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【連載版】追放された聖女、怒りのままに木を殴ったら森が破壊された件  作者: 神無月みうか


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10/10

番外編 スキルに悩まされている令嬢


「貴方がロゼ様ですか?」


 散歩をしていたら、突然声をかけられた。


「えっと……あなたは?」

「申し遅れました、男爵令嬢レイナと申します。レイナとお呼びくださいませ」

「ええ!? えっと、私になんの用ですか?」


 レイナという令嬢はこほんと咳払いをして、深刻な顔で話し始める。


「私には、スキルランクSSSのスキルがあります」

「ええ!? すごい……」

「そのスキルは()()()危機が迫っても耳鳴りがして教えてくれるというものです」

「それが、私に何の関係が?」



 そう聞くと、レイナの目に涙が浮かび始める。


「これは、どんなに小さい危機でも耳鳴りがします。一度お手並み拝見と言わんばかりに、暗殺者が送り込まれてきました。お茶会ではずっと耳鳴りがする。そのときは護衛が守ってくれましたが、お父様が「なぜ危機が迫っていると教えてくれなかったのか?」と、疑問の目で私を見てきました。その目に、私は耐えられなかった……」



 ロゼは察してしまった。


 みんなの期待を裏切りたくないから、本当のことを話せない。ずっと不安を、誰にも話せず一人で抱えていた。


 そこに追い打ちがかかった。


 周りから見たら大当たりスキルだけど、本人にとって親の優しい期待が、プレッシャーという名の呪いになっていた――……


「そこで、私に相談しに来たんですね」

「はい……ロゼ様はどんな呪いでも解呪できると聞きました。これはもはや呪い、解呪してもらえませんか?」

「もちろんです! 聖女の名において、困っている人を見過ごすわけにはいきませんし!」


 ロゼは今までの経験をもとに、どうしたらいいかを考える。


「レイナ様、ステータス画面を出してくれませんか?」

「え、ええ。わかりました」


 レイナは自身のステータス画面を開く。


『名前 レイナ レベル20

 種族 人間

 スキル 危機感知能力 スキルランクSSS』


 ロゼの手は迷いなくステータス画面に突っ込まれるが、もちろん画面は透け、手が画面の奥へ出てしまう。

 

「ロゼ様……なにを?」

「壊すんですよ、文字を」



 ロゼはスキル名が書かれているところを、あまりの握力と気合で概念を物理的に掴んだ。そして、そのまま勢いで握りつぶした。


 パキッ



 ――そう音を立て、スキル名の欄は壊れた。


「…………音がしなくなった」

「解呪とはまた違いますがね。もう、安心してください。ご家族には突然消えたとでも言ったらいいですよ」

「ありがとうございます、私を助けてくれて……」


 レイナは、先ほどの涙とはまた違う涙を流しながら何度もお礼を言う。


「どんなに辛くても、私のことを『すごいスキルを持っている』というだけで贅沢をさせてくれた親に言えなくて……でも、ロゼ様に助けられました。本当に、ありがとうございました!」

「いえいえ」



 こうして、ロゼはまた一人の女性を救ったのであった。



誤字報告ありがとうございました!

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