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十年の眠りの間に、私の弟子は最強になっていた  作者: あさび
第一章

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第四十話 疑念の芽

「レオニス・アルフェン、国王陛下に申し上げます」


「申してみよ」


エドガルドは余裕の笑みを浮かべていたが、眉間にはわずかに皺が寄っていた。


「はい。恐れながら、王妃様が連行したアメリア・ルシアはアルフェン家と交流があり、庇護下にある者です。どうか解放いただきたく存じます」


エドガルドは眉を一瞬ぴくりと動かすと、玉座で足を組み直した。


「王妃がその者を招いたことは、私の耳にも入ったばかりだ。さすがアルフェン家にも縁のある者、王妃も随分気に入って引き留めてしまったようだな」


「はい。そのように見受けます」


「心配するな。すぐにその者は家に返す」


「ありがとうございます」


礼をしたレオニスを見下ろすエドガルドの瞳は、酷く冷えていた。





レオニスが去った後、エドガルドは玉座で一人、頬杖をついていた。


「イアン、王妃の様子は?」


「まだ意識は戻っていないようです。医者の話では命に別状はなく、二、三日中には目覚めると」


「そうか……面倒なことをしてくれたものだ」


家柄も、容姿も、魔力も申し分なかった。


だから王妃に選んだ女だ。


だが今回は裏目に出た。


アウレリア。


もし彼女であったなら——こんなことは起こらなかっただろう。


こんな愚かな真似はしない。


「幸い、ガイアス・ゼルヴァーンが処理したため、王妃様の件は外部には漏れておりません」


ガイアス・ゼルヴァーン。


何でも見通す目を持つ、有能な男。


ルクシオンに忠誠を誓っているかは疑問で、食えない男だが、優秀であることには変わらない。


「アメリア・ルシアという娘については?」


レオニス・アルフェンが、アルフェン家の名を使ってまで救おうとした娘。


もし彼が申し出なければ、死ぬまで解放されることはなかっただろう。


「まだ若い娘で、有能ではありますが、出自は平凡な者かと。アルフェン公爵家では、令息を救われた恩義があるようです」


「なるほど……」


「また、娘の店に、近頃リオ・ヴァルノクスが出入りしているとか」


その名を聞いた瞬間、薄れかけていた興味が再び浮かび上がる。


「あいつが? 何かの間違いではないのか?」


エドガルドは、あの男とは相容れないと常々思っていた。


だが、一つだけ共通点がある。


リオ・ヴァルノクスという男は、権力にも富にも固執しない。


貫くのは、ただ武の道のみ。


美女をあてがっても見向きもしない。


それが王女であっても同じだ。


王弟という立場をちらつかせても、屈することはなかった。


あの男は、たった一人を除いて固執したりはしない。


そんな男が、理由もなく一つの店に足しげく通うとは考えにくい。


リオ・ヴァルノクスと、アルフェン公爵家が肩入れする娘。


「イアン、そのアメリア・ルシアという娘について、もっと詳しく調べよ。私も会ってみたくなった」


アウレリア・アルフェン。


なぜか、その姿が脳裏をよぎった。


——忘れたはずの名と共に。

ここまでお読み頂き、ありがとうございます。一旦ここで一区切りとなります。

次回からは少し過去の話を書きたいと思っておりますので、引き続きお付き合いください。

よろしくお願いします。

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