな。


「【シャイニングフォース】それじゃ行くか」


 俺達がボス部屋に入ると人型の犬が現れた。


 コボルト Lv13


 今までのジャックコボルトとは違い体長2メートル程あり、手には鉤爪(かぎづめ)があった。

 爪って武器の爪かよ!まぁいいや。


「先手必勝【フレイムストーム】」


 いくら素早くてもさすがに魔法の範囲外には逃げれずコボルトは炎の竜巻にのまれた。

【シャイニングフォース】の効果でスキルでの威力が上がっているのでこれでHPがかなり削れたはずだ。

 炎の竜巻がやむとまだコボルトは立っていた。さすがにボスはワンキルできなかったか。


「【挑発】」


 カノンのスキルによりコボルトはカノンに向かって走り出す。


「【ウインドボール】」


 エルもコボルトに向かって魔法を使うが簡単に避けられてしまった。やっぱり素早い相手に単体魔法は当てづらいか。


「このぉ!」


 コボルトの鉤爪攻撃に対しカノンは盾を構えたまま体当たりを繰り出した。

 おぉ、ゲームにあるシールドアタックみたいな感じか。

 カウンターをモロにくらったコボルトはよろけた隙に俺が斬りかかる。


「【スラッシュ】!」


 この攻撃がトドメとなりコボルトは倒れた。


【俊足の鉤爪】


 AGIにボーナス補正が付く装備品か。

 でも爪の装備はファイター系にしか使えないから売るか。


「やりましたねハルキさん」

「むう、私の攻撃、全然当たらなかった……」


 エルはまだ1つの魔法しか使えないからしょうがない。後々に期待だ。


「カノンもさっきの1撃はよかったと思うぞ」


 確か盾は防御以外にも盾を使って面で攻撃する事もあるとネットで見た気もする。


「は、はい。ありがとうございます」


 カノンは少し照れながら嬉しそうに答える。

 そういえば攻撃面で褒めた事1度もなかったな。ともあれボスを倒した事だし3階層へ行こう。


 カザマハルキ 16歳 男

 ソルジャー Lv15


 カノン 14歳 女

 シールダー Lv13


 エル 16歳 女

 マジックユーザー Lv9


 ボスを倒したことで3人共レベルが上がった。

 うん、レベリングは順調順調。


「はー、もう3階層です。思ったより速いペースですね」

「そうなのか?」

「はい、1日かけても1階層も進めなかったと言うのもザラですからね」

「……ん」


 カノンの言葉にエルも同意する。

 そうか、ダンジョンは迷路になっている。

 ボス部屋に辿り着くルートは何通りかはあるけど途中に魔物もいるから迷ってるうちに何体もの魔物とエンカウントして連続で戦えばHPが削られていくと。

 あれ、2階層以降の出口はボスを倒して次の階層の入口にある。これ迷ったら出口がわからなくなってかなり危ないのでは……。

 俺には【マッピング】と【サーチ】のスキルがあるから今いる階層の全体図、自分達の位置や魔物の位置もわかるからいいけど。

 カノンもエルもよく何も言わずに俺に付いて来てくれたな。それだけ信用されているって事かな。


「3階層の魔物はスパイダーです。糸を出して動きずらくなった所を攻撃してきます」


 うっ、またエグそうなのが来たな。まだ【シャイニングフォース】の効果が残ってる間は【フレイムストーム】でワンキルできるだろうから今のうちにドロップ品を稼いでおこう。


「2人共今はまだ俺のスキルの効果があるから効果が切れたら2人に戦ってもらおうと思う」

「? 交代で戦っちゃあダメ?」


 ですよね。そういう疑問を持ちますよね。

 え~と、何かいい言い訳ないかな……。


「きっと私達2人だけの力で倒せる敵か知りたいんですよ。ハルキさんには頼ってばかりですから私達だけでもちゃんと戦える事を証明しましょう!」


 2人共ちゃんと戦えるからそこまで気負う必要はないんだけど。まぁやる気になってるし言うだけ野暮か。あまり時間がないので話を切り上げなるべく魔物が多い所へ向かう。


 スパイダー Lv9

 スキル【粘糸】


 スパイダー Lv8


 スパイダー Lv8


 出て来たのは目が6つ、脚が8本ある黒色の蜘蛛だった。

 あ、1体はスキルを持っているな。初めてのスキル持ちの魔物が蜘蛛とは。


「【フレイムストーム】」


 相手が行動する前に魔法を使い倒す。こちらも時間がないのだ、容赦はしない。


【布】


 スパイダーのドロップは布か。これも高く売れそうにないな。

 お、だけど【防具製造・強化】のスキルに使えるアイテムだ。

 俺達3人共、防具を揃えられてないからな。ここで防具を作れるだけ集めておくか。

 この製造系スキルは必要な素材や個数はわかるけど1回造っておかないと【?????】のままみたいなんだよな。

 だから造れる物は造っておきたい。いらなかったら売ればいいしな。

【シャイニングフォース】の効果が切れるまで俺はスパイダーを狩り続けた。

 戦果はこんな感じ。


 布 13枚


 エル 16歳 女

 マジックユーザー Lv10


 スキル

【ウインドボール】【ウインドウォール】【魔力強化(大)(中)】


 成長促進の指輪に加えエルはまだレベルが低いから必要経験値が少ないのかエルだけレベルアップした。

 しかも新しいスキルも覚えてる。ウォール系だから防御壁の魔法だな。

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