4. 神×3による逆襲(神様視点)
ひとまず仕事もあるので天界に戻った2人の神。
「大地の神様……ロゼちゃんを追放した罪はメンバー脱退で清算できたと思うんだけど、ロゼちゃんに嫌がらせしたことへの逆襲はできていない。ナターシャに嫌がらせをしたくないですか?」
「いや、そんな攻撃的な発想、聖女の神様だけですよ」
サイクラーがサラリとつっこむ。
「でも私は聖女の神だから、逆襲しようとすると上位神から怒られちゃうのよねえ。だから私には何もできない。サイクラー様一人だと少し心配だし、誰か協力者がほしいところ……」
「何してるんっスか?」
そこへ偶然、新人神様の食物の神が通りかかった。
「あら、グラノスちゃん……ねえ、私達に協力してくれない? もちろんそれをしてくれたら、超上位神に貴方の昇進を提案するから」
パナギアはグラノスに1歩近づき、口に弧を描いて言う。
「それに貴方も気に入ると思うわ。とってもいい子なの」
「よくわかんないっスけど、面白そうなんで協力してみたいっス!」
「はい、交渉成立。これからよろしくね」
このあと大変なことに巻き込まれてしまうとは、新人神様であったグラノスには予知できなかった。
……いや、それはパナギアとサイクラーも一緒だが。
◇◇◇
「グラノスちゃん。まずはナターシャの食べるご飯の美味しさを少し……そうねえ、2割ほど減らしてくれないかしら」
「ええ!? ご飯が美味しくないなんて、耐えられないっス!」
「そのとおり。耐えられないからいいのよ」
「怖いっスね……」
ハイライトの消えたパナギアの目に、グラノスは恐れおののく。
「サイクラー様はとりあえずナターシャの歩く場所にぬかるみを作ってほしいの。あと、落とし穴とか面白そうねぇ」
「ええ……いや、まあいいですけど」
「そして少し、少しと嫌がらせのレベルをあげるのよ……破滅の道を辿ってるとわからない程度に」
にっこりと笑うパナギアの顔だが、目が笑っていない。
上位神だからこその迫力にグラノスはもちろん、同じ上位神であるサイクラーさえも抗えない。
「二人とも……よろしくね」
「はい! わかったっス!」
「グラノスちゃん……切り替え早いね……」
早速行動に移したグラノスとサイクラーは、パナギアの指揮のもと神の力を使いナターシャに嫌がらせを始める。
……数日後、グラノスはガタガタと震えながらパナギアの元へやってきた。
「あの――……パナギア様。あっし、怖くなってきたんっスけど……」
「え? 何が?」
「いや、ナターシャさん、日に日に痩せこけてるのに反してオーラが怖くなってるんっスけど……」
「そりゃそうでしょ。逆襲なんだからそれで正解」
「グラノスちゃん! パナギア様に騙されないで!」
パナギアに洗脳されかけているグラノスを、サイクラーが必死で引き留める。
「でも……確かにやりすぎじゃないですか? こんなの、死ぬまでグレードアップしながらずっと続くわけですし」
「逆襲に遠慮なんていらないわよ!」
「そうっスよ!」
「ああ、ついにグラノスちゃんが洗脳されてしまった!」
サイクラーが嘆き始める。
「でも、それが正しいんじゃないっスか? だってナターシャさん、ロゼさんが死ぬかもしれない嫌がらせをしたわけですし」
「なんか正論みたいな感じで言わないでよー!」
でも、とグラノスが言い始める。
「こんなことしてるとナターシャさんが逆にロゼさんに逆襲し始めるんじゃないっスかね? ほら、噂の時もそうだったじゃないスか」
「え? まあ大丈夫じゃないかしら。私たち、これでも上位神なんだしね。たかが1人の人間の逆襲を防ぐくらいできるわよ」
「うーん、でもなんか嫌な感じがするんっスよね……」
その後もグラノスはぶつぶつと何かを言っていたが、結局 気の所為ということにした。
「さ、まだまだ続けていくわよ」
「はーい……」
「はいっス」
「サイクラー様はとりあえず納得いかないって顔をやめましょうね?」
パナギアの怖い笑顔にサイクラーはたちまち楽しそう……な演技をする。
「ま、先輩たちなら何があっても解決できそうっスからね。信じてますよ」
「グラノスちゃんに何かあったらサイクラー様が守ってくれるから大丈夫よ!」
「ナチュラルに責任を押し付けないでくれます?」
グラノスは、軽い冗談で言ったつもりだった。
地上では、行く当てもなく森を彷徨っていたナターシャが『神の欠片』を使ってるとも知らずに――……




