12.ホワイト様との魔法練習2
「ホワイト様は初めて魔法を使った時のこと、覚えてますか?」
私の問いに、ホワイト様は「もちろんですわ」と即答した。
——私にとって初めての魔法の授業は、わからないことだらけだった。
魔力をどうやってコントロールするのか。
どうやって魔法へと変換するのか。
そもそも魔力って何だろう。
説明を聞いても理解できなくて、形にできなくて……。
「私は中々上手くいかなくて、何度も失敗したんです。」
何度繰り返しても、上手にできない。
その事実に、「やめよう」とさえ思ったしまった。
「でも、成功した時、お兄様が『綺麗だ』って言ってくれて。」
私は目を閉じて、その時の光景を思い出した。
「もちろん魔法が成功したのは嬉しかったんです。だけど、それ以上に……」
私はサファイアのような綺麗な瞳を見つめた。
その瞳に私が映し出される。
「あの時のお兄様の顔が忘れられないんです。」
ホワイト様の息を呑む音が聞こえる。
「とても楽しそうに笑っていて。それが私も嬉しくて。」
話していると、自然と笑顔になれる思い出だ。
「だから、今までずっと光魔法は誰かを笑顔にする力だと思ってたんです。……ホワイト様に言われるまで、人を救うとか、考えたこともありませんでした。」
——光魔法で人を笑顔にできる。
私にとってそれが最初に思い描いた魔法の使い方だった。
「誰かを笑顔にできるこの魔法が好きです。それで、光の色の実験をしてたんですよ。」
ホワイト様はしばらく黙って私を見つめた後、小さく肩を落とした。
「……殿下が貴女に興味を持った理由がなんとなくわかりましたわ。」
その声は小さかったけど、私の耳にはしっかりと届いた。
「今の言葉を聞いてわかりました。貴女は魔法に対するイメージが他とは違うのですわ。」
「イメージ?」
意識、基準、それからイメージ……?
新しい言葉に首を傾げた。
「一般的には魔法は“効果”を強くすることをイメージして使います。ですが、貴女は“現象”の方へ意識を向けている。これが大きな違いを生み出しているのですわ。」
「な、なるほど?」
ホワイト様の説明をなんとなく理解した私は頷いた。
「これは面白い視点ですのよ。さあ、もう一度今のことを踏まえて魔法を使ってくださいまし。」
「は、はい!」
ホワイト様の指導はまだまだ続くようだった。
* * *
「……ところで貴女、小一時間以上練習をしておりますけど、魔力切れにはならないんですの?」
しばらく魔力の使い方と発動の変化を見ていたホワイト様が口を開いた。
「まだまだ大丈夫です!」
私の元気な返事に、少し間を空けてリクエストをしてくれる。
「……そう。それなら、今度は範囲回復を見せていただきたいですわ。使えるのでしょう?」
多分、ある程度の情報がわかってきたから、別の魔法も見てみたいってことなのだろう。
「分かりました! 範囲回復!」
ホワイト様を驚かせようと力一杯魔力を込める。
すると、練習場全体を灯すように光の粒が現れた。
「……っ、何ですのこれは!」
自信満々に振り返ると、驚いたホワイト様の声がその場にこだましたのだった。
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