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十年の眠りの間に、私の弟子は最強になっていた  作者: あさび
第一章

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第ニ十一話 静かなる兆し

王城、謁見の間。


「リオ・ヴァルノクス、本日から復帰いたしました」


玉座からルクシオン王国国王エドガルド・ルクシオン・レイヴァルト。が見下ろしている。


紫の瞳はアメジストのように美しいが、どこか冷たい。


「よく戻った。……その様子だと、休暇は有意義に過ごせたようだな」


リオが顔を上げると、エドガルドは薄く笑った。


「顔色が良いのは休暇が楽しかっただけではないだろう。纏う覇気も違う。何か良いことでもあったのか?」


「何のことだかわかりかねます」


「ならば、そういうことにしておこう」


興味を失ったように、王は視線を外す。


「本題だ。アルヴェイン卿から報告は受けているが……魔獣が出現した件についてだ」


「はい。調査したところ、王都に現れたものはすべて星護の森から出現しており、正確にはすべて幻獣でした」


エドガルドがわずかに眉を寄せた。


「幻獣……か」


幻獣は森から出ることはなく、仮に足を踏み入れたとしても遭遇すること自体が稀だ。


大人しく、まして人間を襲うなど、通常であれば考えられない。


「原因はまだ不明です」


エドガルドは静かに立ち上がり、背を向ける。


「……なるほど。そういうことか」


その言葉に、どこか含みがあるように感じた。


「引き続き調べろ。何かわかり次第、報告を」


「承知しました」











「それで、私のところに来たのか。リオ・ヴァルノクス卿」


ルクシオン王立学院の一室。


エリアス・ヴァレンティスの研究室だった。


室内には本や文献が山のように積まれ、足の踏み場もない。


アルフェン家で顔を合わせたことのある相手だ。


アルフェン邸の天文台を思い出す。


ルーカスの研究室も、似たような有様だった。


研究対象以外には無頓着――そんな性質は、どこか共通している。


「この間の幻獣の一件、貴殿はどう考える?」


「そうだな……」


エリアスは腕を組み、わずかに視線を落とす。


「本来、幻獣と魔獣は明確に区別される。幻獣は神にも近い存在だ。人に恵みを与えることはあっても、害をなすなど考えられない」


一度言葉を切る。


「何かの影響を受けない限りはな」


その瞳は、確信に満ちていた。


「神に近い幻獣に影響を与えるもの……となれば、考えられる理由は一つだ」


最悪の想定。


リオははっと顔を上げ、エリアスを見つめた。


「勘が良いな、リオ・ヴァルノクス」


エリアスはわずかに口元を緩める。


「そうだ。……十年前、お前の師が差し違えたもの」


静かに、名を告げる。


「お前が、この世界で最も憎む存在だ」


「竜……」


リオは小さく呟いた。


その名を、忘れたことは一度もない。

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