表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【連載版】追放された聖女、怒りのままに木を殴ったら森が破壊された件  作者: 神無月みうか


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
2/10

2. 【不死鳥の舞】に不穏な空気(神様・ナターシャ視点)

ここから短編の続きです。


「はっ、はぁあ! ぜ、全然駄目だわ。」


「おいおい聖女の神(パナギア)様!あの子殺気100%剥き出しの魔物にも気づきませんでしたよ!?」

「さ……大地の神(サイクラー)様……さすがにこれは、やヤバいですね」

「ですよねー」


 神2人はため息をつく。


「ロゼはただでさえ聖女の才能はないのに、危機感知能力も0%ですよ……」

「どーしましょう、聖女の神(パナギア)様? これじゃこっちの心臓が持ちませんよ……」

「もういっそ森ごと魔物を破壊してやりたいわ」

「それならいっそロゼちゃんが木を殴ってくれたら早いのに」


「はっくしゅん! ……誰か噂してるのかなー?」


 神のそんなやりとりなんて知らないロゼは、解呪の練習を今日も続けていた。



「ロゼちゃん、何がいけないのか悩んでるけどそれ違う、解呪方法間違ってる! ああ、いっそ言ってあげたいけど言ったらロゼの願いが叶えられない……気持ち悪いわ!」


 聖女の神(パナギア)はやきもきして大地の神(サイクラー)の肩をバシンと叩いた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 ロゼが解呪の練習をしている頃、【不死鳥の舞】ではナターシャがパーティーメンバーに言われた話を理解するのに必死だった。


「え……? そんな、でていくってどういう事ですの?」

「そのままですよ、ナターシャ。ロゼがいないこのギルドにいる意味はもうないですから」

「は……!? ロゼ!?」

「もうこの生活にはうんざりですよ。ロゼがいないなら耐えられない。さよなら」

「え!? は、ちょっと……」


 メンバーが出ていった部屋の中で、ナターシャは呆気にとられていた。


「ロゼ……なんであなたの名前がでてくるの。どういう意味ですの……?」


 ナターシャのその呟きが、しんと静まり返った部屋に虚しくこだまする。


 ナターシャは知らなかったが、【不死鳥の舞】のメンバーは、ナターシャの態度に心底うんざりしていた。それをロゼが優しい言葉でフォローしていたのだ。


 ロゼは、それこそ聖女の才能はなかったが誰よりも優しい心の持ち主だった。


「ロゼ……気に食わないわ……」



 しかしこれが破滅の道へ進む第一歩だとは、すべてを見通す神しか知らなかった。


 ――バタン。


 それから数分後、追い打ちをかけるように部屋の扉が開いた。残っていた別のメンバーだ。


「ナターシャ。ロゼもあいつらもパーティーを抜けたし、私も抜けるわ」

「は、はぁ!? あなたまで、なんでですの!?」

「何が原因だったか、よーく考えることよ。じゃ」 



 ナターシャの静止も虚しく、扉は再び閉まった。


「……どいつもこいつも、なんなのよ。何が原因? わからないわ……」


 ナターシャは何が原因か必死に考えるが、結局日が暮れても答えは出なかった。




 ナターシャは、もともと男爵家の一人娘だった。


 願えばなんでも手に入れられて、わがままを言っても許されて、甘やかされて育ってきた。


 でも、社交界に出て貴族の厳しさを知った。


 初めて肩苦しい思いを知ったナターシャは、仕事をサボり使用人にわがままを言いつけ、なんとかこのストレスを抑えていた。



 ある日、そんな生活に飽き飽きしてきたナターシャは、本で見た魔法使いに憧れるようになった。


 親にお願いをして、無駄に高い防具や杖やポーションなどを買ってもらい、それらだけを頼りにBランク冒険者になった。


 誰かの下につくのが嫌だったナターシャは、勇者パーティー【不死鳥の舞】を作った。


 リーダー(ナターシャ)が強いのもあって、メンバーはすぐに集まった。


 それを機にナターシャの自己中心的なところはさらに拗らせていった。


 何か不満があればメンバーに八つ当たりし、敵と戦う時も目立とうとして、負けて、八つ当たりして……という悪循環を繰り返していた。


 それをロゼが優しくなだめ、フォローをしていた。



「ロゼ……あなたが全ていけないのよ……!」


 そんなことも知らないナターシャは、逆恨みの復讐に燃えていた。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 遠くの森の奥が「カッ」と光る。それを天上界から覗き見ていた大地の神(サイクラー)は、思わず声をあげた。


「えっ、ロゼちゃん解呪成功した!?」

「いや、大地の神(サイクラー)様、あれは――……呪い自体を気合()で破壊したんだわ」

「ほえー、力ってそんな応用もできるんですね!」

「いや、神である私も知らなかったわよ? とゆうか普通力ってそんなことに応用できないから」


 解呪を成功したロゼは、戸惑いながらも喜ぶ。


「ほら、大地の神(サイクラー)様。ロゼも何が起きたかわからない様子よ」

「やべー……敵にしたらダメなタイプですね」

「あぁ……ロゼ喜んでる……。口が裂けてもロゼにこのこと言えないわ」


 聖女の神(パナギア)は呆れ半分気の毒半分のため息をつく。


「ほんとロゼ、ほっとけないわ――……」


 大地の神(サイクラー)はその言葉に、激しく同意するように首を縦に振る。


「お、なんで解呪できたのか考えてみるみたいですよ」

「あぁ、教えてあげたい教えてあげたい教えて……」

「落ち着いて聖女の神(パナギア)様! なんかヤバい色のオーラ出てるから!」


 大地の神(サイクラー)は別の意味でヒヤヒヤする。


 そんな神のやりとりも聞こえないロゼは、なぜ今解呪ができたのか必死に頭をフル回転させて考えている。


「まぁでも……考え込んでるロゼも可愛いから、いいかな」

「よかった……オーラ収まった」


 大地の神(サイクラー)は安堵する。



 しばらくしてロゼは、唐突に手を叩いた。 


「えっ、わかったのロゼちゃん?!」

「あ――、「単純に私にも聖女の才能が現れ始めたんだ!」……いや、普通はそう思っちゃいますよね」

「バカ! 違うわ!!」

聖女の神(パナギア)様ほんと落ち着いて!!!」


 聖女の神(パナギア)の怒りオーラで周辺の木々がミシミシ音をたてる。


 泣きそうになる大地の神(サイクラー)をよそに、ロゼは帰る支度をしていた。



「ロゼちゃんは満足そうだけど、聖女の神(パナギア)様のせいで僕は最悪の1日だった――……ギャッ! やめて! 足を踏まないで!」

「あんたが悪いのよ」



 こんなことをしている神には全く気づかないまま、ロゼは帰っていった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ