7.エピローグ
夢から覚めた王様は、アフロディテの神殿を建てるように賢者たちに言いました。賢者の長が地にひれふし、感動に震えながら尋ねます。
「王よ! あぁ、我が王よ! あなた様はついに……」
賢者の長の言葉に、王様はにっこりと笑ってうなずきました。
神殿が完成すると、すぐに王様は神殿に向かいました。
アフロディテに感謝の祈りをささげるためです。
夢の中でアフロディテは言いました。
王女の魂は、無事に冥界から救い出されたと。
王様はそのことを知ると、とたんに安らいだ気持ちになりました。
王様の胸には、王女と過ごした楽しい記憶が息づいています。それが時々あばれて、王様をさみしい、苦しい気持ちにさせます。
今でも王女を亡くした心の痛みはいえません。
それでも……王様は王女を愛していました。
アフロディテがそのことに気づかせてくれたのです。
神殿には天界から、翼の生えたアフロディテの使者が送られました。そこに住み、人々に愛の教えを広めるようアフロディテに言われたのです。
王様より一足先に神殿に着いた使者が、やってきた王様に振り返り、ほほ笑みます。そこで王様は思わず言葉をなくしました。
アフロディテは、そんな二人を空から静かに見守っています。
神殿が無事に完成すると、毎日、多くの国民がそこに足を運びました。
そしてあるとき、その使者を見た人がこう言いました。
「アフロディテの使者様は、亡くなられた王女様にそっくりだ」
世の中には今日も辛いこと、悲しいことが溢れています。
それでも……。
アフロディテは遠い空から、人々に語りかけています。
――世はすべてこともなく、世界は愛で出来ている、と。